藤田令伊(ふじた れい)著 「アート鑑賞、超入門!」

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

協力会の行事に参加すると、「アート鑑賞のヒント」が得られます
名古屋市美術館協力会に入会してよかったと思うことは「アートを見る」ためのノウハウを学べることですね。ギャラリー・トークやアートツアー、ミニツアー等の行事に参加すると「アート鑑賞の達人」がいるので、その背中を見て「アート鑑賞のヒント」をつかんでいます。これも協力会の行事に参加する楽しみのひとつです。

ようやく「アート鑑賞」の本が見つかりました
ただ、残念なのは、協力会の行事を通してつかんだノウハウを整理するために適当な本はないかと探しても、美術史や作家の解説は山ほどあるのに肝腎の「アート鑑賞」の本が見つからないことです。
こんな現状を嘆いていたところ、先日、新聞広告で「アート鑑賞、超入門!」という本を見つけました。集英社新書の1月新刊です。読んでみたら、これこそ探していた本でした。Bingo!

アート鑑賞の基本は、「よく見る」「私が見る」
本の副題は「7つの視点」となっており、第1章から第7章を使って「7つの視点」を述べ、終章でまとめるという構成です。そのうち「第1章 よく見る」「第2章 私が見る」で述べているのが「アートを見ること」の基本です。
また、この本では「7つの視点」に加えて20項目の<アート鑑賞を深めるためのヒント>を述べています。例えば「第2章 私が見る」で述べているヒント⑤<「エア買いつけ」の視線で作品を見る>の要旨は「作品を見る際、自分が買いつけるつもりで見ると見え方が全く違ってくる」というものです。
協力会のアートツアーに参加したとき、名古屋市美術館の山田係長が「展示してある作品の中で1枚だけもらえるとしたら、どの作品にするか考えながら鑑賞すると見方が変わりますよ。」とアドバイスをくれました。山田係長は、著者と同じことを言っていたのですね。

知識とどうつき合うか
次に、第3章から第7章までが各論です。例えば「第5章 知って見る、知らないで見る」で述べているヒント⑬<知識は「部下」と心得る>は、こんな内容です。
事前に知識を持つと、それが先入観となってありのままの心で見ることができなくなったり、知識を得ること自体が自己目的化して、知識を得たことで満足してしまうなどの弊害がある。しかし、作品にまつわる事情を知ることで、何も知らなかった時には感じられなかった感慨を覚えることができることも事実。ポイントは「知識とどうつき合うか」ということ。知識はサポート役だと位置づけている限りにおいて、知識を持つのは決して悪いことではない。

このヒントは、私にも思い当たることがあります。協力会のアートツアーやミニツアーでは、レクチャーで「知識」を吸収した後に鑑賞という流れになることが多いのですが、そこで見た「アート鑑賞の達人」の「知識とのつきあい方」は、まさにヒントのとおりでした。
以上の他にも「なるほど」と思う指摘がいくつもあります。お蔭で「協力会を通してつかんだこと」をハッキリと意識し、頭の中を整理することができました。

アートを見るということ
 終章で著者は、こんなことを書いています。
アート鑑賞は、私たちの主体性を育んでくれます。ほかからの借り物ではない、自分自身のものの見方や考え方を培ってくれるポテンシャルを秘めています。もし、知り合いや友人と展覧会に行ったら、感想を交換してください。周りの人の声に合わせるのではなく、ぜひ「異論」をいってみてください。
  アート鑑賞は、愉しみながら、人間的に成長できる稀有なものといっても過言ではないかもしれません。

 私は協力会を通してアート鑑賞を楽しんでいますが、アート鑑賞の効用は著者の言うとおりだと思います。

協力会の魅力
 この本を読みながら「アート鑑賞は一人でもできるのに、なぜ協力会に入会しているのだろう」と自問してみました。答えは「意見交換できること」そして「変なことをいっても受け入れてくれること」です。相手を尊重し、自分の意見を押し付けようとしないので安心して参加できるのですね。
 みなさん、名古屋市美術館協力会に入会すると、楽しい「アート鑑賞」ができますよ。

本のお値段
 最後になりましたが、この本の本体価格は720円です。
                            Ron.

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