第2回コレクション解析学
演題:「〈いろ〉と〈かたち〉と自然の力と」
7月25日の講座に参加しました。元永定正の画業を学芸員の清家さんがわかりやすく解説。 元永さんの美術にたいする考え方、その技法をより理解することができました。
常々思うのですが、このコレクション解析学、市美術館の所蔵作品を通してその作家のライフ ワークが90分ぐらいでおおよそ理解できるので毎回楽しみにしています。今回も期待を裏切らない 興味深い内容で大変勉強になりました。
元永さんが最初に公に認められたであろう「黄色の裸婦」、「緑色の裸婦」の紹介に始まり 1954年の「寶がある」という作品では神戸の摩耶山から形のヒントを得ていること。1958年 頃から流し込みの技法を使い始めるなど、徐々に「具体」の中心作家として活躍していく過程を 作品を通してわかりやすく説明。また当時の「具体」の制作活動のルールが①人のまねをしないこと、②文学性、物語性はいらないこと、であったことの説明もありました。
そして1961年の東京画廊での個展で世間での評価がさらに高まったこと。ニューヨークへ行ってからのリキテックスを使用して流し込みに挑戦したがうまくいかなかったこと。1967年頃からエアブラシを使用しより かたち が鮮明になったことを解説されました。
市美の所蔵作品はもちろんのこと、他の美術館の作品を通して元永さんの全体像を私なりに把握できたと思います。彼が作品制作にあたって必ず下絵を綿密に描いていたことは驚きでした。
それから以前から疑問に思っていたことですが、なぜ日本の戦後の前衛美術運動である「具体」の活動が海外に広く知られているのかということです。清家さんのお話ではフランスのミシェール・タピエの存在があるとのことだそうですが、私の美術の知識のなさを改めて思い知らされました。
次回9月25日はシャガールですが、またこの講座で勉強させていただこうと思っています。学芸員の先生がたよろしくお願いします。
谷口 信一