12月13日発売の「日経トレンディ 2023年1月号臨時増刊 No.501 日経おとなのOFF 2023年 絶対に見逃がせない美術展」のなかで「面白い」と感じた記事を紹介します。
〇 ARTIST INTERVIEW #02 FUKUDA MIRAN(p.102~103)
名古屋市美術館で開催される、中部地域では初の個展への思いや創作の原点を、福田美蘭さんにインタビューした記事です。「協力/名古屋市美術館学芸員・森本陽香」と書いてありました。
福田美蘭さんは、「考えていることは?」という質問に「名古屋市美術館が所蔵する作品から新作を考えている」と、「どの作品から?」という質問には「アメディオ・モディリアーニ。もう一人はフランク・ステラ」と回答しています。そのほか「発想源は?」「西洋と日本の作品では、そのアプローチに違いはあるか?」「作品には“笑い”が含まれるが、それはどこから生まれるか?」「絵画にこだわるのはなぜ?」という質問にも回答。インタビュー以外に《フランク・ステラと私》(2001)、《ゼレンスキー大統領》(2022)など、6点の図版を掲載しています。
〇 画家たちの知られざる素顔 ダイバーシティの先駆け! ローランサン(p.94~95)
2023年に生誕140年を迎えるマリー・ローランサンの画業を紹介した記事です。展覧会は「マリー・ローランサンとモード」、「マリー・ローランサン-時代を写す眼」、「キュビスム・レボリューション」展の3つを紹介。「マリー・ローランサンとモード」では、1920年代のパリの社交界の寵児となるきっかけとなった作品《黒いマンテラをかぶったグールゴー男爵夫人の肖像》(1923)などを展示するようです。名古屋市美術館所蔵《サーカスにて》(1913)の図版も掲載しています。
〇 画家たちの知られざる素顔 代表作が消え続けた岡本太郎(p.91)
愛知県美術館主任学芸員・石崎尚さんに取材した記事です。岡本太郎がパリ時代に制作した作品は戦火ですべて焼失。「展覧会 岡本太郎」で展示のパリ時代の作品4点は、代表作《傷ましき腕》(1936/49)をはじめ何れも再制作したもの。「岡本太郎は多くの壁画を制作。(略)多くは建物の解体と共に後年撤去された」と続き、「“消えた作品”は、岡本太郎のあくなき挑戦の痕跡なのだ」という言葉で終わります。
〇 2023年行列ができる美術展はこれだ!(p.134~139)
明治学院大学教授の山下裕二さんと編集者・美術評論家の山田五郎さんの対談です。その中に「マリー・ローランサンとモード」「福田美蘭展」の名前が挙がっていました。その内容は、以下の通りです。
p.137 山田 (略)「マリー・ローランサンとモード」もお薦めです。恋人だった詩人ギョーム・アポリネールをはじめ、“洗濯船”に集うアーティストや、ココ・シャネルとも交流があった画家。作風は好き嫌いが分かれても、生き方には共感する女性が多いのではないでしょうか。
p.139 山下 「福田美蘭」は真面目で几帳面、丁寧に創作に取り組むアーティスト。僕は彼女をとても尊敬しているんですよ。常に新しいことに取り組むチャレンジ精神もいい。展覧会の会場は名古屋市美術館。アメディオ・モディリアーニをはじめ、同館の所蔵品からインスピレーションを受けて制作した新作を出すらしい。たくさんのお客さんにみてほしいな。
〇 最後に
山下裕二さんと山田五郎さんの対談では、次のような発言もあります。
p.138 山田 パリ関連でもうひとつ。「イヴ・サンローラン展」も見逃せません。110体の衣装と小物や写真で振り返る、“モードの帝王”の華麗な足跡。今の流行だけでなく過去の歴史も知れば、ファッションがもっと楽しくなりますよ。
「サンローラン」と「ローランサン」はよく似た名前。また、「マリー・ローランサンとモード」で取り上げるココ・シャネルがイヴ・サンローランを「後継者」と公言していたので、紹介しました。
Ron.