お知らせ

2026年1月30日

2025年協力会イベント情報

現在、下記のイベントの申し込みを受け付けています。

1.豊田市美術館 没後50年 高島野十郎展鑑賞ミニツアー

  令和8年222日(日)午前11:00~

参加希望の会員の方は、ファックスか電話でお申し込みください。ホームページからの申し込みも可能です。

 なお、当日午後2時から、福岡県立美術館学芸員の西本匡伸氏の講演会「高島野十郎の謎をめぐって」が開催されます。興味深いお話が聞けそうですので、お時間のある方は是非ご参加ください。

最新の情報につきましては随時ホームページにアップしますので、ご確認ください。また、くれぐれも体調にはご留意ください。

これまでに制作された協力会オリジナルカレンダーのまとめページを作りました。右側サイドメニューの「オリジナルカレンダー」からご覧ください。

事務局

平岡真生 ≪ここを出る、地面から離れる、できるだけ遠くに行く≫

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

名古屋芸術大学卒業・修了制作展 (その4)

名古屋芸術大学の卒業・修了制作展を見てきた。とても天気の良い日で、家族連れの来場者も見受けられた。皆さん、とても熱心に作品を見ている様子が印象的だった。

会場入口

平岡真生の≪ここを出る、地面から離れる、できるだけ遠くに行く≫は、軽妙なインスタレーション作品だ。入室したら、展示室内を注意深く、ひと回りしよう。作品のステートメントは床に書かれ、月の隕石の破片は柱の陰に隠れている。

展示風景 平岡真生 ≪ここを出る、地面から離れる、できるだけ遠くに行く≫(部分)

作品を一通り見たら、タイトルについて考えよう。まるで、作家から観客への「指示」のようだ。例えば、「ここ」とは展示室なのか、「出る」のは誰なのか、「地面から離れる」、「できるだけ遠くに行く」とは、例えば月まで行くのか。

展示風景 平岡真生 ≪ここを出る、地面から離れる、できるだけ遠くに行く≫(部分)

平岡は、社会的な構造や仕組みを作家の幼少期の思い出と重ね合わせ、「分岐しえた」けれど現実にならなかった出来事を描き出す。その出来事は、SF小説に登場するパラレルワールドよりも身近だが、現実との「ずれ」に気づくとドキッとする。雑踏で思いがけず、知人に呼び止められた時の「びっくり」した感覚に似ていた。

杉山 博之

村上可威 ≪continue≫

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

名古屋芸術大学卒業・修了制作展 (その3)

村上可威の≪continue≫は、3個の大きな金属のフレームに収められたインスタレーション作品だ。展示室内にはモーターとギヤの回転音が響き、長いパイプはゆっくりと左右に上下し、長方形の透明なパネルはパタパタと揺らぎ、右手奥には、木の幹が宙づりになっている。

一見、無関係な要素の取り合わせに見えるが、手前から「ししおどし」、「暖簾」、「丸太」を表現しているそうだ。

展示風景 村上可威 ≪continue≫

村上は、日本的な「風流」が内包してきた態度や感覚を工業的な構造に置き換え、可視化した。騒々しい駆動音を響かせる「ししおどし」や「暖簾」は、もはや「ししおどし」や「暖簾」ではないだろう。それらは「風流」から切り離され、名前を失い、漂流している新しい「なにか」のように思われる。

作品タイトルの「continue(継続する)」に込められた作家のメッセージを考えてみよう。名付けようのない「あいまい」な状態の継続を提示することで、観客の好奇心を揺さぶっているのだろうか。

杉山 博之

中山みどり ≪ぜったい大丈夫≫

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

名古屋芸術大学卒業・修了制作展 (その2)

展示室に足を踏み入れると、見渡す限りの作品の物量に驚かされる。そして、すべての作品は、ひとりの作家によるものだとわかると、さらに驚かされる。

展示風景 中山みどり ≪ぜったい大丈夫≫(部分)

展示作品には、油画もあれば版画や粘土による造形もある。中山は、「どれかを見てもらいたいわけではなく、すべてを見てもらいたい」、「自由にやりたいけれど、社会は厳しい」と話してくれた。

展示風景 中山みどり ≪ぜったい大丈夫≫(部分)

芸術家「中山みどり」の創作の全体を見せる本展示のタイトルは≪ぜったい大丈夫≫。作品の物量と熱量に圧倒される展示だった。

杉山 博之

篠田あすか ≪静かな世界≫

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

名古屋芸術大学卒業・修了制作展 (その1)

篠田あすかの≪静かな世界≫は、学食のテラスに設置されている。訪問した日は天気が良く、明るい陽の光に作品が光り、とても見栄えがした。ガラス作品を置いた木製の展示台もオリジナルで、上下に作品を配置するなど、おもしろいレイアウトになっている。

展示風景 篠田あすか ≪静かな世界≫(部分)
展示風景 篠田あすか ≪静かな世界≫(部分)

篠田の作品は、「見えない世界」の住人を想像して作られている。擬人化された作品には、山や森、宇宙の流れ、星の輝きなどが内包されているそうだ。その話を聞くと、食堂のテラスで陽の光を浴びている作品たちが、あたかも宇宙のエネルギーを補給しているように感じられる。見た目のかわいらしさとは異なり、そのスケールは大きく広がっていた。

杉山 博之

ラインハード・ポーズ BILDER 1979-2024

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

「ラインハード・ポーズ BILDER 1979-2024」展を見る機会があった。「BILDER」とは、絵画、写真を意味するドイツ語だ。本展は作家にとってアジア初の個展であり、1979年から2025年の間に制作された15点の絵画が展示されている。展示は2フロアに分かれ、それぞれで雰囲気の異なる作品が展示されている。

1階の展示室には、明るい色彩の抽象絵画が並ぶ。ジャン=ミシェル・バスキアの描くストリート風の作品に近い印象だ。画面に言葉(英字)が描かれたものも見受けられる。ほとんどの作品は2020年以降の制作だ。作家は1951年生まれなので、現在は70歳を超えているが、制作意欲は旺盛だ。

展示風景 左から≪Happy Hour Ⅱ≫ 2023、≪Happy Hour≫ 2023、≪Untitled≫ 2024

地下の展示は、作品の雰囲気が一変。≪Licht Jain≫は、画面全体が黒っぽく、激しい筆跡が残る。時代背景を考えると、1989年にはベルリンの壁が崩壊し、ヨーロッパに明るい希望と社会的な混乱が到来した。作品には、当時の独特な空気感が塗りこめられているのだろうか。見ていると、暗闇の中で光(Licht)を求め、苦悩する孤独を感じた。

展示風景 ≪Licht Jain≫ 1991

作家は1990年代半ば以降の数十年間、公のアートシーンから遠ざかっていたそうだ。時間的な隔たりがありながら、エネルギーにあふれる作品を見ることができた。

展覧会名 ラインハード・ポーズ BILDER 1979-2024
会期 2026年1月24日から3月7日
会場 ファーガス・マカフリー東京

杉山 博之

六本木クロッシング2025展 時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

「六本木クロッシング展」は、森美術館が3年ごとに開催している現代美術展だ。今回のテーマは、サブタイトルにもある「時間」。参加するのは、日本で活動している、もしくは日本にルーツを持つアーティスト、全21組。目に見えない「時間」を、どのように表現したのか、気になるものを数点、紹介しよう。

A.A.Murakami ≪水中の月≫

暗い展示室で白く光る作品が神秘的。作品の先端で膨らんだ光のボールは、水(?)を湛えた台の上に落ち、コロコロと転がり、弾ける。光のボールが出てくる様子は生命の誕生を連想させ、弾ける様子は生命の終焉を連想させる。個々の光のボールが存在する「時間」は短いが、間断なく生成される光のボールは、現在から未来へ続く長い「時間」を予感させる。

展示風景 A.A.Murakami ≪水中の月≫(部分) 2025

和田礼治郎 ≪MITTAG≫

斜めに置かれた四角形の作品は、上部が透明で下部は琥珀色。作品を見る目線の高さにより、琥珀色の水平線と窓の外の地平線との重なり方が変わる。ベンチに座ると、市街地のビル群が琥珀色に染まる。聞くところによると、琥珀色の部分は作品に注がれたブランデーの色らしい。作品を見ているだけで酔っ払いそうだ。

展示風景 和田礼治郎 ≪MITTAG≫ 2025

窓から差し込む陽光が、室内の床や壁を琥珀色に染める。よく見るとブランデーを入れた四角形の部分を支えている台は、ブドウの木をかたどっている。ブドウからブランデーができる時間、都市が発展していく時間、いろいろな時間のスピードを感じる。もし、窓の外から室内を眺めることができるなら、琥珀色に染まった観客がフワフワと揺らめいて見えるのだろうか。

展示風景 和田礼治郎 ≪MITTAG≫ 2025

その他に気になった作品として、北澤潤の≪フラジャイル・ギフト・ファクトリー≫と、ズガ・コーサクとクリ・エイトの≪地下鉄出口 1a≫、≪地下鉄出口 2≫を挙げておこう。北澤は、第二次世界大戦で日本軍が使っていた戦闘機「隼」(ハヤブサ)をモデルにして、原寸大の凧を制作した。ズガ・コーサクとクリ・エイトは、最寄りの地下鉄の駅の出口を段ボールで原寸大に再現した。北澤は、第二次世界大戦から現代までの時間を、ズガ・コーサクとクリ・エイトは、通勤通学などの日常の時間を表現したのだろう。

現代を基準にして、時間の物差しの距離感は様々だが、多様な質感の時間を意識させてくれる展示だった。

展示風景 北澤潤 ≪フラジャイル・ギフト・ファクトリー≫(部分) 2025
展示風景 ズガ・コーサクとクリ・エイト ≪地下鉄出口 1a≫(部分) 2025
展覧会名 六本木クロッシング2025展 時間は過ぎ去る わたしたちは永遠
会期 2025年12月3日から2026年3月29日
会場 森美術館

杉山 博之

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