「imagine the crowd」 松本 千里

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 先日、アートフェア東京の若手作家の特集コーナーで見かけた不思議な作品のレポートです。

松本千里 imagine the crowd

松本千里 imagine the crowd

 それは白色で、凹凸があり、立ち上る煙のようにも、足を広げた海星のようにも見えました。表面には光沢があり、細い糸が無数に絡みついていました。プラスチックなのか?、粘土なのか?。どうやら素材は「布」のようでした。側にいた作家に話を聞いたところ、専門は染織で、絞りの要領で布に糸をかけ、モコモコした立体(彫刻?)を制作しているそうです。染織の作品とすれば、着色前の未完成なのでしょうが、立体として、その存在感には十分なものがありました。

 作家仲間からは「色を付けたほうがいい」とアドバイスされるそうですが、なかなか着色に踏み切れないそうです。確かに、目の前の作品に色を付けるとしても、赤も緑も青も似合いそうにありません。むしろ、照明による陰影のみの方が作品をすっきりと印象的に見せていると思いました。もちろん、作品の見方は人それぞれで、色を付けたがる人もいるでしょうが、この作家にとって、今回はここが制作の手の止め時だったのでしょう。とても独特で、存在感のある作品を楽しませてもらいました。

アートフェア東京会場にて
(会期終了)

杉山 博之

ソフィ カル「限局性激痛」展

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 原美術館で開催中の「限局性激痛」展をはじめ、都内で3つのソフィ カルの展示を見てきた。聞くところによると、最近の女性作家の展覧会は、どれも人気があるそうで、前日に行った「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」展のギャラリートークも混んでいた。原美術館は展示室がこじんまりとしているので、心配しながら美術館の玄関をくぐった。

 案の定、館内はショップもカフェも、展示室も混雑しており、楽しみにしていた作品を見ながらのギャラリートークはなく、入口前の開けたところで概要の説明があった。状況からすれば致し方ないが、少々残念。
 今回の展示は、1999年から2000年にかけて原美術館で開催された同名の展覧会の再現展。展示室には時間の経過をたどるように作品が配置され、前半がカウントダウン、後半がカウントアップしながら失恋による作家の心情の変化を表現していた。

 原美術館の後、ペロタン東京とギャラリー小柳に行った。最後に行ったギャラリー小柳の展示が一風変わっていて印象的だった。展示室の壁面には、文字を刺繍した布(フェルト)で前面をふさいだ木製の箱が並んでいた。写真や映像が見当たらず戸惑っていると、他の観客が布をめくるようにしていたので、ギャラリースタッフに聞いてみたら、セルフサービスということだった。

 高価なものなのでドキドキしながら、布をめくってみると、布の後ろにはテキストに対応した写真が貼られており、見比べながらセルフサービスで鑑賞した。普段、美術館では作品に手を触れないので、とても新鮮な鑑賞体験だった。

原美術館 2019年3月28日まで

杉山 博之

展覧会見てある記 「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展

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名古屋市博物館で開催中の特別展「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」に行ってきました。敷地に入り玄関に続く連絡通路を歩いていると、二人連れがパネルを指さしています。耳を澄ますと「血染めの絵がいっぱい出てくるんだよ」と話す声が聞こえて来ました。
展覧会は五つの章に分かれ、「1章 ヒーローに挑む」には三枚揃の大画面の作品が多く、見ごたえがあります。また、国芳の酒呑童子を武者絵の先達・勝川春亭と比較したり、10年前の国芳との比較(源頼政鵺退治)や弟子との比較(合戦図)など、展示に工夫が凝らされています。
「2章 怪奇に挑む」のメインは「血みどろ絵」《英名二十八句衆》ですが、血が苦手な人のために迂回路が用意されています。
「3章 人物に挑む」には美人絵が並びます。浮世絵ながら、芳年の《風俗三十二相 暗さう》には近代日本画の雰囲気がありました。
「4章 話題に挑む」では猫やスズメ、だまし絵、大津絵などの戯画が楽しめます。また、国芳と芳年の《一ツ家老婆》が並んでおり、芳年が師から学ぶだけでなく更に工夫を加えたことが分かりました。
「終章 「芳」ファミリー」に展示されていた《月百姿》は「集大成」にふさわしいもので、《延命院日当話》は「なまめかしい絵」でした。
◆2019年3月6日付の日本経済新聞に展覧会評が掲載されています
3月6日の日本経済新聞・文化面に窪川直子・編集委員の展覧会評が載っていました。見出しは「殺伐とした幕末 斬新な発想」。以下は記事の抜粋です。

幕末に活躍した歌川国芳(1797~1861)は展覧会が相次ぐ人気浮世絵師で、弟子の月岡芳年(1837~92年)も近年熱い注目を集める。名古屋市博物館の「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展はそんな2人の画業再評価の流れに位置づけられる。(略)武者絵を劇的に演出しようと、国芳は血がほとばしるような場面も描いたという。これをさらに追及したのが芳年で、兄弟子の落合芳幾と共作した連作「英名二十八衆句」の全図の展示は見どころの一つだ。血や生首が飛ぶ「血みどろ絵」には目を背けたくなるものもある。しかし、当時の技術を総動員し、鮮血や血の手形を表現した辺りに、日本に流入してまもない西洋絵画を参照した国芳の進取の気性を見て取れる。殺伐とした幕末という時代を映し、講談や歌舞伎でも血なまぐさい場面が好まれた。残酷さを強調したのは、世相に敏感な師匠の影響ともいえる。出品作の大半は国文学者の尾崎久弥、医学者の高木繁が、幕末明治の浮世絵が「末期の浮世絵」と見なされた時代にせっせと蒐集したものだ。(略)「末期」をもり立てた絵師だけでなく、収集家の気骨もすがすがしい。(略)(注:記事には「尾崎は国芳がよりどり十銭で売られているのを残念がり」という一節もありました。)

◆協力会ミニツアーのお知らせ
 3月24日(日)に「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展の鑑賞ミニツアーが開催されます。集合は午後2時。名古屋市博物館副館長 神谷浩氏の解説の後、自由観覧となります。詳細は、協力会ホームページをご覧ください。
         Ron.

ベルリン訪問

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

昨年12月末にベルリンを訪れました。 
ベルリンは劇場や美術館も多く絵画鑑賞などにはもってこいの都市です。また宿泊費もパリやロンドンなどに比べても割安感があり好きな都市のひとつです。食べ物ではカリーヴルストというのがありとってもおいしい。ケチャップとカレーパウダーがかかったソーセージでポテトが添えてあったりするもの。今回はツオー駅近くの店で食しました。前回の訪問時は「ゼウスの祭壇」「イシュタール門」で有名なペルガモン博物館とカラヴァッジョの「愛の勝利」を展示しているベルリン絵画館など訪れたので今回は訪れていない美術館中心に行く計画をたてました。

12月24日
 博物館島付近を散策。ベルリン大聖堂前の広場には変化がなかったがペルガモン博物館はまだ改修中で作品も近くの仮の場所での展示をしている様子。アレクサンダープラッツ広場はクリスマスイヴでたくさんの屋台があり大勢の人々で賑わっていました。

12月25日
 ボーデ美術館を見学。中世の彫刻、ビザンティン芸術の作品が展示されている美術館。
 博物館島の奥にあるので来訪者が少なくゆっくり鑑賞することができた。ティントレットの絵もあったと思う。
 夜はベルリン国立歌劇場でオペラ「ファルスタッフ」を鑑賞。バレンボイムの指揮。
 歌手も一流歌手を揃えての公演。最初の音の出だしでレヴェルの高さに圧倒される。音がクリアで素晴らしい。でも演出が読み替えでよくわからない。デヴィッド・ホックニーのプールの絵「A Bigger Splash」のようなセット。日本にも何回か来日したフリットリが水着で登場なんてありえない。

12月26日
 ハンブルガーバーンホフ美術館。ここはもともと鉄道の駅であった場所。
 オットー・ミューラーの個展と現代美術のさまざまな展示がしてあってあきない。ヨーゼフ・ボイスの作品も多い。1階の広いホールでは大掛かりなヴィデオ・インスタレーションが行われていた。
 夜はベルリンフィルハーモニーでベルリン交響楽団のチャイコフスキーを聴く。くるみ割り人形などバレエと語りがあって子どもたちの踊りがかわいくて一生懸命に踊る姿が印象的。それにもまして西洋音楽とスラブ音楽とを融合した華麗なチャイコフスキーの曲に涙腺も緩む。
 カナダ人指揮者スタンリー・ドッズのひたむきな指揮ぶりがよかった。

12月27日
ベルクグリュン美術館
最初どこが入り口なのかわからなかった。中は邸宅を改築した美術館で白い壁に現代美術作品がよく映える作り。ピカソとも交流のあったドイツ人画商ハインツ・ベルクグリュンのコレクションを展示している。ホール中央にジャコメッティの作品。ピカソはもちろんのことマティスやクレーの質の高い作品が数多くある。
夜はベルリンコーミッシュオパーでオスカー・シュトラウスのオペレッタ「クレオパトラの真珠」を鑑賞。ドイツ語上演だけれど踊りが素晴らしく歌唱、芝居ともに芸達者が多く大いに楽しむことができた。

12月28日
シャルロッテンブルグ宮殿を見学。
宮殿はどこも絢爛豪華であるがここは過度な装飾もなくほどよい豪華さの宮殿。フリードリッヒ1世が王妃の夏の避暑地として建築したもの。
夜はベルリンドイツオペラでオペラ「ナブッコ」を鑑賞。これも読み替え。紀元前6世紀のエルサレムとバビロニアの争いが近代に置き換えられていた。
  
谷口 信一

会場にて「inferno」 解説してくださった特別主任学芸員の北川智昭さん、ありがとうございます 2018ArtLabTokyoここにもアートラボ 石切り場 前室にて 音のアーキテクチャ トンネルでピクニック 佐川美術館 ギャラリートークの様子 展示会場で話をきく会員たち 泉屋博古館にて まずは講堂でレクチャを聴く会員たち 会長の乾杯の音頭に合わせて、いただきます! 「回生の苗床」 光内惟奈 燃やせないもの