2010年から3年ごとに開催されてきた国際芸術祭「あいち」(旧称:あいちトリエンナーレ)が開幕しました。テーマは「灰と薔薇のあいまに」で、22の国と地域から62組のアーティストが参加します。
会場は愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなかです。また、パフォーミングアーツのプログラムも、多様な社会課題を背景に持つものが多く、美術展とは違った発見があると思います。会期は11月30日までです。
会場ごとに、数点ずつ、目を惹かれたものを紹介します。

インドネシア出身のムルヤナは、かぎ針編みの手法で広大な海の世界を表現しています。無数のカラフルなオブジェと真っ白なオブジェが、10Fロビーを埋め尽くし、そのボリュームと形態のおもしろさに目を惹かれます。背景には、地球温暖化や海洋汚染による環境問題への意識があると思われます。

是恒さくらの作品は、巨大なクジラの姿をいろいろな素材で標本展示のように再現しています。作品の青白い色合いが、水の中にいるような錯覚を呼びおこし、少しひんやりとした印象です。

ミルナ・バーミアは、以前レストランであった場所に、2点の作品を展示しています。どちらも食に関連した作品で、ロビーに面した空間に展示された作品の表面には、子供の落書きのような模様も見て取れます。厨房には、パレスチナの歴史を暗示する映像作品が暗闇の中に映し出されています。

久保寛子は、地下のフォーラムに、大きな青いブルーシートの作品を展示しています。表現されているのは、4本の手を持ち、トラの顔をした東洋の神様と、壁を残して崩れた建物やいくつも並んだテント、牛やカラスなどです。牛の足元にある白い下向きのU字型は、広島にある平和記念公園の慰霊碑と思われます。作家が広島出身であることを知ると、作品の発するメッセージを、より強く感じます。

杉山博之
コメントはまだありません »
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.
Leave a comment
コメントを投稿するにはログインしてください。