愛知県立芸術大学卒業・修了制作展(その1)
スチールのフレームに取り付けられたアクリル版から無数のテグスが垂れ下がり、目線の高さあたりに色の濃いビーズのようなものが、たくさん取り付けられている。作品の周りを歩くと、直方体の面の正面で、顔のようなイメージが浮かび上がる。左右に移動し、斜めから見ると、顔のイメージは見えなくなる。構造はシンプルだが、とても不思議な作品だ。

等身大のフレームの中に顔だけ浮かび上がっているので、棺桶を見ているようだ。描き出されているのは、誰の顔なのだろう。ひと区切りした学生時代へのレクイエムなのか。アトリエには、似たような試作品や部品が積まれているのか。この作品が作られる様子を考えると、いろいろと疑問が湧いてくる。

作品タイトルを見ると≪コミュニケイト≫とある。どうやら、本作は実在する誰かのイメージを表現したものではなく、鑑賞者の自己問答や鑑賞者同士の対話を促すコンセプトアートのような位置づけなのかもしれない。会期は短いが、色の濃いビーズの集まりが、突然、人の顔に見えてしまう驚きを体験してもらいたい。
杉山 博之


コメントはまだありません »
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.
Leave a comment
コメントを投稿するにはログインしてください。