展覧会見てある記 名古屋市博物館「ムーミンコミックス展」

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撮影コーナーの様子

名古屋市博物館の「ムーミンコミックス展」を見てきました。「ムーミン」といっても、子ども向けアニメではなく、イギリスの夕刊紙に連載された大人向けマンガです。前半は、トーベ・ヤンソン(Tove・Jansson:1914-2001、以下「トーベ」)と弟ラルス・ヤンソン(Lars・Jansson:1926-2000、以下「ラルス」)との共作(1954-1959)による作品が、後半は、ラルスが連載を引き継いだ後、単独で制作(1960-1975)した作品が並んでいます。

◆前半 

 展示しているのは、キャラクターを設定するためのドローイング、連載マンガの鉛筆スケッチ(下書き)、新聞に掲載された印刷見本です。さらに、作品表示の横には、日本語版コミックスの断片が貼ってありました。日本の新聞連載マンガは見開き2面の左上。縦方向に4コマ並んでいますが、イギリスの夕刊紙では見開き2面の右下。横方向に4コマ並びます。4コマといっても、トーベはストーリーに応じて、4コマ分を3つに割ったり2つに割ったりしていました。

ムーミンコミックスは日本の新聞連載マンガと違い、ストーリー・マンガです。一枚のスケッチが3日分、スケッチ全体では相当の枚数になります。絵は、もちろんトーベが描いています。セリフなどはトーベがスウェーデン語で書き(トーベは、国民の5.5%を占める、スウェーデン語を母語とするフィンランド人)、ラルフは英語訳をコマの下・欄外に書き足していました。

トーベが40歳を過ぎてからの作品ですから、絵は上手。大人向けマンガなので社会風刺が効いて面白いです。「自分はマイノリティー」という、トーベの意識も反映されていると思います。

◆後半 

ムーミンブームが到来してトーベが多忙になると、コミックはラルフが引き継ぎます。後半では、ストーリーのあらすじと印刷見本が展示され、一話ごとに、ストーリーの全体を眺めることができます。印刷見本は英語ですが、最初に「あらすじ」の掲示があり、分かりにくい所には日本語訳も書いてあるので、ストーリーは十分把握できます。第71話「ムーミンたちの戦争と平和」など、ラルフの作品はトーベ以上に社会風刺が効いていました。

◆記念撮影コーナーと記念グッズ売り場

展示室内は撮影禁止ですが、最後に記念撮影コーナーがあり、撮影の順番を待つ来場者の列ができることもあります。記念グッズ売り場も人気があります。レジには大勢の人が並んでいました。

◆名古屋市美術館「フランソワ・ポンポン展」とのコラボ企画があります

観覧券売り場で、名古屋市美術館で開催中の「フランソワ・ポンポン展」の観覧券(半券でも可)を提示すると100円引き(一般1300円→1200円)になります。また、「ツルツル?モフモフ?クイズラリー」も実施中。博物館、美術館の二館を巡り、それぞれの館で出題されているクイズの答えの両方を一枚の応募用紙に記入した上で、会場の応募箱に投函すると、抽選で賞品がプレゼントされます。ただし、応募期間は10月24日までです。お忘れの無いように。

◆最後に

小さな画面が多いので、4倍の拡大鏡のお世話になりました。4倍ぐらいだと、一コマ全体が視野に入るので快適に鑑賞することができます。拡大鏡をお持ちの方は、是非ご持参ください。

Ron.

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