名古屋市美術館 「麗しきおもかげ」二度目の楽しみ

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名古屋市美術館で開催している「麗しきおもかげ」で、作品の入れ替えがあったので、行ってきました。お目当ては3点。高橋由一《美人(花魁)》、浅井忠《収穫》と橋本平八の木彫《花園に遊ぶ天女》です。

◆高橋由一《美人(花魁)》
 モデルになった女性が、「自分はこんな顔ではないと泣いて怒った」というエピソードが有名ですが、新聞などに掲載されている図版はともかく、展示されている本物に違和感はありません。
丁寧に描かれているので、なぜ泣いたのだろうと思いましたが、あわせて展示している日本画の美人図を見ると納得しました。
表現の仕方が全く違うのですね。「脳は見たいものしか、見えない。」と言いますから、当時の人は鏡を見ても日本画の美人図のような自分を見ていたのでしょう。

◆浅井忠《収穫》
絵の解説にあるとおり、まさにバルビゾン派の絵です。1890年の制作といいますから、フランスではすでに印象派が台頭してたと思いますが、当時の日本人の感性に合ったのは、このような絵だったのですね。

◆橋本平八《花園に遊ぶ天女》
前に見ていたはずの木彫ですが、始めて出会ったという印象です。
この木彫をお目当てにしたのは、先日の協力会ミニツアーで行った三重県立美術館のコレクション展で、橋本平八の特集に出会ったからです。三重県立美術館では丸々1部屋を使って、木彫などを展示していました。そのときは、質が高い木彫だと思っただけですが、その後、「麗しきおもかげ」でも橋本平八の木彫が展示されていることを知り、駆け付けました。
天女というより少女で、首を傾げたポーズが特徴的です。
他の美術館も見てみるものですね。
                            Ron.

東京藝術大学コレクション 麗しきおもかげ 日本近代美術の女性像

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3月5日(土)から、名古屋市美術館で東京藝術大学コレクションによる女性像の展覧会が開催されています。展覧会は2部構成で、第1部が東京藝術大学コレクションと名古屋市美術館所蔵作品11点による「日本の近代美術の女性像」、第2部が「東京美術学校日本画科の卒業制作の女性像」です。

ギャラリートークの様子

ギャラリートークの様子


◆第1部では、重要文化財が3点
 第1部の見どころは3点の重要文化財でしょう。とはいえ、会期中に展示替えがあるので、現在見ることが出来るのは狩野芳崖《悲母観音》(3月21日まで)だけ。高橋由一《美人(花魁)》と浅井忠《収穫》は3月23日からのお楽しみです。後期に、もう一度見に来ましょう。
 《悲母観音》は日本画のためか、照明が暗いので近くでじっくり見なければなりません。仔細に見るとヒゲが描かれ「あれ?」と思いましたが、「母性愛」を表現しているということならば、やはり女性像ですよね。
 なお、個人的趣味ですが、百武兼行《ブルガリアの女》に描かれた民族衣装が印象的でした。一枚革と皮ひもで出来ている靴が面白いですね。
◆名古屋市美術館のコレクションが11点
 何故か懐かしさを感じる作品が何点もあるのでキャプションに目を凝らすと、作品番号の右肩に小さな*印が付いています。市美のコレクションでした。普段は常設展示室の狭いコーナーに展示されていますが、今回のような広い空間で見て、作品の質の高さを改めて感じました。佐分眞《食後》では、テーブルの果物や右の女性のドレスの色の鮮やかさに目を見張りました。
◆日本画の変遷が体感できる第2部
 2階には、1940年までに収蔵された日本画科の卒業制作から厳選された40点が展示されています。どの絵も大きく、色彩が鮮やかなことに目を引かれます。全力を注ぎこんで卒業制作に取り組んだことがうかがわれます。展示室の入口の解説では5期に分けて、卒業制作の変遷を概観していますが、確かに、絵のテーマや描かれた女性の服装が時代とともに変わっていくのが良く分かります。篠田十一郎《あかとんぼ》は、女の子が七五三の記念写真のようで可愛らしく、思わず見入ってしまいました。
 昭和になると洋装の女性が描かれるようになりますが、金子孝信《季節の客》では雑誌「VOGUE」がチラッと見え、昭和15年という時代にこんな絵を描いた勇気に驚きます。図録の解説には「中国戦線に派遣され、1942(昭和17)年に戦死。」との記述。「さぞ無念だったろうな。」と、ため息が出ました。
 3月13日(日)に協力会のギャラリートークがありますが、所要のため参加できないのが、とても残念です。会期は4月17日(日)まで。       Ron.
思い思いの絵に見入る会員たち

思い思いの絵に見入る会員たち

ランス美術館・館長 特別講演会のこと

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当日は余裕を見て12時半に着いたのですが、既に20人ほどの行列が出来ていました。午後1時の開場と同時に整理券を手に入れて場所取り。講演が始まる頃になると満席で立ち見もチラホラ。PRはチラシとホームページの告知だけのはずですから、皆さんの関心の高さを感じます。
深谷副館長から「名古屋市美術館では2016年春にランス美術のコレクションを中心に藤田嗣治の大回顧展を予定しています。本日はランス美術館のダヴィッド・リオ館長をお招きし、ランス美術館の歴史と日本・藤田との関係について語っていただきます。」と紹介があり、特別講演会が始まりました。特別講演会の要旨は、以下のとおりです。

ランス美術館と日本との関係
ランス美術館の所在地はパリの東、シャンパーニュ地方のReims。シャンパンの醸造が主要産業。(ちなみに、ルーブル美術館ランス分館はパリの北、Lens。全く別の場所)
ランス美術館は、幕末のころ日本に渡航し、横浜の元町で船用飲料水やレンガ製造で財を成したランス出身のアルフレッド・ジェラールから寄贈されたコレクションをもとに設立したとのことです。彼のコレクションには日本美術が800点余含まれ、お墓には鳥居が建てられるなど、彼は日本美術をこよなく愛好した人だそうです。
また、ランス出身のヒューグ・クラフトは親の遺産で世界一周をしたとき、日本に7か月も滞在し各地を旅行しています。彼は日本画も習って「横浜サヨナラ」という画集を残したほか、名古屋城やミヤ(熱田神宮?)を撮影するなど多数の写真を残しており、ランス美術館には彼の写真が400枚ほどあるとのことで、ランスは日本と深いつながりがある街なのですね。

ジャポニスムについて
モネの初期の作品は北斎の影響の下に描かれたもので、ナビ派にも浮世絵の影響があります。前出のヒューグ・クラフトも、帰国後、日本から大工・庭師を呼んでパリ郊外に日本式庭園を持った家「緑の里」を作り、着物を着て記念撮影しています。
幕末に日本が開国したとき一気に美術品、工芸品が海外に流出し、人々がその繊細さ美しさに惹かれてジャポニスムが生まれました。セザンヌのサンヴィクトワール山も富岳三十六景に触発されたものです。
ジャポニスムを語る上で、1900年は大事な年です。この年に開催されたパリ万博から、アール・ヌーボーが生まれました。エミール・ガレはジャポニスムに影響を受け、自然や植物を家具の装飾に取り入れ、寄木細工でブドウの図柄を描いたのです。
ランス市役所は第1次世界大戦で大きな被害を受け、内装を作り直す際にアール・デコの様式を取り入れています。ランス市役所のフレスコ画はアンリ・ラパンが描きましたが、彼の仕事は東京都庭園美術館でも見ることができます。

藤田嗣治のこと
 ランス美術館には、藤田嗣治(1886~1968)の遺族から彼のコレクションが寄贈されています。
彼は1913年にフランスに渡り、ピカソのアトリエを訪ね、フランスの社交界に溶け込んだ、とても西欧的な日本人。たちまち、アイドルになって”Fou Fou”(お調子者)と呼ばれました。おかっぱ頭の髪型などユニークなファションで有名でした。
ランス美術館のコレクションには、彼の恋人マドレーヌをモデルにした絵(「ランス美術館のマドンナ」と呼ばれているそうです)があります。彼女はランス近くに生まれたダンサーで、藤田と南北アメリカを旅行し、1930年代に東京で死去しました。彼女を失った後、藤田は君代(1911~2009)と結婚。第2次世界大戦中は従軍画家となり、戦後、フランスに戻りフランス国籍を得て、ランスの大聖堂でカトリックに改宗し、ランスで死去しました。
ランスの大聖堂は歴代フランス国王の戴冠式が行われた場所で、彼はそこに世界から200人のジャーナリストを呼び洗礼を受けました。
ランスは彼の改宗の出発点です。彼はその後の人生を平和に捧げ、ランスに平和の聖母教会礼拝堂を建てました。礼拝堂の壁画も彼が平和への思いを込めて描いたもので、現在、礼拝堂の下には藤田と君代夫人が埋葬されています。
また、近年、藤田の礼拝堂で結婚式を挙げる若い日本人のカップルが増えています。

館長へのQ&Aなど
講演の残り時間で、質問を募ったところ「藤田嗣治の戦争画を展示する考えはあるか」という質問が寄せられました。
ダヴィッド・リオ館長は答え難そうにしていましたが、深谷館長から「藤田嗣治の戦争画は東京国立近代美術館が所蔵しており、2016年の大回顧展でも3~4点展示できるようお願いしている。」という答えがありました。
また、深谷館長からは「現在、藤田嗣治を描いた映画が製作中で、年内公開の予定です。監督は「泥の河」「死の棘」などを制作した小栗康平監督。主演はオダギリジョーと中谷美紀です。楽しみにしていてください。」と話がありました。

追記
2月9日の日経新聞(夕刊)の文化面に「藤田嗣治の人生 光と影で描く」というタイトルで映画「FOUJITA」(フジタ)についての記事が掲載され、その中に次の文章がありました。
1943年、青森での戦争画展に「アッツ島玉砕」を出品した藤田(オダギリジョー)が゙画家仲間の但馬と共に上野に帰る車中だ。(略)オダギリは語りだす(略)「技術がないと描けません。今回は命がけの腕試しだったのです」「でもあれは会心の作です。画が人の心を動かすものだと言うことを、私は初めて目の当たりにした」
休憩時間に小栗に話を聞いた。「藤田はヤワな近代主義者ではない。ヨーロッパ仕込みの個人主義、現実主義。それは戦争協力画を描いている時もびくともしなかった」と小栗。日本の体制に付和雷同したのではなく「現実的に生きる絵描きが、絵画の問題だけを考えて描いた」と見る。

小栗監督も日経の記者も藤田の戦争画に強い関心を抱いており、作家としての藤田を肯定的に見ようとしているように感じます。たしかに、戦争画を抜きに藤田嗣治の大回顧展を開催することはできませんね。ただ、70年以上も前のことであり、子どもたちも鑑賞するので、展示に際しては、描かれた当時の時代背景についても理解できるようにすることが必要だと思います。
 ちなみに、東京国立近代美術館は藤田嗣治の戦争記録画を14点所蔵しており、同館のホームページをみると、現在開催中の平成26年度第4回所蔵作品展「MOMATコレクション」でも藤田嗣治の「ハルハ河畔之戦闘」「アッツ島玉砕」「サイパン島同胞臣節を全うす」を展示しています。
なお、収蔵経緯の欄には「無期限貸与」と書かれていました。
                            Ron.

作家(山口晃さん)を囲む会

カテゴリ:Ron.,作家を囲む会 投稿者:editor

展覧会場の山口さんの作品の前で記念撮影

展覧会場の山口さんの作品の前で記念撮影

 作家を囲む会は、名古屋市美術館で展覧会が開催されるときに、現役の作家が名古屋市に来られる機会を捉えて開催する行事です。市美術館にお願いして、作家さんが講演会やワークショップなどをされた後、美術館閉館後に美術館内のコーヒーショップ「おはな」を貸し切って作家さんと協力会会員が歓談する行事です。もちろん、軽食、ソフトドリンクにビール、ワイン、日本酒などのアルコールも出ます。
 山口晃さんを囲む会は、先ず、展示室内の山口晃さんの作品の前で参加者の記念撮影から始まりました。山口晃さんが椅子に座り、その周りを協力会会員が取り囲んだところを撮影。
お料理も家庭的で美味しい!ワインと一緒に

お料理も家庭的で美味しい!ワインと一緒に

 撮影後は、「おはな」に移動。椅子は全て壁際に寄せて床を広くとり、机を集めて飲み物の島を二つ、食べ物の島を一つ作って、参加者はその周りを取り囲むという立食形式の会食です。今回は40人近い参加者なので、初の試みとして立食としました。
 会の始まりが予定よりもだいぶ遅くなったので、開会早々「乾杯」です。乾杯直後から、山口晃さんと一緒に写真を撮ってもらいたい協力会員が次々に押し寄せたので、山口晃さんはゆっくり食事する間もなかったと思います。申し訳ありませんでした。
山口先生の周りは人だかり

山口先生の周りは人だかり

 アルコールの助けもあり、会場のあちらこちらで話が弾みます。山口晃さんも近くに来た協力会員の感想や質問に嫌な顔ひとつ見せずに応えてくれます。これは「作家を囲む会」でなければ味わえない醍醐味ですね。
 和気藹々のなか、6時30分から「高橋コレクション展」担当の笠木学芸員の話に続いて協力会の佐久間会長の挨拶となり、最後に、山口晃さんから「囲む会」の感想などのお話をいただき、中締めとなりました。最後に、有志で後片付けをして解散です。
先生と直接お話できた会員も!ラッキーです。

先生と直接お話できた会員も!ラッキーです。


最後に先生からお言葉をいただきました。ありがとう!

最後に先生からお言葉をいただきました。ありがとう!


 朝から晩まで、3つの行事をハシゴした忙しい一日でしたが、満足できました。
 次回は、6月29日(日)名古屋ボストン美術館「ミレー展」ミニツアーです。     Ron.

山口晃さんの講演会

カテゴリ:Ron.,記念講演会 投稿者:editor

 午後1時半の開場時間に間に合わず、1時40分頃に講演会場の市美術館2階の講堂に入ると、席は8割以上埋まっていました。若い人が目立ちます。講演後にはサイン会があるので、サインを書いてもらうための本を、今日、ミュージアムショップで買った人も多数いるようです。
 開始時刻の2時になり、山口晃さんが入場して来ました。演台のところまで来て会場を見渡したあと舞台袖のスピーカーの後ろに姿を隠したので、何事が起きたかと、一瞬、会場のざわめきが止みます。ひと呼吸おいて、にこやかな表情をして山口晃さんが顔を出すと、会場は喝采の渦です。山口さんが、聴衆の心を掴んだ一瞬ですね。お茶目でサービス精神豊かな方だと感心しました。
 講演は、中日新聞などに連載中の五木寛之「親鸞」の挿絵のエピソードから始まり、「よく日本画家と紹介されるけれど、実は油絵科の出身なのです」ということから、高橋由一、黒田清輝など日本の油絵画家の苦労話へと繋がり、最後は、市美術館の「高橋コレクション展」で展示している3つの作品の話で締め括られました。ホワイト・ボードに字や絵をかきながら話を進めるのですが、これがウマイ。「親鸞」の挿絵は、一度に2日分の原稿が送られ、翌日(?と記憶してますが…)には完成した挿絵を新聞社に渡すという話を聞き「短い時間で構想をまとめて描く。それも、何年も延々と続けるのだから、気力、体力、技術が揃ってないと出来ないんだなあ」と、驚きました。
 講演会のあとはサイン会。人数が100人と多い上、サインだけでなく言葉を交わすなどサービス精神が豊かなので、終わった頃は5時をだいぶ過ぎていました。お疲れ様です。

「マインドフルネス!」展覧会ギャラリートーク

カテゴリ:Ron.,会員向けギャラリートーク 投稿者:editor

 4月11日(日)は、名古屋市美術館協力会の「マインドフルネス! 高橋コレクション 決定版2014」の展覧会ギャラリートークに参加しました。

美術館閉館後、集合した会員たち

美術館閉館後、集合した会員たち

展覧会ギャラリートークは、名古屋市美術館で特別展が開催される度に行われます。美術館が閉まった後、作品の前で名古屋市美術館の学芸員さんが協力会会員に向けて展覧会のテーマや展示内容等を貸切状態で解説してくれるというもので、美術好きにはたまりません。協力会会員の特典なので参加費は無料です。協力会会員になってよかった。
犬と一緒に、パチリ!

犬と一緒に、パチリ!

当日は、ひとまず美術館2階の講堂に集合。美術館閉館後の午後5時10分に企画展示室入口に移動して、草間彌生≪ハーイ!コンイチハ≫のヤヨイちゃんとポチの前で再び集合。なお、この作品はチラシやポスターにも使われており、この展覧会では「特別に撮影してもよい」ということなので、記念撮影する人が続出しました。
名古屋市美術館の笠木日南子学芸員によれば、今回の展覧会は精神科医で現代美術コレクターの高橋龍太郎氏のコレクションから40作家の119点を選りすぐったもの。展覧会タイトルの「マインドフルネス」という言葉の意味は、先入観にとらわれず「現実をあるがままに受け入れる、気づき」だそうです。高橋龍太郎氏は図録に「マインドフルネス」を「パーリ語のサティ(見出す)に由来する言葉」と書いており、うつ病の認知行動療法に関係し、禅の影響もあるようです。
さて、展示作品ですが、美術館の広い空間でないと十分に鑑賞できないような大型の作品が多かったのが印象的でした。また、「現実をあるがままに受け入れる」という言葉どおり、先入観を排除して作品に向き会えば胸がドキドキするものばかりです。コレクターが感じた衝撃を追体験している感じですね。個人コレクションの面白さを十分に楽しむことができる展覧会です。
チラシに印刷されていた草間彌生、加藤美佳、奈良美智、村上隆、鴻池朋子、会田誠、山口晃、名和聡子の作品はどれも、実物でなければ味わえない迫力に満ちていました。
なかでも会田誠は、チラシの作品以外に無数のゼロ戦が空爆でニューヨークを火の海にする「紐育空爆之図」と大勢の若い女性が粉々にされる「ジューサーミキサー」というショッキングな作品も展示されています。「えっ」と思わず息をのみますが「マインドフルネス」「あるがままに」と唱えていると、不思議なことに凄惨さ以外の面も見えてくるような気がしました。
名和聡子「幸福と絶望」は展示室の壁一面を覆う大きさで、美術館でなければ鑑賞できません。鴻池朋子はチラシのものだけでなく、立体の「惑星はしばらく雪に覆われる」と映像の「mini-Odyssey」も展示されています。特に、立体作品は表面が鏡に覆われた6本足のオオカミで、鏡に反射した光が展示室の四方八方に散らばり、キレイでした。
以上のほか、池田学「興亡史」は超細密でありながら巨大な絵で「どこまで描くんだ?」と、見飽きません。松井えり菜「食物連鎖」は宇宙空間を背景に作家自身がマンモスやクジラ、人間などを飲み込む絵で、左端にはウーパールーパーが泳いでおり、不思議な魅力があります。そういえば、開会式には作家本人がウーパールーパーの被り物をかぶって並んでいたそうです。
塩保朋子「cutting insights」は美術館の1階と2階をつなぐ吹き抜けに吊るされています。長さ650cm×幅356cmの紙に刃物で切り込みを入れて模様を描いた、巨大な伊勢型紙のようなもので、壁に映ったシルエットがキレイでした。ただ、光源の関係で影が二重になってボヤけていたのが残念です。小田ナオキ「undead Family」はユーモラスな中の少し悲しげな表情が気になり、染谷亜里可「Decolor-level5」はベルベットの色を抜いて制作したと聞いてびっくりしました。どの作品も理屈抜きで楽しめるものばかりです。お勧めですよ。開催は6月8日(日)まで。
                            Ron.
解説してくださった笠木学芸員を囲んで!

解説してくださった笠木学芸員を囲んで!

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