お知らせ

2025年8月18日

2025年協力会イベント情報

現在、下記のイベントの申し込みを受け付けています。

1.近代名古屋の日本画界(常設企画展) 協力会向け解説会 名古屋市美術館 令和7年1026

参加希望の会員の方は、ファックスか電話でお申し込みください。ホームページからの申し込みも可能です。

なお、次回特別展の「藤田嗣治 絵画と写真」の解説会は、アンケートを実施しています。ファックスまたは、下記のアンケートサイトから希望時間帯をお知らせください。後日、開催日をお知らせします。

最新の情報につきましては随時ホームページにアップしますので、ご確認ください。また、くれぐれも体調にはご留意ください。

10月からギャラリートークの形式が変更になりますので、会員の皆様の参加希望をアンケートさせていただきます。アンケートはこちら(受付期間:8月10日~9月10日まで)

これまでに制作された協力会オリジナルカレンダーのまとめページを作りました。右側サイドメニューの「オリジナルカレンダー」からご覧ください。

事務局

東京藝術大学コレクション 麗しきおもかげ 日本近代美術の女性像

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

3月5日(土)から、名古屋市美術館で東京藝術大学コレクションによる女性像の展覧会が開催されています。展覧会は2部構成で、第1部が東京藝術大学コレクションと名古屋市美術館所蔵作品11点による「日本の近代美術の女性像」、第2部が「東京美術学校日本画科の卒業制作の女性像」です。

ギャラリートークの様子

ギャラリートークの様子


◆第1部では、重要文化財が3点
 第1部の見どころは3点の重要文化財でしょう。とはいえ、会期中に展示替えがあるので、現在見ることが出来るのは狩野芳崖《悲母観音》(3月21日まで)だけ。高橋由一《美人(花魁)》と浅井忠《収穫》は3月23日からのお楽しみです。後期に、もう一度見に来ましょう。
 《悲母観音》は日本画のためか、照明が暗いので近くでじっくり見なければなりません。仔細に見るとヒゲが描かれ「あれ?」と思いましたが、「母性愛」を表現しているということならば、やはり女性像ですよね。
 なお、個人的趣味ですが、百武兼行《ブルガリアの女》に描かれた民族衣装が印象的でした。一枚革と皮ひもで出来ている靴が面白いですね。
◆名古屋市美術館のコレクションが11点
 何故か懐かしさを感じる作品が何点もあるのでキャプションに目を凝らすと、作品番号の右肩に小さな*印が付いています。市美のコレクションでした。普段は常設展示室の狭いコーナーに展示されていますが、今回のような広い空間で見て、作品の質の高さを改めて感じました。佐分眞《食後》では、テーブルの果物や右の女性のドレスの色の鮮やかさに目を見張りました。
◆日本画の変遷が体感できる第2部
 2階には、1940年までに収蔵された日本画科の卒業制作から厳選された40点が展示されています。どの絵も大きく、色彩が鮮やかなことに目を引かれます。全力を注ぎこんで卒業制作に取り組んだことがうかがわれます。展示室の入口の解説では5期に分けて、卒業制作の変遷を概観していますが、確かに、絵のテーマや描かれた女性の服装が時代とともに変わっていくのが良く分かります。篠田十一郎《あかとんぼ》は、女の子が七五三の記念写真のようで可愛らしく、思わず見入ってしまいました。
 昭和になると洋装の女性が描かれるようになりますが、金子孝信《季節の客》では雑誌「VOGUE」がチラッと見え、昭和15年という時代にこんな絵を描いた勇気に驚きます。図録の解説には「中国戦線に派遣され、1942(昭和17)年に戦死。」との記述。「さぞ無念だったろうな。」と、ため息が出ました。
 3月13日(日)に協力会のギャラリートークがありますが、所要のため参加できないのが、とても残念です。会期は4月17日(日)まで。       Ron.
思い思いの絵に見入る会員たち

思い思いの絵に見入る会員たち

ポジション展ギャラリートーク

カテゴリ:会員向けギャラリートーク 投稿者:editor

不思議な作品、見上げる会員たち

不思議な作品、見上げる会員たち


  今回のギャラリートークではこの展覧会自体が個性ある作家たちの作品展示ということでいろいろな種類のアートに触れることができた。従来のポジション展は絵画というか平面的な作品が多いのだが今回は針金、陶器、米粒、糸、紙などを使った立体的な作品が多く地元の作家たちの力作が並ぶものとなったと思う。自分たちでも購入できそうな作品も多く協力会のメンバーで購入した人もいるという話も聞く。日常生活にアート作品を持ち込むなんて素敵な選択だと思う。つい先日シャネル銀座のギャラリーでフランスの作家の作品を見てきたがあまり興味を抱かなかった。作家の意図はあるのだが日本人にはピンとこない。しかしこの展覧会では地元作家のセンスのよさがひかる。学芸員の中村さんによる話でさらに作品に対しての深い理解ができたと思う。
美しい雨の中にいるような作品

美しい雨の中にいるような作品



  水谷さんのかわいい猫たち、水野さんの蚊帳のある部屋の展示、中谷さんの提灯をつかった哲学的な作品、稲葉さんの糸を使用した鳥の巣、徳田さんの未来的なカップ、KIMさんの遊び心満載の作品、そして米山さんの自分の名にちなんで米粒にこだわるのかどうかわからないが米粒を使った大変な作業時間を要する作品、白居易の詩を使った作品など細かく丁寧に見れば見るほどいろいろな発見ができる展覧会である。まだ見ていない人たちにぜひ見てほしいと思う展覧会である。参加者は30人ほどであった。
                              谷口 信一
丸テーブルを囲んで

丸テーブルを囲んで

ポジション2016 作家を囲む会

カテゴリ:作家を囲む会 投稿者:editor

 新年おめでとうございます。本年も名古屋市美術館協力会をよろしくお願いいたします。

乾杯の音頭をとる佐々木会長

乾杯の音頭をとる佐々木会長


正月気分もまだ抜けきらない1月10日に、恒例の作家を囲む会が催されました。
今回の展覧会は、若手の作家を集めたポジション展。囲む会にもたくさんの作家さんが参加してくださいました。
普段、作家さんと話をする機会はなかなか持てません。しかしこの会では、作家さんと個人レベルの話をすることができるので、毎回楽しみです。

今回は2013年のトリエンナーレ出品作家でもある、米山より子さんとお話しさせていただきました。
彼女の作品は、絹糸にごはん粒を貼り付けて、まるでクリスタルのような輝きを生みだした糸を、何百本も吊るして幻想的な空間を作り出したインスタレーション。私も及ばずながら制作に加わらせていただいたので、ひと際思い入れのある作品でした。ご本人はとても気さくな方で、嬉しいことに私のことも覚えていてくださいました。また機会があればお手伝いさせていただきたいと思っています。

いつもながら、会員の皆さんが差し入れてくれる高級酒と、おはなカフェのお料理に大満足したひと時でした。
Izumin

今回も、おはなの伊藤さん手作りのお料理

今回も、おはなの伊藤さん手作りのお料理


おいしい料理に場も盛り上がります

おいしい料理に場も盛り上がります


作家のみなさんにもお話してもらいました

作家のみなさんにもお話してもらいました

2016オリジナルカレンダーのお知らせ 設楽知明氏

カテゴリ:オリジナルカレンダー 投稿者:members

2016年の協力会オリジナルカレンダーの作家は設楽知明氏に決定しました。

設楽知明氏は北海道生まれ、愛知県立芸術大学で教鞭をとられています。名古屋を中心に精力的に作品を発表し続け、1994年に名古屋市美術館で開催された「ポジション展」にも作品を出品しています。そのご縁で、オリジナルカレンダーをお願いすることとなりました。

会員の方には、準備が整い次第、順次、発送させていただきます。お手元に届くまで、もうしばらくお待ちください。

名古屋市美術館協力会では、毎年、地元作家によるオリジナルカレンダーを配布しております。そのほかにも特典がいっぱいです。まだ会員でない方は、是非、この機会にご入会ください。

お問い合わせは、名古屋市美術館協力会、中村(052-212-0001)まで。

「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」ギャラリートーク

カテゴリ:会員向けギャラリートーク 投稿者:editor


名古屋市美術館で開催中の「ラファエル前派展」(以下「本展」といいます。)のギャラリートークに参加しました。参加者は46名、解説は笠木日南子学芸員でした。
Ⅰ ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
最初に出合うのはミレイ《いにしえの夢―浅瀬を渡るイサンプラス卿》。この絵は、緻密に描く所と荒い描写を使い分けることで主題を際立たせているとの解説でした。確かに遠景はout of focus いわゆる「ボケ」が効いており、前景の人物が鮮やかに浮かび上がっています。葡萄の彫刻で装飾された金色の額縁が豪華で、リバプールの産業資本家の財力を見せつけています。
同じくミレイ《ブラック・ブランズウィッカーズの兵士》は、精一杯のおしゃれをしていることを示すため、わざわざ「おろしたて」のしるしである折り皺をドレスに描いているとの解説で、戦場に出発する前の、短い時を惜しむように寄り添う男女の姿は映画の1シーンのようです。
ロッセティ《シビラ・パルミフェラ》は、理想的な女性を象徴的に描いたとのこと。華奢ではなく、骨太な感じのする女性なので、中村獅童の女形を連想してしまいます。
Ⅳ 19世紀後半の象徴主義者たち
Ⅰ章の次にⅣ章が続くという不思議な順序ですが、理由はバー=ジョーンズの《スポンサ・デ・リバノ(レバノンの花嫁)》が大きすぎて、2階に運べなかったから。展示室の天井まで届く絵で、かなり後ろに下がらないと全体が見えません。花嫁の背景には擬人化した北風と南風が描かれていますが、ボッティチェリの名画《ヴィーナスの誕生》に着想を得たものとか。
ウォーターハウス《エコーとナルキッソス》は図録の解説に誤りがあり、画面右の水仙がナルキッソスの死の象徴であり、エコーが握るツタと黄色いアイリスが彼女の象徴との解説でした。
解説は無かったのですが、フォーテスク=ブリックデール《小さな召使(少女エレン)》の男装した少女の姿に惹かれました。
Ⅱ 古代世界を描いた画家たち
この章には女性のヌードがいくつもあります。解説では、ヴィクトリア朝の英国では古代ギリシア、古代ローマ帝国の女性ヌードを描くことが流行したとのこと。現代の女性のヌードは卑猥ですが、古代世界のヌードは「芸術である」と言い訳できたようです。なかでも、古代ローマの微温浴室に入浴する女性を描いた、タマデ《テピダリウム》は、男性の視線を十分に意識した作品です。タマデはこのような作品を描くことで成功した画家、との解説がありました。解説はありませんでしたが、アパリー《プロクリスの死》も横たわった女性が官能的です。
一方、ムーア《夏の夜》に描かれたのは古代ギリシア彫刻のような女性で、タマデと違い官能性は無く、絵には日本的なモチーフも描かれているとのこと。淡い色彩で、黄色が印象的です。海の夜景に懐かしさを感じてしまうのは、何故でしょうか。
Ⅲ  戸外の情景
最後の作品がハント《イタリアの子ども(藁を編むトスカーナの少女》で、「もう帰ってしまうのですか。もう少し見て行って。」と話しかけているようです。ハントには良心の目覚めなど宗教的主題のものが多く、この絵は「ハントらしくない主題」とのこと。
最後に
「自然に忠実に」をモットーにしたと言われるとおり人物も風景も写実的な描写で、素直に絵の世界に入っていけます。チラシのとおり「豊かな物語性を孕み、想像力を喚起」される作品ばかり。笠木さんによれば、ほとんどが日本初公開ではないかとのこと。会期は12月13日まで。
Ron.

解説してくださった笠木日南子学芸員

解説してくださった笠木日南子学芸員

「画家たちと戦争:展」ギャラリートーク

カテゴリ:会員向けギャラリートーク 投稿者:editor


名古屋市美術館で開催中の「画家たちと戦争:展」(以下「本展」といいます。)のギャラリートークに参加しました。本展は、14人の画家たちの戦前、戦中、戦後の作品の変遷を見ることで、彼らが戦争を「いかにして生きぬいたのか」を検証しようとするものです。当日の参加者は43名。山田学芸課長(以下「山田さん」といいます。)のトークは、通常の時間大きく超え2時間半に及びました。
◆当日は12人の画家の作品を鑑賞しました
日本画と版画は展示できる期間が短いため、14人の画家のうち横山大観、恩地孝四郎は前期(7/18~8/23)のみ、福田豊四郎、吉岡堅二は後期(8/25~9/23)のみの展示です。全部見ようと思ったら、後期も来ないといけませんね。
◆山田さんいわく「今回の主役は松本俊介」
 本展では一人の作家につき9点の作品を取り上げていますが、松本俊介だけは11点。なかでも、本展のポスターなどに使われている《立てる像》からは画家の覚悟が感じられ、これだけでも見に来た価値があります。《街》の青色も良かった。
◆藤田嗣治は「猫」に注目
 山田さんによれば「藤田嗣治は質・量ともに最大の戦争画家で、その作品は前期と後期に分かれる。前期は従軍時の見聞をもとに描いたもの。後期は負け戦で現地に行ける状況ではないため、新聞記事や資料をもとに想像で描いたもの。」とのことです。本展では前期最後の作品《シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)》が展示されており、その大きさと描写力に圧倒されます。後期の代表作は《アッツ島玉砕》(展示なし)で、その原点が《猫「争闘」》(参考図版を展示)とのこと。牙をむいて争う猫に残忍な本性が見えます。藤田の猫の絵は、他にも多数展示。
◆答えに窮する、北脇昇の《クォ・ヴァディス》
 この絵の前で、山田さんは「左は行進する民衆たち、右は嵐の中の荒廃した街。どちらに進むのか聞かれているのは、絵を見ているあなたですよ。どう答えますか。」と聞いたのです。私は「うっ。」というばかりで、答えに窮しましたね。
◆穏やかな作風の岡鹿之助にも戦争の影響があった
 地下の常設展示室3は、岡鹿之助と宮本三郎の展示です。なかでも岡鹿之助は風景画と静物画ばかりで戦争とは無関係に見えます。しかし、山田さんによれば「戦中の作品は色がくすみ、もとの色彩が戻るのは戦後しばらくしてから。」とのこと。良く見ると、その通りです。戦争の影響の大きさを感じました。
◆見逃せない展覧会
残念ながら余白が僅かなのでこれで最後にしますが、本展は見逃せません。理由は二つ。一つは、各作家の代表作がこれだけ集まっている展覧会は滅多にないから。もう一つは、戦後70年に当たり、過去を振り返り、未来を展望するヒントを与えてくれる作品が展示されているからです。            Ron.

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