読書ノート 2006年発行の『Casa BRUTUS』から

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

   2023.11.22投稿

ミニツアーの後もフランク・ロイド・ライトについて調べていたら、2006年11月10日発行の『Casa BRUTUS 特別編集』「新改訂 誰にでもわかる20世紀建築の3大巨匠+バウハウス」(以下「本書」)に、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと並んでフランク・ロイド・ライトの記事が載っていることを知り、Amazonで取り寄せました。今回は、その中からプライス・タワー、テキスタイル・ブロック・システムで建設した住宅及びマリン郡庁舎についてご紹介します。

◆プライス・タワー Price Tower 1956(本書p.142~143)

記事の見出しは「あのプライス・タワーに泊まれちゃいます」で、2003年にプライス・タワーが全21室のホテルに生まれ変わったという内容。ホテルの名称は、”Inn at Price Tower”。料金はスタンダードが145ドル、タワースィート(ロフト型)が245ドル(当時)。なお、タワー・スィート(ロフト型)というのは、室内階段で上の階と繋がっている部屋のことだと思われます。

同じ建物にはホテルに2年先立って開館した建築&現代美術ミュージアム”Price Tower Arts Center Gallery”もあり、ライトのレンダリングや図面、写真、テキスタイル、家具などを収蔵・展示とのことで、16階にはレストランがあるようです。

このほか「施主は石油パイプライン事業で巨万の財を成したハロルド・プライス。(略)施主はその最上階に当たる3フロアを自らの住処として暮らした。(略)プライス財団からビルを丸ごと寄付された形で公共のものとなった現在のプライス・タワー」とも書いており、再現された社長室の写真(写真下:豊田市美術館で開催中の「ライト展」の写真とは反対の方向から撮影したもの)も掲載されていました。

◆テキスタイル・ブロック・システムで建設した住宅  Millard House 1923 etc.(本書p.148~151)

 ユカタン半島のマヤ遺跡の写真と1920年代のロサンゼルスに建設されたミラード邸、ストーラー邸始め4邸の写真が掲載され「ライトが帝国ホテルで用いた素材は大谷石。(略)1個1個加工を施すコストと時間がかさんだことから、設計者の地位を解雇されるという憂き目を見ている。もっと安上がりに、もっと効率よく石細工を取り入れる方法を模索した末にライトが見出したのが、金型を使って大量生産できるテキスタイル・ブロックだった。(略)かねてから憧れていた原始アメリカ建築のモチーフを鋳込むことで、これを高価な石に代わる、カスタムメイドの仕上げ材となすことに成功したのだ」という文章が添えられています。

 豊田市美術館で開催中の「ライト展」第5章の「テキスタイル・ブロック・システムの創設」でも、ミラード邸、ストーラー邸を紹介しています。ミニツアーで見た時「帝国ホテルで使った大谷石の彫刻の大量生産モデルかな?」と思ったのですが、その通りでした。また、マヤ遺跡のモチーフを鋳込んだ、という指摘にも納得です。

◆マリン郡庁舎 Marin County Civic Cener 1962(本書p.132~133、p.158)

 豊田市美術館で開催中の「ライト展」には展示されていませんが、カリフォルニア州のマリン郡庁舎の写真と記事も面白いものでした。1957年設計で、ライトの死後、弟子たちによって完成されたものです。事務室だけでなく、図書館などの公共施設も含んだ巨大な建物で、「美の巨人たち」でも紹介がありましたね。

「美の巨人たち」のURLはこちらhttps://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin_old/backnumber/120526/index.html Ron

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