オディロン・ルドンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけ、フランスを中心に活躍した幻想的な作風で知られる近代絵画の巨匠。そのオディロン・ルドンの展覧会が、名古屋のヤマザキマザック美術館で開催中。会期は、前期が12月21日まで、後期は12月24日から2026年2月23日まで。

黒と白の世界
オディロン・ルドンの初めての石版画集『夢の中で』から最後の『ヨハネ黙示録』まで、彼の代名詞ともいえるモノトーンの幻想的な世界が広がる。とはいえ、近くで見ると不気味な作品が多い。アニメ映画に登場する魔物のように描かれていない分、その不気味さには深みと強さがある。

色彩の世界
花瓶に生けられた色とりどりの花々の作品が観客を出迎える。作品のサイズも大きすぎることなく、大作を前にしたときの圧迫感がない。水色系の壁面の色合いと調和し、とても落ち着いた印象を受ける。

美術批評
オディロン・ルドンは同時代の作家について、多くの批評を残した。好意的なもの、批判的なものを取り混ぜ、現代でも有名な作家もいれば、時代に埋もれた作家も含まれる。また、批評したジャンルも絵画だけでなく彫刻も含むなど、とても幅が広い。オディロン・ルドンの批評の目を通し、当時の美術界の動向を垣間見る趣向だ。

おわりに
ヤマザキマザック美術館が所蔵するフランス美術のコレクション展と一緒に、19世紀末の幻想的で少しグロテスクなオディロン・ルドンの世界を楽しんではいかが。なお、展覧会の会期中に講演会やナイトミュージアム(演奏会)も開催される。
杉山博之


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