お知らせ

2022年11月29日

2023年協力会イベント情報

お知らせ

現在、下記のイベントを予定しています。

1.ゲルハルト・リヒター展ミニツアー 豊田市美術館 令和5年1月22日 (日)午後2時~

会員のみなさまには、12月中にご案内を送付いたします。案内が届きましたら、参加希望の会員の方は、ファックスか電話でお申し込みください。ホームページからの申し込みも可能です(ホームページからの申し込みは、現在すでに受付ています)。

参加の際は、必ずマスクを着用いただき、体調の優れない場合は、参加をご遠慮ください。

最新の情報につきましては随時ホームページにアップさせていただきますので、そちらをご確認ください。皆さま方にはご迷惑をおかけしますが、なにとぞご理解のほど、お願いいたします。

また、くれぐれも体調にはご留意ください。

事務局

展覧会見てある記 豊田市美術館「ゲルハルト・リヒター」展

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

スマホに、豊田市美術館(以下「豊田市美」)で開催中の「ゲルハルト・リヒター」展(以下「本展」)のニュースが二つ飛び込んできました。ひとつは、WEB版の「芸術手帖」(2022.10.15付、URL=https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/26164)で、もうひとつは「号外NET豊田市」(2022.10.18付、URL =https://toyota.goguynet.jp/2022/10/18/toyotasibijutukann-geruhaito-rihita/)です。どちらのニュースにも画像が掲載されていますが、「号外NET」は展示室内の内覧会出席者と学芸員を写した写真を掲載。それを見ていたら、じっとしてはいられなくなり、豊田市美に行ってきました。

◆本展の顔は赤ちゃん・4つの展示室を使う大規模なもの

 豊田市美に向かう坂を登っていくと「ゲルハルト・リヒター」の文字と赤ちゃんの絵が見えます。玄関を抜け、長い廊下を進むと、1階・展示室8の入り口に「ゲルハルト・リヒター」と書かれていました。

 受付を済ませ、16ページもある作品リストを手にすると、実に優れものでした。作品リストだけでなく、展示作品の概要が付記された会場マップと、4ページにわたる「リヒター作品を読み解くためのキーワード」(以下「キーワード」)までも載っています。会場マップによると、本展は1階・展示室8に加え、2階・展示室1、3階・展示室2-3の、計4室を使った大規模な展覧会でした。

◆1階・展示室8

・第1エリア

 1階・展示室8は、大きく4つのエリアで構成されています。

第1エリアは細長い部屋で、最初の作品は《モーターボート(第1ヴァージョン》1965、広告写真を拡大した油彩画=「フォト・ペインティング」です。キーワードの解説には「リヒターは写真に隷属するように絵画を描くことから画家としてのキャリアをやり直したのでした。しかしそういう迂回を経ることによって、逆説的に描くべき対象をどのように選ぶかが重要になっていくのです」と書いてありました。

この「写真に隷属するように絵画を描く」ことについて、日本経済新聞(2022.6.25)の展覧会評は「画家自身の意図や癖をできる限り排除した手法」と表現していました。

 2番目の《グレイの縞模様》1968は抽象画。3番目の《8人の女性見習看護師(写真ヴァージョン)》1966/1972は、殺人事件の報道写真を元にしたフォト・ペインティングの複製写真を写真作品として制作したもの。「フォト・エディション」というようです。キーワードの解説には「絵画の代替という役割もありながら、その多くは寸法、トリミング、色彩、額装方法など、さまざまな仕方でオリジナルとことなっています」と書いてありました。一見すると何の変哲もない作品ですが、「殺人事件の報道写真」と聞くと、インパクトがあります。フォト・ペインティングの解説後半の「描くべき対象をどのように選ぶかが重要になっていく」というのは、このことだと思いました。

 入口の近くには赤色の鏡《鏡、血のような赤》1991も展示。「ガラスと鏡」というキーワードの解説には「置かれた場所やその時々によってあらゆるイメージを映し出す」と書いてありました。確かに、展示室に置かれた鏡に映りこんだものを見ていると、「これも作品だ」と思うようになります。

 第1エリアの一番奥では14分32秒の映像作品を上映。その手前に展示の《アブストラクト・ペインティング》1992は、アルミニウムの上に描かれた作品でした。所々にアルミニウムの地金が見えます。アルミニウムと油絵具の相性について家に帰って調べたら「塗装は困難。表面処理が必要。地金が温度変化で伸び縮みするので絵の具に亀裂が生じることがある」等、おそろしいことが書かれていました。

・第2エリア

 第2エリアは二つの区画で構成。最初の作品《黒・赤・金》1999は、左から黒・赤・金という配色。ドイツの国旗(上から黒・赤・金)と同じ色です。作品解説には「ドイツ連邦議会議事堂エントランスホールのモニュメントの習作」と書いてありました。リヒターは国家的作品を任された「大作家」なのですね。

 《黒・赤・金》の左は《アブストラクト・ペインティング》1999で、その左には、豊田市美の玄関で見た赤ちゃんがいました。《モーリッツ》2000/2001/2009という作品で、解説には「1995年に生まれた長男が8カ月の時の写真をもとに2000年に仕上げ、2001年、2009年に加筆」と書いてあります。何を加筆したのか、解説だけではわかりませんが、作品表面の黒い刷毛目は加筆されたものだろうと思われます。

 第2エリア・二番目の区画には、写真に油絵具で彩色した「オイル・オン・フォト」が多数並んでいます。キーワードの解説には「絵画と写真、再現性と抽象性が拮抗しあうという点で、小さいながらもリヒターの創作の核心を端的に示してくれます」と書いてありました。オイル・オン・フォトの中で《1998年2月14日 14.2.98》1998は、本展の紹介記事でよく見た作品です。赤ちゃんを抱く母親を撮った写真なので、目を引くのでしょうか。

・第3エリア

 第3エリアは、部屋の中心に《8枚のガラス》2012が置かれ、その周囲の壁にカラーチャート《4900の色彩》2007と、《ストリップ》2013~2016と《アラジン》2010が展示され、最もカラフルな空間になっています。カラフルな作品に取り囲まれているので、《8枚のガラス》に映り込んだ画像もカラフルです。

 「カラーチャー」について、キーワードの解説には「既製品の色見本の色彩を偶然にしたがって配する」ものと書かれ、「ストリップ」については「ある一枚の《アブストラクト・ペインティング》をスキャンしたデジタル画像」を分割して再構成したものと書かれ、「アラジン」については「一種のガラス絵」と書かれていました。アラジンはガラスの裏から描くので、鮮やかな色彩を楽しめます。

・第4エリア

 第4エリアには本展で一番注目されている作品が並んでいます。第3エリアから見て正面には《ビルケナウ》2014を配置。《ビルケナウ》に向き合うように《ビルケナウ(写真ヴァージョン)》2015~2019を配置しています。

また、《ビルケナウ》に向かって左の壁には《ビルケナウ》の元になった《1944年夏にアウシュヴィッツ強制収容所でゾンダーコマンダー(特別労働班)によって撮影された写真》を配置、右手の壁には《グレイの鏡》2019を配置しています。《グレイの鏡》に向き合うと、他の3つの作品だけでなく、展示室内の来場者も同時に見ることができます。よく練られた作品配置だと感心しました。

 なお、《ビルケナウ》は、フォト・ペインティングの手法で元になった写真を描いていますが、それは塗りつぶされ、見ることはできません。フォト・ペインティングの解説に「描くべき対象をどのように選ぶかが重要になっていくのです」と書いてありましたが、《ビルケナウ》でも重要なことは、「描く対象にアウシュビッツ強制収容所で撮影された写真を選んだ」ということになるのでしょうか。

◆2階・展示室1~3階・展示室2-3

 2階・展示室1ではアブストラクト・ペインティングを展示、3階・展示室2では2021年に制作したドローイングを、展示室3ではアブストラクト・ペインティングに加えて、2022年に制作した水彩絵の具によるドローイングのフォト・エディション《ムード》2022を展示していました。《ムード》は豊田市美だけの特別出品とのことです。

◆コレクション展 反射と反転 (展示室4-5)

 3階・展示室4と2階・展示室5で開催中のコレクション展では、リヒターと同じように鏡を使った作品を展示していました。プリンキー・パレルモ《無題(セロニアス・モンクに捧げる)》1973と、ミケランジェロ・ピストレット《窃視者(M・ピストレットとV・ピサーニ)》1962,72の、2点です。

◆未生(みしょう)の美 ― 技能五輪の技 (1階・ギャラリー)

 1階・ギャラリーでは、技能五輪の出場者が旋盤やフライス盤などで加工した製品や製品の写真などを展示する「未生(みしょう)の美 - 技能五輪の技」も開催しています(11月27日(日)まで)。

◆観覧料について

 本展の当日券は大人1枚1,600円ですが、オンライン・チケットなら1,500円(購入は豊田市美のホームページから)。受付でスマホまたはプリントアウトしたチケット情報を見せれば入場できるようです。思い切って年間パスポート(3,000円)を購入すると、豊田市美で開催される展覧会を1年間、観覧できます。

Ron.

「クマのプーさん」展 協力会向け解説会

カテゴリ:協力会ギャラリートーク 投稿者:editor

名古屋市美術館で開幕したばかりの「クマのプーさん」展(以下「本展」)の協力会向け解説会に参加しました。参加者は29名。講師は、井口智子学芸課長(以下「井口さん」)。知っているようで、実はほとんど知らなかった「クマのプーさん」についての解説を2階講堂で聞いた後、自由観覧・自由解散となりました。

◆井口さんの解説の要点(16:00~16:45)

 以下、井口さんの話を、ざっくりと記します。

〇「クマのプーさん」(Winnie-the-Pooh)について

解説会の冒頭、井口さんから二つの質問がありました。一番目の「プーさんを知っている人」という質問には、ほとんどの参加者が挙手。しかし、二番目の「プーさんの本を読んだことがある人」という質問に挙手したのは、ほんの数人。じつは私も、プーさんは「ディズニー・アニメのキャラクター」という認識しかなく、「プーさんの本」どころか、アニメ映画も見たことはありません。プーさんについて知っているようで、実はほとんど知らなかったことを、改めて知りました。

井口さんによれば、プーさんは、物語「クマのプーさん」(原題:Winnie-the-Pooh、1926)のキャラクター。挿絵を描いたのはE.H.シェパード(Ernest Howard Shepard。以下「シェパード」)。最初の挿絵は「ペン画」ですが、本展では1950~1960年代にカラーで描き直したものを展示している、とのことでした。

〇「クマのプーさん」展について

井口さんによれば、本展は東京・立川市のプレイミュージアム(PLAY! MUSEUM)が企画した展覧会で、展示デザイン・コンセプトもPLAY! MUSEUMによるもの、とのこと。展覧会の構成等は下記のとおりです。

① プーさん A to Z

 挿絵原画を鑑賞する予習として、「プーさんの物語」に関するキーワードを整理、解説したもの

② アッシュダウンの森

 映像のインスタレーション。井口さんは「小さな巣箱の中も覗いてみてください」と、付け加えました。なお、吹き抜けでもアッシュダウンの森をドローンで撮影した動画を投影

③ 1950-60年代に描かれた挿絵の原画

 100点ほどの原画を展示。原画は、岩波書店の「プーさん」シリーズの表紙や口絵にも使われているものです

〇「クマのプーさん」の本について

井口さんによれば、原作者はA.A.ミルン(Alan Alexander Milne)。彼は第一次世界大戦に通信将校として参戦。1920年に、長男のクリストファー・ロビンが生まれ、子ども向け詩集を皮切りに4冊の本を発行。プーさんのモデルは、子どもが一歳の時に買い与えたテディ・ベアのぬいぐるみ。灰色のロバのぬいぐるみやコブタのぬいぐるみも子どものためのもの、とのことです。

シェパードは、第一詩集「クリストファー・ロビンのうた」(原題:When We Were Very Young、1924)にもプーさんの姿を描いています。ただし、プーさんという名前は、まだ付いていません。

プーさんの物語の舞台は、百町森(Hundred Acre Wood)。ロンドンの南にあるミルンの田園の家のそばのアッシュダウンの森をモデルにしている、とのことでした。

〇「プーさん A to Z」のみどころ

A America 本展の原画は、シェパードが1950-60年代にアメリカの出版社E.P.ダットンのために描いたもので、アメリカのエリック・カール絵本美術館の収蔵品

I Ishii Momoko 「プー横丁に建った家」(原題:The House at Pooh Corner、1928)の朗読(注:日本語版は、1942年初版)の声が流れています。カーペットが敷かれており、座ることができます

H Hundred Acre Wood 百町森のイラスト(チラシにも掲載)を展示。「スペルミス」を探してください

V Four Volume ミルンが書いた4冊の本を展示。英語版は横書きで右開きですが、日本語版は縦書きで左開きになります。そのため、進行方向が自然に見えるよう、左右を逆転したものもあります。

 本展とのコラボ企画として、名古屋市の図書館にも「クマのプーさん」コーナーがあるのでご覧ください。

◆自由観覧(16:45~18:00)

本展の会場入口は、2階でした。

〇プーさん A to Z (2階)

井口さんのお話どおり、予習のための展示でした。印象的だったのは、G Gloomy Place 灰色のロバのぬいぐるみ「イーヨー Eeyore」の家と、J Jars ハチミツの入れ物、N North Pole プーがつかんだ棒でした。二次元の挿絵ではなく、三次元の「物体そのもの」を展示しているので印象が強かったのでしょう。

〇アッシュダウンの森(2階)

 鳥の鳴き声やせせらぎの音などが聞こえてきて、森の中にいるような感じがします。座るところもあります。都会の喧騒から解放される、とても居心地の良い空間でした。

〇1950-60年代に描かれた挿絵の原画(1階)

・展示空間

展示室に円形の壁を設置して、中央に緑、青、黄、赤色の大きな布が垂れています。円形の壁には挿絵の原画が展示され、中央の広場には、①コブタが、ぜんぜん、水にかこまれるお話、②プー横丁にイーヨーの家がたつお話、③プーがあたらしい遊戯を発明して、イーヨーが仲間に入るお話、の原画をケースに入れて展示。ケースには絵本の「おはなし」が書かれているので、絵本を読んでいるような気分です。ケースの周りには、カーブした長い箱。箱の上面には緩やか起伏があります。最初「大人も子どもも座れるように、座面の高さを変えたのかな?」と思ったのですが、「物語の舞台となる百町森(Hundred Acre Wood)の地面の緩やかな起伏を表現したのではないか?」と思い直しました。井口さんによれば、円形の壁、緩やかな起伏など、展覧会の展示デザインは、PLAY! MUSEUMのオリジナル、とのこと。今までに体験したことのない展示空間でした。

・展示作品

展示作品は、シェパードのオリジナル。印刷用の挿絵の原画ですから観賞用の絵画とは違い、「小さな作品」ばかりですが、細かい所まで克明な線で描いているだけでなく、色彩が鮮やかで見ごたえがあります。本展にはあまり期待していなかったのですが、そのような先入観を持って解説会に来たことを反省するばかりです。

◆東京・立川のプレイミュージアム(PLAY! MUSEUM)について

「円形の壁の展示室」が気になり、家に帰ってからPLAY! MUSEUMについて調べてみました。ネット上にある2020年の記事(https://mag.tecture.jp/culture/20200609-988/)によれば、PLAY! MUSEUMは、2020年6月10日、東京・立川駅北側の旧飛行場跡地に誕生した新街区「GREEN SPRINGS(グリーンスプリングス)」の施設の一つです。新街区のコンセプトは「空と大地と人がつながるウェルビーイングタウン」。38,900.20平方メートルの敷地内に、多摩地区では最大規模となるホール、ホテル〈SORANO HOTEL〉、各種ショップ、保育園、複合文化施設〈PLAY!〉などがあります。PLAY! MUSEUMはPLAY!の2階で、その名物は「楕円形の展示室」とのことでした。模型写真を見ると、本展1階展示室を楕円形にしたものです。

そうすると、本展の1階展示室はPLAY! MUSEUMの壁を持ってきたのではなく「PLAY! MUSEUMの壁と同じようなものを名古屋市美術館で一から組み立てた」ということになりますね。本展の内装工事は、相当に大掛かりなものだったと思われます。

なお、PLAY! MUSEUMについては(MUSEUM|PLAY! MUSEUMとPARK (play2020.jp))もご覧ください。

内装設計をした「手塚建築研究所」についても調べると、500人の子どものために作られた外周183mの楕円形の「ふじようちえん」を設計していました(ふじようちえん|教育施設実績|手塚建築研究所 (tezuka-arch.com))。楕円が好きなのですね。「ふじようちえん」の屋上デッキでは、園児が遊ぶこともできます。

◆最後に

 井口さんによれば、「展覧会はスタートから好調」とのこと。挿絵の原画はもちろんですが、美術館1階の展示空間も見ものです。「プーさんA to Z」の展示や「アッシュダウンの森」のインスタレーションも、本展独自のもの。「スタートから好調」というのは、確かに頷けます。お勧めですよ。

ていねいに展示の工夫などにも言及してくださいました。
井口課長さん、ありがとうございました。

Ron

STILL ALIVE 国際芸術祭あいち2022

カテゴリ:協力会事務局 投稿者:editor

 アイチトリエンナーレから名称を変更した国際芸術祭あいち2022のミニツアーが、9月11日午前10時から行われました。会場のある愛知芸術文化センターの12階にはレクチャのスペースがあり、当日は24名の名古屋市美術館協力会員が集まり、担当の中村史子学芸員のお話を聞きました。

 解説はとても分かりやすい展開で、まずはこのタイトル、STILL ALIVEから。

 このタイトルは、愛知県刈谷の出身である現代アーティストの河原温の言葉から取ったとのこと。ニューヨークに在住していたかわらは、作品は発表するものの、オープニングやインタビューなどにも姿を現さず、ミステリアスな作家(現代にもそんなアーティストがいるような…)であったが、その作家から電報が届いてそこには I am still alive.とだけ書かれている、といった具合で、その電報を打つという行為自体をアートとしてしまうような作家であったとのこと。しかし、この時代、コロナで離れて暮らしている家族や友人となかなか会えないために、この河原の用いた言葉は今の時代にも非常にマッチしているとも言えるので、タイトルに採用されているとのこと。なるほど、そういうことでしたか。

 その後、芸術祭に参加しているアーティストとその作品について、時間の許す限り解説していただけました。大多数のアーティストは、日本で暮らしているとわからないような、世界で起こっている窮状をテーマにした作品を手掛けていて、解説していただかないとなかなか想像し難い内容が多かったように感じます。世界で今、実際に起こっていることに目を向けることも大切だと感じました。

協力会事務局

国際芸術祭「あいち2022」を見て (その3)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

国際芸術祭「あいち2022」[STILL ALIVE-今、を生き抜くアートの力](以下、「あいち2022」)の常滑、有松会場を見てきたのでレポートします。

 常滑会場は、やきもの散歩道に沿って展示場所が散在しています。常滑駅のインフォメーションで近道を教えてもらい、1番目の旧丸利陶管に向かいます。

会場風景 デルシー・モレロス

 デルシー・モレロスの作品は、まるで和菓子屋さんの作業場のようです。大小さまざまなお饅頭が、床一面に並んでいます。うっすらとクッキーのようなにおいがすると思ったら、シナモンが振りかけられています。おいしそうな匂いですが、作品の材料は土なので、食べることはできません。

旧丸利陶管には、その他に服部文祥+石川竜一、グレンダ・レオン、シアスター・ゲイツなどの作品もあります。

旧丸利陶管を出て、地図で次の会場を探します。順路だと2番目は廻船問屋 瀧田家ですが、旧青木製陶所のほうが近いようなのでそちらへ向かいます。

展示風景 フロレンシア・サディール

 フロレンシア・サディールの作品を見て、玉すだれを連想したのですが、はずれです。こちらは雨の表現です。かなり大粒の雨で、夕立のような激しさを感じます。玉に使われている土の色が様々で、そこにも何かしらの意味が込められているように思います。

常滑から有松へ移動します。

展示風景 ミット・ジャイイン

 旧東海道沿いの趣のある町並み保存地区が会場です。道幅が狭く、車両もかなり通るので、散策する際は後ろにも注意してください。

通りのあちこちで目にするのは、ミット・ジャイインの作品です。風が吹くと揺れる様子が涼しげです。近くで見ると、かなり厚手の布地が使われています。ところどころ、乾いた絵の具が尖っているので、あたると痛いと思います。

ミット・ジャイインの作品は、名古屋市西区の「円頓寺商店街」、「円頓寺本町商店街」でも展示されるそうです。

展示風景 ユキ・キハラ

 ユキ・キハラの作品は、着物のかたちをした絵画です。紙芝居ならぬ着物芝居のようです。キラキラすると思ったら、ビーズやスパンコールなども使われています。

ユーモラスな絵柄ですが、解説映像を見ると、この作品は環境破壊や経済格差などの社会問題を内包していることがわかります。解説映像を見る前と後で、印象がかなり変化しました。

有松では、その他にイワニ・スケース、AKI INOMATAなどの作品も見ることができます。

どちらの会場も、駅からは十分に徒歩圏内です。ただ、移動中に日陰になる部分が少ないので、日傘か帽子、それからスポーツドリンクがあるといいと思います。

杉山博之

国際芸術祭「あいち2022」を見て (その2)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

国際芸術祭「あいち2022」[STILL ALIVE-今、を生き抜くアートの力](以下、「あいち2022」)の一宮会場を見てきたのでレポートします。

 一宮会場は、JR尾張一宮駅の東側の真清田神社周辺と、「墨会館」と「のこぎり2」のある尾西地区に分かれています。真清田神社周辺は徒歩圏内ですが、尾西地区はバスをお勧めします。

会場風景 遠藤薫

 JR尾張一宮駅から南東に10分くらい歩くと豊島記念資料館につきます。ここには、遠藤薫の作品が展示されています。「美術」の中には「羊」がいるそうで、展示作品のテーマは「羊」です。

2階に上がると大きな8角形の布の作品があり、その周辺にも羊の毛皮のようなものがぶら下がっていますが、こちらはフェイクファーのようです。

展示風景 奈良美智

 オリナス一宮には、おなじみの奈良美智の作品が展示されています。

この作品には、ビューポイントが2か所(入口側と奥側)あります。入口のすぐ左手の小窓から眺めるとモデルたちの情感がよく伝わるように思いますが、いかがでしょうか。

展示風景 バリー・マッギー

 オリナス一宮の東側(駐車場の方向)の屋外にバリー・マッギーの作品があります。とある建物をまるまるラッピングしたものですが、建物のサインを見てびっくりしました。

バリー・マッギーの作品は、真清田神社の北側の大宮公園の中にもあります。こちらの作品は、あまりにも周りの風景に溶け込んでいるので、見つけにくいかもしれません。

展示風景 ジャッキー・カルティ

 ジャッキー・カルティの作品は、現代美術展ならではの作品だと思います。つまり、どのように見ればいいのか、見当がつきません。

展示室の奥に、回転するプロペラを映した映像作品があります。夕方になると、ある理由でモニターの映像が変わるそうです。また、夕方のお天気によっても、映像が変わるそうです。

次回は、遅めの時間に行って、プロペラではない映像を見てみたいと思います。

杉山博之

国際芸術祭「あいち2022」を見て

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

国際芸術祭「あいち2022」[STILL ALIVE-今、を生き抜くアートの力](以下、「あいち2022」)を見てきたのでレポートします。

現代美術展は県内4か所、愛知芸術文化センター(名古屋市)、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)で展開されます。上映時間の長い映像作品があること、会場間の移動に時間をとられることから、会場ごとに別の日に行くことをお勧めします。それから、まちなか会場に出かける場合は暑さ対策をお忘れなく。

それでは、愛知芸術文化センターの展示から。

4つの会場の中で最大規模の展示です。いろいろと時間に関係した作品、文字表記を含む作品などが目立ちます。

会場風景 ローマン・オンダック

 木の年輪で歴史年表を表現した作品です。床に並んだ輪切りのパーツを、毎日、一枚ずつ壁にかけていき、10月10日の「あいち2020」最終日に完成形を見ることができます。

それぞれのパーツには、歴史的な出来事(例えば、DNAの発見とか)がひとつずつ言葉で書かれています。

展示風景 ロバート・ブリア

 白い大きな円柱形の作品は、非常にゆっくりとしたスピードで動いています。

ただ動いているだけですが、とてもユーモラスな感じがします。よく見ないとわからないくらいゆっくりと動くので、見落とさないでほしいです。

展示風景 アンドレ・コマツ

 半透明のシートで囲われた空間に新聞をさかさまに張り付けた巨大な柱が出現しています。柱の周りにも、ハンマー、拡声器、方位磁石などが配置されています。いろいろな読み取りのできる作品だと思いますが、まだ感想がまとまりません。

展示風景 ミルク倉庫+ココナッツ

 この作品は、プランターに植えられた植物を配置した巨大な足場で、希望者は足場の中を歩くことができます。説明によれば、人の肺をモデルにした空気の循環に関する装置なのだとか。

他にも、気になる作品は多かったのですが、後は皆さんがご自身で見つけてください。

他会場の作品も近日中にレポートします。

杉山博之