だまし絵Ⅱ ギャラリートーク

カテゴリ:Ron.,協力会ギャラリートーク 投稿者:director

講堂に集合した会員たち

講堂に集合した会員たち

新春初のギャラリートークは「だまし絵Ⅱ」です。
当日は入場者が3,895人もあり閉館時刻を過ぎても館内に人が居たので、講堂で短いレクチャーを受けてから展示室に入ることになりました。担当の保崎裕徳学芸員によれば「前回(2009年)のテーマは、だまし絵400年の歴史。今回のテーマは、20世紀になって「だまし絵」がどのように進化したのか。」とのことです。

アルチンボルドの作品を前に

アルチンボルドの作品を前に

レクチャーが終わって、参加者52名が展示室に移動。通常の展覧会とは違い入口は2階です。
プロローグは古典的なだまし絵の展示で、最初の展示はアルチンボルドの「司書」。チラシに印刷されていた絵です。目は鍵、ひげはハタキ。本と人物のダブルイメージです。

第1章 トロンブルイユ(だまし絵)からは、20世紀の作品になります。杉本博司の「Polar Bear」は福岡伸一が日経新聞の連載「芸術と科学のあいだ」で取り上げていました。福田美蘭の「Copyright原画」は、一見ディズニーのキャラクターなのですが、著作権に抵触しないようキャラクターが隠されているという作品です。須田悦弘の「雑草」「葉」は見落としそうなところに展示されていました。

福田美蘭さんの作品に見入る会員たち

福田美蘭さんの作品に見入る会員たち


第2章 シャドウ、シルエット&ミラー・イメージは、鏡を使った20世紀の技法。福田繁雄の「アンダーグラウンド・ピアノ」は、現実の世界の破片の寄せ集めが、鏡の中ではちゃんとしたピアノになっています。ダニエル・ローズィンの「木の鏡」は、その前に人が立って動作をすると、いくつもの木片でできたパネルに影が出現し、カタカタと音を立てて動作を真似るという楽しい作品です。

第3章 オプ・イリュージョンは錯覚を楽しむもので、パトリック・ヒューズの「広重とヒューズ」は、前に立って体を左右に振ると、絵も左右に動く不思議な作品です。(ただし、仕掛けを見ると魔法が解けてしまいます)アニッシュ・カプーアの「白い闇Ⅸ」を凝視していると、穴の中が底なしの空間に見えてきます。

第4章 アナモルフォーズ・メタモルフォーズは歪み・変容。ダリの「海辺に出現した顔と果物鉢の幻影」に隠されたイメージを探していると、いつまでたっても絵の前から離れることができません。エヴァン・ペニーの「引き伸ばされた女#2」は高さ3メートルの作品で大きさにびっくりします。トニー・アウズラーの「ピンク」は人間の目と口を持ったカエルが様々な表情をします。とても気味が悪いけど、思わず見入ってしまうキモかわいい作品です。

地下1階の常設展示室3ではハンス・オプ・デ・ベークの「ステージング・サイレンス(2)」を上映しています。風景が次々に変わり、やがて角砂糖の摩天楼が出現するのですが、最後はどうなるでしょうか?美術館で確かめてください。
理屈ぬきで楽しめる展覧会です。お勧めします。 
Ron.

解説してくださった保崎裕徳学芸員

解説してくださった保崎裕徳学芸員

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