「マインドフルネス!」展覧会ギャラリートーク

カテゴリ:Ron.,協力会ギャラリートーク 投稿者:editor

 4月11日(日)は、名古屋市美術館協力会の「マインドフルネス! 高橋コレクション 決定版2014」の展覧会ギャラリートークに参加しました。

美術館閉館後、集合した会員たち

美術館閉館後、集合した会員たち

展覧会ギャラリートークは、名古屋市美術館で特別展が開催される度に行われます。美術館が閉まった後、作品の前で名古屋市美術館の学芸員さんが協力会会員に向けて展覧会のテーマや展示内容等を貸切状態で解説してくれるというもので、美術好きにはたまりません。協力会会員の特典なので参加費は無料です。協力会会員になってよかった。
犬と一緒に、パチリ!

犬と一緒に、パチリ!

当日は、ひとまず美術館2階の講堂に集合。美術館閉館後の午後5時10分に企画展示室入口に移動して、草間彌生≪ハーイ!コンイチハ≫のヤヨイちゃんとポチの前で再び集合。なお、この作品はチラシやポスターにも使われており、この展覧会では「特別に撮影してもよい」ということなので、記念撮影する人が続出しました。
名古屋市美術館の笠木日南子学芸員によれば、今回の展覧会は精神科医で現代美術コレクターの高橋龍太郎氏のコレクションから40作家の119点を選りすぐったもの。展覧会タイトルの「マインドフルネス」という言葉の意味は、先入観にとらわれず「現実をあるがままに受け入れる、気づき」だそうです。高橋龍太郎氏は図録に「マインドフルネス」を「パーリ語のサティ(見出す)に由来する言葉」と書いており、うつ病の認知行動療法に関係し、禅の影響もあるようです。
さて、展示作品ですが、美術館の広い空間でないと十分に鑑賞できないような大型の作品が多かったのが印象的でした。また、「現実をあるがままに受け入れる」という言葉どおり、先入観を排除して作品に向き会えば胸がドキドキするものばかりです。コレクターが感じた衝撃を追体験している感じですね。個人コレクションの面白さを十分に楽しむことができる展覧会です。
チラシに印刷されていた草間彌生、加藤美佳、奈良美智、村上隆、鴻池朋子、会田誠、山口晃、名和聡子の作品はどれも、実物でなければ味わえない迫力に満ちていました。
なかでも会田誠は、チラシの作品以外に無数のゼロ戦が空爆でニューヨークを火の海にする「紐育空爆之図」と大勢の若い女性が粉々にされる「ジューサーミキサー」というショッキングな作品も展示されています。「えっ」と思わず息をのみますが「マインドフルネス」「あるがままに」と唱えていると、不思議なことに凄惨さ以外の面も見えてくるような気がしました。
名和聡子「幸福と絶望」は展示室の壁一面を覆う大きさで、美術館でなければ鑑賞できません。鴻池朋子はチラシのものだけでなく、立体の「惑星はしばらく雪に覆われる」と映像の「mini-Odyssey」も展示されています。特に、立体作品は表面が鏡に覆われた6本足のオオカミで、鏡に反射した光が展示室の四方八方に散らばり、キレイでした。
以上のほか、池田学「興亡史」は超細密でありながら巨大な絵で「どこまで描くんだ?」と、見飽きません。松井えり菜「食物連鎖」は宇宙空間を背景に作家自身がマンモスやクジラ、人間などを飲み込む絵で、左端にはウーパールーパーが泳いでおり、不思議な魅力があります。そういえば、開会式には作家本人がウーパールーパーの被り物をかぶって並んでいたそうです。
塩保朋子「cutting insights」は美術館の1階と2階をつなぐ吹き抜けに吊るされています。長さ650cm×幅356cmの紙に刃物で切り込みを入れて模様を描いた、巨大な伊勢型紙のようなもので、壁に映ったシルエットがキレイでした。ただ、光源の関係で影が二重になってボヤけていたのが残念です。小田ナオキ「undead Family」はユーモラスな中の少し悲しげな表情が気になり、染谷亜里可「Decolor-level5」はベルベットの色を抜いて制作したと聞いてびっくりしました。どの作品も理屈抜きで楽しめるものばかりです。お勧めですよ。開催は6月8日(日)まで。
                            Ron.
解説してくださった笠木学芸員を囲んで!

解説してくださった笠木学芸員を囲んで!

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