名古屋市美術館で開催中の「フランソワ・ポンポン展 動物を愛した彫刻家」(以下「本展」)名古屋市美術館協力会・会員向け解説会に参加しました。参加者は42人。2階講堂で星子桃子学芸員(以下「星子さん」)の解説を聴き、その後は自由観覧・自由解散となりました。なお、星子さんは本年4月に、名古屋市博物館から異動。専門は、明治以降の書家と豊臣秀吉の花押の研究、とのことでした。
◆2階講堂・星子さんの解説(16:00~16:45)の概要 なお、(注)は、私の補足です。
・フランソワ・ポンポン(1855~1933)は、どんな彫刻家?
フランソワ・ポンポン(1855-1933、以下「ポンポン」)はフランス人。ブルゴーニュ地方の生まれで、父は木工家具の職人。彫刻家のスタッフとして働き、その後、動物彫刻家として有名になった人です。
ポンポンの動物彫刻が人気を得た理由は、次の3点です。
1 アール・デコ様式 単純で幾何学的な形の作品で、異国趣味もあります。(注:有機的で流麗・装飾的なアール・ヌーヴォーに対し、アール・デコは機能的でシンプルな形、ということでしょうか?)
2 動物をモチーフにした芸術 ポンポンは、ブロンズの複製を多数制作しました。
3 活気ある動物園 欧米列強は植民地から珍獣を持ってきて動物園で陳列。ポンポンは、動物園で観察を繰り返しました。
以下、主な出来事を年代順に説明します。
1885.5.9 二卵性双生児の一人として、ソーリュー(パリの北)に生まれる
1886年 31歳 サロンに出品
1888年 33歳 ビクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」の登場人物が主題の《コゼット》(石膏)を発表
1890年 35歳 彫刻家ロダンの工房に入り、人物彫刻を手掛ける
1894年 39歳 《コゼット》の買い上げを国に要請するが、拒否される
1895年 40歳 ロダンの下を離れる
1902年 47歳 キュイ・サン・フィアルクで家畜や家禽をモデルに粘土で造形するようになる
1906年 51歳 サロンに《カイエンヌの雌鶏》(ブロンズ)を出品
1908年 53歳 石の《モグラ》が芸術雑誌に取り上げられる
1918年 63歳 エブラール鋳造所に《ほろほろ鳥》を含む3点を売却
1926年 71歳 飼っていた鳩をモデルにした《鳩ニコラ》を制作
1930年 75歳 ボストンテリア《トーイ》を制作。《クマの頭部》を制作しショールームのドアに取り付け
1931年 76歳 亡くなる前年まで、ライオンを制作
1932年 77歳 死亡
・ポンポンの作品を所蔵している美術館など
オルセー美術館 石で彫られた大型の《シロクマ》のほか、ブロンズの《ワシミミズク》を所蔵
◆展示室・自由観覧(17:00~18:00)概要
国立自然史博物館 附属図書館に大型石膏の《カバ》を展示
エントランスホールには大型の《シロクマ》が置かれ、自由に撮影できます。星子さんに「大理石ですか?」と聞いたら「樹脂製です」との回答。当然、そうですよね。ばかばかしい質問でした。
展示されているのは、屋外用の全長2メートルを超すような大型作品ではなく、主に室内に飾るための作品です。室内装飾用の動物ノベルティといえばマイセン磁器が有名ですが、ブロンズ彫刻などの需要も大きかったということですね。作品点数は90点と多いのですが、ゆったりと鑑賞できます。同じ作品でも、石膏、ブロンズ、銀合金、無釉硬質磁器、白色大理石と、素材は様々。石膏、ブロンズといっても着色しているので一つひとつの印象が違い、飽きることがありません。展示室内の撮影は禁止ですが、2階展示室の最後にある白色大理石の《シロクマ》だけは撮影可。皆さん、スマホで撮影していました。今回は主催者の好意で“特設ショップ”も営業時間を延長。私は「マスクケース」を買いました
最後は三々五々と、五月雨式に解散。参加者の皆さんは、満足そうな様子でした。
Ron
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