◎「当たり前」再考→「非日常」が当たり前に?
愛知県は政府の緊急事態宣言の対象から外れましたが、名古屋市美術館の「ミュシャ展」は「中止」になってしまいました。協力会の会員から読むことを勧められた5月19日付朝日新聞文化・文芸欄の[美術館の「当り前」再考]によると、各地で展覧会の中止が相次いでいるとのことです。「ミュシャ展」だけではなかったのですね。
記事は、京都市京セラ美術館が「一つの展覧会では30分で50人までの入場」とする事前予約制を始める、とも書いています。「人気展は密集する」のが「当たり前」では無くなり「30分で50人が入場」という「非日常」が当たり前になるのでしょうか。
◎名画はインターネットで見る時代?
上記の記事は「名品の画像を70億画素で見せるグーグルのサービスには、2012年からの東京国立博物館などをはじめ、すでに国内の多数の美術館が参加」とも書いています。
「名古屋市美術館はどうなっているの?」と思い美術館のホームページを見ると、トップページの「トピック」4月16日に「インターネットで楽しむ名古屋市美術館」という項目があります。クリックするとGoogle & Culture(外部リンク)に移動。スマホのGoogleアカウントとパスワードでログインできました。名古屋市美術館の休館が続く間は「オンライン鑑賞」で我慢することにしましょう。
◎厄災退散を願う絵をインターネットでGET
5月11日付中日新聞・20面の「厄災退散願う絵 西尾の岩瀬文庫 HPで公開」という記事によれば、九州の浜に出現して江戸時代に「コロリ」と呼ばれたコレラの流行を予言し「私の絵姿を家に貼ればコロリにかからない」と告げて海に消えたという「姫魚(ひめうお)」をHP(htttps://iwasebunko.jp/)で公開しているそうです。早速、画像をGET。全国的に話題になっているのは「アマビエ」ですが、このような画像を見ていると巣ごもりの息苦しさが和らいできます。
◎パンデミックを描いた美術
5月4日付日本経済新聞・文化面「疾病の文化論 ①描かれた恐怖=中野京子」は、19世紀フランスの歴史画家ドローネが描いた衝撃的な「ローマのペスト」について「この時代にはもうペストの大規模な流行は収まっていた。だが当時はそれに代わってコレラが蔓延し、フランスでは首相ペリエ、ドイツでは哲学者ヘーゲルが命を落としており、人々はこの疫病がペスト化するのではないかと心底恐れているのだった。つまり「ローマのペスト」は、遠い過去の疫病と眼前の疫病の恐怖を重ね合わせた作品なのだ」と、解説しています。江戸時代の日本だけでなく、19世紀ヨーロッパでもコレラが蔓延していたのですね。
◎21世紀でもベストセラー=巣ごもり読書にお勧め
5月9日付日本経済新聞「活字の海で」は「フランスの作家カミュが疫病の恐ろしさと不条理を描いた小説『ペスト』(新潮文庫)が話題を呼ぶのも「こんな時」だからだろう。今年2月以降、増刷を繰り返し4月末で累計は121万部に上る。電子書籍の販売も好調だ。電子書籍化された2017年3月から19年12月の累計ダウンロード数と比べ、今年1~4月の累計は約13倍と急増した」と書いています。
私は4月11日(土)にNHK・Eテレが4回分を一挙に再放送した「100分de名著」を視聴して、買うことにしました。どの書評も文庫版245ページ「ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです(略)僕の場合には、つまり自分の職務を果たすことだと心得ています」を引用していますが、ラストの「市中から立ち上がる喜悦の叫びに耳を傾けながら、リウーはこの喜悦が常に脅かされていることを思い出していた。(略)ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり(略)いつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうということを。」も印象的でした。
◎最後に
現在、新型コロナウイルスの新規感染者数は減っており学校の再開も間近ですが、第2波、第3波への警戒を怠ることなく「自分の職務を果たすこと」を心がけたいと思います。
Ron.
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