2026オリジナルカレンダーのお知らせ 水野里奈氏

カテゴリ:オリジナルカレンダー 投稿者:members

2026年協力会オリジナルカレンダーの作家は、水野里奈氏です。
水野里奈氏は愛知県出身で、名古屋芸術大学 美術学部 洋画2コースを卒業、多摩美術大学 大学院美術研究科 修士課程 絵画専攻 油画領域を修了しています。「アーツチャレンジ2016」(愛知芸術文化センター)や、「現代美術のポジション2021-2022」(名古屋市美術館)など、愛知県内で作品を見る機会も多く、ご存じの方も多いと思います。

2026年カレンダー 原画:水野里奈 ≪チューリップ≫ 2025 名古屋市美術館

今年のカレンダーの原画になった≪チューリップ≫を間近に見ると、油彩だけでなく、ビーズや刺繍による装飾がふんだんに使われ、とても華やかな雰囲気です。さらに全体をよく観察すると、色彩の異なる長方形が何層にも重なり、とても細密な描写になっています。

作家のステートメントにもあるように「見ても見きる事の出来ない」、眩暈のするような素敵なカレンダーになりました。

水野里奈 – rinamizuno

水野里奈/rinamizuno(@_rinamizuno)

名古屋市美術館をめぐる4つの対話(アーティストトーク)

カテゴリ:会員向けギャラリートーク 投稿者:members

はじめに

名古屋市美術館で開催されている「コレクション×現代美術 名古屋市美術館をめぐる4つの対話」展のアーティストトークに参加した。「アートの最前線に立つ作家たちは、名古屋市美術館をどのように見るのでしょうか?」という問いをもとに、愛知にゆかりのある作家が、それぞれの新作と名古屋市美術館のコレクションを使って、新鮮な展示空間を作っていた。

美術館入口

展覧会のタイトルにある「対話」とは、お互いの価値観や感情の理解を深めるために、相手を尊重しながら、丁寧に話し合うことを意味する言葉だが、相手が人間ではなく物質(作品)の場合、どのように理解を深めたのか。そして、それがどのように展示に反映されたのか。それぞれの作家の対話の軌跡を追いながら、楽しくトークを聞くことができた。

田村友一郎 × ジョナサン・ボロフスキー

仰向けに落下する金色の人物像とボロフスキーの≪フライングマン≫の対比。実際に卓球はできないが、田村とボロフスキーのメールによる対話を記録した卓球台。これらは、卓球台をはさんで向き合う見えない人物による言葉の卓球(対話)を暗示しているのだろう。ところで、この金色の人物像は、2階の展示室から見下ろすことができる。彼の表情を見て、彼の叫びを想像してほしい。

アーティストトーク 田村友一郎

斉と公平太 × アメデオ・モディリアーニ

展示室を進むと、≪おさげ髪の少女≫の拡大模写がある。巨大な「少女」の肖像を見ると、ある違和感を覚えた。それは、「少女」という言葉の持つ小柄な人物のイメージと、目の前の作品に描かれた巨大な人物のスケール感の差異によるものだ。さて、皆さんは、どのように受け取るか。地下のコレクション展の展示室に置かれた≪おさげ髪の少女≫のオリジナルと見比べ、対話してほしい。途中でマイクの調子が悪くなり、作家が椅子の上に立ち、大きな声で話すというハプニングもあったが、とても熱量のあるトークだった。

アーティストトーク 左から、斉と公平太、久保田学芸員 (背景 斉と公平太 ≪おさげ髪の少女の拡大模写≫ 2025 作家蔵)

三瓶玲奈 × 桑山忠明、アンディ・ゴールズワージー

三瓶の作品は大きな画面なので、離れたところから鑑賞しがちだが、ぜひ近くからも見てほしい。大きく跳ねるような筆遣いとスピード感が、絵の具のエッジからも感じられる。他の作品でも、桑山やゴールズワージーの作品を取り込んだと思われる、微妙な色合いと連続する色の変化の表現が見て取れる。3人の作家による時間を隔てた対話の経緯を想像してみよう。どの作家の作品も、とても静謐だ。

アーティストトーク 三瓶玲奈

蓮沼昌宏 × マリア・イスキエルド、高松次郎

蓮沼の作品は、影を強調したイメージを描いている。絵画作品に混じって、鏡を使った影絵の作品もある。見方によっては、実際の作品より影の方が存在感を主張し、主客転倒した印象がおもしろい。

アーティストトーク 中央 蓮沼昌宏、左 久保田学芸員 (背景 蓮沼昌宏 ≪カーテンの光≫ 2025 作家蔵)

本展に先立ち、蓮沼は名古屋駅桜通線の通路にある高松次郎の壁画の調査・清掃プロジェクトに参加した。高松の作品も影を主役とした作品だ。近いうちに、こちらの壁画も見に行きたい。

高松次郎 ≪イメージスペース・名古屋駅の人々》(部分) 1989 地下鉄東山線・ 桜通線名古屋駅

おわりに

美術館1階のエレベーター横に2026年のカレンダーが掲示されている。水野里奈による≪チューリップ≫というタイトルの作品を原画に使用した、とてもカラフルで明るい絵柄が目を引く。名古屋市美術館協力会の会員特典なので、興味のある方は実物を見てみては。

名古屋市美術館協力会について

2026年カレンダー 原画:水野里奈 ≪チューリップ≫ 2025 名古屋市美術館

杉山 博之

オリジナルカレンダーが勢ぞろい

カテゴリ:オリジナルカレンダー 投稿者:members

現在開催中の「名品コレクション展Ⅲ」は、もうご覧になりましたか。「現代の美術:月日をともに歩む」のコーナーに、これまでに制作された名古屋市美術館協力会オリジナルカレンダーが勢ぞろいしています。

山本富章 ≪ring-b.w.n≫ 2005 名古屋市美術館 (提供:名古屋市美術館)

会員の皆さまにとって、ずいぶんと懐かしいカレンダーだと思います。その年のカレンダーの役目を終え、バインダーにしまい込んだまま、忘れていたカレンダーのことを思い出したのではないでしょうか。その年の出来事を思い出しながら、20年分の時間の蓄積を思い返してみてはいかがでしょう。

渡辺英司 ≪彼方此方≫ 2011 名古屋市美術館、庄司達 ≪名古屋市美術館協力会カレンダー2017年版≫ 2016 (提供:名古屋市美術館)

美術館1階エレベーター横には、水野里奈による2026年のカレンダーの見本が掲示されています。まだ会員でない方は、ご入会をご検討ください。(ただし、制作枚数が限られているので、残数についてはお問い合わせください)

協力会事務局

2025秋のアートツアー

カテゴリ:アートツアー 投稿者:members

12月14日の日曜日に、名古屋市美術館協力会秋のツアーが行われ、総勢28名が参加しました。行き先は京都の對龍山荘と泉屋博古館です。当日は午前中あいにくの雨でしたが、午後からは晴れ、まずまずの天気でした。

最初の訪問先、對龍山荘では国の名勝に指定されている庭園と近代和風建築のすばらしさを体感することができました。蔵には柿右衛門の壺、楽旦入の茶碗があり、座敷には横山大観の絵画など数寄者を喜ばせる数多くの名品があり、その建物の歴史を感じることができました。また聚遠亭には裏千家11代玄々斎の掛け軸、ゆかしき茶室もあり、茶道をたしなむ人たちにとって興味深い場所であると思います。

對龍山荘にて

庭園については見事というほかありません。今までに京都で数多くの庭を見てきましたが、スケール感、設計における随所でのこだわりは半端ありません。それから池の錦鯉の圧倒的な数の多さ。これらの建物と庭を維持するのは大変なことだと思います。これからの長きにわたって文化遺産として保存されることを強く願います。

對龍山荘庭園

昼食は南禅寺山門前の順正で湯豆腐をいただきました。ひさびさに食べました。おいしかったです。

午後から泉屋博古館に移動して「鹿子木孟郎 不倒の油画道」、常設展「中国青銅器の時代」を鑑賞しました。鹿子木は、フランス留学をしている人で、落ち着いたリアリズムのなかに品のよさを感じさせる作品がありました。青銅器については見る機会もあまりないので、新鮮な気持ちをもって楽しむことができました。動物をかたどった文様など、貴重なコレクションを数多く見ることができました。随分前に東京の泉屋博古館に茶道具を見に行ったことがありますが、住友財閥系は数多くの名品を所有していると改めて認識しました。

泉屋博古館

 今回のツアーほぼ日程表どうり、存分に京都を楽しみました。同行の学芸員の竹葉さんには、いろいろな美術情報を教えていただきありがとうございました。また役員の皆さん、いろいろとお気遣いいただき感謝申し上げます。

谷口 信一

秋のアートツアー(京都)

カテゴリ:アートツアー 投稿者:members

はじめに

協力会の秋のアートツアーで、京都の對龍山荘と泉屋博古館を訪問した。ツアー当日は、前日からの雨も止み、庭園の散策と展覧会を満喫した。

對龍山荘

對龍山荘の書

對龍山荘の庭園は、東山の眺めを背景に、約1800坪の広大な敷地に池や流れ、芝生広場などを配置している。国の名勝にも指定され、近代日本庭園の先駆者と称えられる七代目小川治兵衛が改修を手掛けた。座敷からの眺めも、庭に降りての眺めも、とても印象的な体験だった。

對龍山荘の庭園の眺め

お昼は、南禅寺界隈の湯豆腐のお店へ。暖かいものを食べ、体中がホカホカになった。

昼食のテーブル

泉屋博古館

「生誕151年目の鹿子木孟郎-写実絵画の精髄-」と、コレクション展の「中国青銅器の時代」を見た。

鹿子木の作品を見て、名古屋市美術館のコレクション展で見かける郷土の作家の中にも、よく似た作風の作家がいることに気がついた。同じ時代に活躍し、写実的な表現を試みた京都の作家と名古屋の作家の作品が、はからずも似ていることが面白かった。

会場入口

中国青銅器展では、青銅器の鋳造過程を模型と映像で解説しているコーナーがあった。いくつもの土の型を組み合わせ、とても複雑な形状の器ができる様子は、思わず映像の最後まで見てしまうほどの面白さだった。

展示風景

泉屋博古館で記念撮影。

美術館入口にて

杉山 博之

This is SUEKI -古代のカタチ、無限大!

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

はじめに

愛知県陶磁美術館(以下、愛陶)で、全国の須恵器の名品を集めた展覧会が始まった。本展で紹介される須恵器とは、1600年以上前の古墳時代に生まれた“やきもの”。それまでの土器に比べ、穴窯を使い、高温で焼くことで、丈夫で水漏れしにくいことが特徴。

会場入口

須恵器の分布や形状の変化をたどると、当時の東アジアとの交流や日本の文化や美意識の変化をうかがうことができる。「やきもの」の殿堂、愛陶が見せる史上最大規模の須恵器展、これは見逃せない。

第1章 海を渡った技術と文化

須恵器の製法は、古墳時代の4世紀末から5世紀初頭に、朝鮮半島から伝来した。本章では、朝鮮半島で作られた「陶質土器」と日本列島で作られた「陶質土器=須恵器」を比較しながら、その類似点と相違点をわかりやすく展示している。

取っ手の付いた須恵器のカップを見ると、現在のマグカップのデザインとほぼ同じ。当時の人々が集まり、飲み物を入れたカップを手にして、談笑している様子を空想した。

展示風景

第2章 造形のうつりかわり

須恵器の製法は、奈良・平安時代にかけ、日本列島に拡大した。その過程で、東アジアの国際情勢の変化や仏教文化の伝来・定着により、器としての形は様々に変化する。

本章では、5~9世紀の須恵器の変遷を九州、近畿、東海、関東で比較し、紹介している。展示された器だけでなく、愛知、岐阜をはじめ、各地に残る古窯とその規模にも驚かされる。

展示風景

第3章 ハレのうつわ~古墳時代の祭り~

生活の道具としての用途以外に、儀礼や祭礼のための道具として作られた須恵器のことを、装飾須恵器、特殊須恵器と呼ぶ。その造形は、とても奇妙で複雑だ。例えば、大きな壺の肩の部分に小型の壺をたくさん載せたもの、蓋の持ち手の部分に鳥の造形を施したものなど。どちらも、使い勝手の良さを求めない、ユーモラスな形状をしている。作り手の豊かな創造力が存分に発揮されており、見ていて楽しい展示だ。

展示風景

おわりに

多様な造形の変遷を見せる須恵器の数々を見ていて、ふと、ガラスや金属などで作られた同形状の器が、身の回りにあることに気がついた。これらの器の中には、須恵器がルーツになったものもあるだろうと思うと、須恵器に親近感がわいた。

多数の展示物と、わかりやすいキャプションで、須恵器の歴史を見ることができる展覧会だった。

杉山 博之

error: Content is protected !!