協力会の楽しみ方(ギャラリートーク編)

カテゴリ:ムービー,協力会事務局 投稿者:members

協力会では、展覧会ごとにいろいろな催しを実施しています。
今回は、先日行われた特別ギャラリートークの様子を紹介します。

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次回は、ミニツアーの様子を紹介します。

「画家たちと戦争:展」ギャラリートーク

カテゴリ:協力会ギャラリートーク 投稿者:editor


名古屋市美術館で開催中の「画家たちと戦争:展」(以下「本展」といいます。)のギャラリートークに参加しました。本展は、14人の画家たちの戦前、戦中、戦後の作品の変遷を見ることで、彼らが戦争を「いかにして生きぬいたのか」を検証しようとするものです。当日の参加者は43名。山田学芸課長(以下「山田さん」といいます。)のトークは、通常の時間大きく超え2時間半に及びました。
◆当日は12人の画家の作品を鑑賞しました
日本画と版画は展示できる期間が短いため、14人の画家のうち横山大観、恩地孝四郎は前期(7/18~8/23)のみ、福田豊四郎、吉岡堅二は後期(8/25~9/23)のみの展示です。全部見ようと思ったら、後期も来ないといけませんね。
◆山田さんいわく「今回の主役は松本俊介」
 本展では一人の作家につき9点の作品を取り上げていますが、松本俊介だけは11点。なかでも、本展のポスターなどに使われている《立てる像》からは画家の覚悟が感じられ、これだけでも見に来た価値があります。《街》の青色も良かった。
◆藤田嗣治は「猫」に注目
 山田さんによれば「藤田嗣治は質・量ともに最大の戦争画家で、その作品は前期と後期に分かれる。前期は従軍時の見聞をもとに描いたもの。後期は負け戦で現地に行ける状況ではないため、新聞記事や資料をもとに想像で描いたもの。」とのことです。本展では前期最後の作品《シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)》が展示されており、その大きさと描写力に圧倒されます。後期の代表作は《アッツ島玉砕》(展示なし)で、その原点が《猫「争闘」》(参考図版を展示)とのこと。牙をむいて争う猫に残忍な本性が見えます。藤田の猫の絵は、他にも多数展示。
◆答えに窮する、北脇昇の《クォ・ヴァディス》
 この絵の前で、山田さんは「左は行進する民衆たち、右は嵐の中の荒廃した街。どちらに進むのか聞かれているのは、絵を見ているあなたですよ。どう答えますか。」と聞いたのです。私は「うっ。」というばかりで、答えに窮しましたね。
◆穏やかな作風の岡鹿之助にも戦争の影響があった
 地下の常設展示室3は、岡鹿之助と宮本三郎の展示です。なかでも岡鹿之助は風景画と静物画ばかりで戦争とは無関係に見えます。しかし、山田さんによれば「戦中の作品は色がくすみ、もとの色彩が戻るのは戦後しばらくしてから。」とのこと。良く見ると、その通りです。戦争の影響の大きさを感じました。
◆見逃せない展覧会
残念ながら余白が僅かなのでこれで最後にしますが、本展は見逃せません。理由は二つ。一つは、各作家の代表作がこれだけ集まっている展覧会は滅多にないから。もう一つは、戦後70年に当たり、過去を振り返り、未来を展望するヒントを与えてくれる作品が展示されているからです。            Ron.

画家たちと戦争展ギャラリートーク

カテゴリ:協力会ギャラリートーク 投稿者:editor


 7月20日月曜日、昼間は茹だるような暑さのなか会員44名が集まり、戦後70年に合わせて企画された特別展覧会「画家たちと戦争展」のギャラリートークが行われました。
 画家たちが、どのように悲惨な先の大戦前後を生き抜いたのか、14人の作家にスポットを当てて展覧会を構成しています(入れ替えがあるため、現在は12人の作品) ひとりずつ個々に、戦前、戦中、戦後の作品を並べて、どのような変化が見られたか、または変化が無かったか、どうしてそのようになったのか、を担当の山田学芸課長から解説を受けました。
 考えてみると、14名の作家はみな著名な作家であり、展示作品のなかには以前にみたことのある作品も多数含まれていましたが、戦争を境に区切ってその作風などを分析してみたことは無く、こうして比較すると戦争が画家たちに及ぼした影響は大きいことに気づきました。
 出品作家は日本を代表する素晴らしい作家たちですし、作品も傑作力作が集まっており、一時にこれだけの作品を見られるのは本当に贅沢です。是非、作品のパワーを感じながら、戦争の恐ろしさ、平和の大切さをこの機会に考えてみて欲しいです。

展覧会を企画した山田学芸課長さん

展覧会を企画した山田学芸課長さん

名古屋ボストン美術館「ダブル・インパクト展」ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

ボストン美術館レクチャルームにて

ボストン美術館レクチャルームにて


 7月12日日曜日、名古屋ボストン美術館にて開催されているダブル・インパクト展のミニツアーをお願いした。外は灼熱の猛暑日、ボストン美術館5階のレクチャルームは少し寒いくらいのクーラーが効くなか、会員35名が展覧会担当学芸員である井上瞳さんのお話に耳を傾けた。
 今回印象に残ったのは、大観のいわゆる朦朧体といわれる画法による作品。2点が出展されていたが、どちらも海、波を描いた作品で、まさに朦朧とするさまが抽象画にも通じる美しさがあった。
 他にも、菱田春草、橋本雅邦、河鍋暁斎など、日本画の代表的な画家の力作も楽しめるし、明治期の日本人洋画家の素晴らしい作品もありました。柴田是真、平櫛田中らの彫刻、工芸の作品も多数展示。明治日本人の繊細さやユーモアが満載の展覧会でした。
お話してくださった、井上瞳学芸員

お話してくださった、井上瞳学芸員