待ちに待った名古屋市美術館開館30周年記念「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」(以下「本展」)が開幕しました。(9月24日まで)本展の入口は2階。最初に目に入るのがコレクションの主、E.G.ビュールレ氏がコレクション8点に囲まれた写真の垂れ幕(以下「入口の写真」)です。うち6点を本展で確認できました。
◆ジャンル別、作家別などに細かく区分された展示
出品作品は64点。「至上の印象派展」という名前のように印象派の作品が中心ですが、17世紀から20世紀までの作品を展示。絵画の流れを理解しやすくするためにジャンル別、作家別等と細かく区分され10章もあります。同じ章の作品だけでなく別の章の作品も気になって見比べたので滞在時間は長くなりました。どの作品も見応えがあるため64点でも満腹です。
◆肖像画では
本展は「第1章 肖像画」で始まります。肖像画は第1章以外に「第3章 19世紀のフランス絵画」「第5章 印象派の人物-ドガとルノワール」「第6章 ポール・セザンヌ」「第7章 フィンセント・ファン・ゴッホ」「第8章 20世紀初頭のフランス絵画」「第9章 モダン・アート」でも展示。西洋美術史の流れと各作家の作風の変遷をつかむことができるように、いくつもの章で展示しているのでしょう。このうち第5章のルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢》は赤壁の特別席に第6章のポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》は緑壁の特別席に展示。
肖像画では《赤いチョッキの少年》とドガ《ピアノの前のカミュ夫人》が入口の写真に写っていました。展示作品の半数以上は肖像画など人物を描いた作品。《アングル夫人の肖像》《扇子を持つセザンヌ夫人の肖像》を始め、どの章の展示も充実しています。
◆風景画では
展示作品の約3分の1が風景画。「第2章 ヨーロッパの都市」では18世紀に描かれたヴェネツィアの「都市景観図」と装飾的なポール・シニャック《ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝》を対比するように展示していたのが印象的です。「第4章 印象派の風景」にマネ《ベルヴュの庭の隅》、モネ《ヴェトイュ近郊のヒナゲシ畑》《ジヴェルニーのモネの庭》が並んでいるのをみて、「こんな感じの作品がコレクションのきっかけになったのかな」と妄想していました。
「第10章 新たなる絵画の地平」には大画面のモネ《睡蓮の池、緑の反映》が展示され、写真撮影する人で大賑わいです。
◆ゴッホでは
ゴッホ《日没を背に種まく人》は青壁の特別席に展示。太陽の黄色は図版で想像していたよりも落ち着いた色調でした。《二人の農婦》は「落穂拾い」ではなく畑を鍬で耕している姿です。《自画像》も見もの。ゴッホでは《花咲くマロニエの枝》が入口の写真に写っていました。
◆モダン・アートでは
「第9章 モダン・アート」では《室内の情景(テーブル)》ブラック《果物のある静物》ピカソ《花とレモンのある静物》の3点が入口の写真に写っていました。いずれも静物画です。
◆最後に
チラシでは「約半数が日本初公開。日本でまとめて鑑賞できるのは今回が最後の機会」とのこと。見逃せませんね。
8月5日(日)午後5時から協力会会員向けのギャラリートークが開催されます。
Ron.
2018年
8月1日
コメントはまだありません
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.
Sorry, the comment form is closed at this time.