これって絵画なの? 超リアルと面白かたち展

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:members

岡崎市のおかざき世界子ども美術博物館(以下「子ども美術館」)で開催中の「これって絵画なの? 超リアルと面白かたち展」(会期:5/26~7/12)を見てきました。

◎路線バスと徒歩で子ども美術館へ

子ども美術館へのアクセスは、自家用車か名鉄名古屋本線美合駅(急行停車)からタクシー利用がお薦めですが、今回はJR岡崎駅から路線バスを利用。JR岡崎駅のバスターミナル3番乗り場から「市民病院方面ゆき」のバスに乗車し、「西美合」で降車。「ほたる橋南」の交差点を右折して東に進み、案内看板に従って歩き、子ども美術館に到着。バス停から約2km。運動不足解消には程よい距離ですが、熱中症予防のためには日傘か帽子、水筒かペットボトルが必需品です。ちなみに、名鉄の美合駅からは3kmの行程です。

◎超リアル(=絵そらごと?)な上田薫の作品

 子ども美術館の玄関で検温。36.4℃で無事通過、手指を消毒、受付で500円支払い、企画展示室へ。超リアルで巨大な作品《ハンバーガーA》(1974)がお出迎えです。この作品、リアルなのですが、何故か違和感があります。振り返って説明を見ると、次のような言葉が書いてありました。

「絵そらごと」っていう言葉があるとおり絵は人間の錯覚を利用したイカサマなんです。はじめは抽象画、行き詰まると目の前のものを描くだけですむというリアルな絵を描いた。今はリアルじゃなくて抽象。生卵が割れて、中から黄身や白身が落ちてくる絵が描かれていますが、そんな瞬間は目で追うことはできません。その瞬間を写真に撮って、プロジェクターでカンヴァスに投影して輪郭を取り、色は写真を見ながら描いています。身の回りのものを描いていても、一瞬と永遠、現実と空想という全く逆の世界を一枚の絵で表現するかのようです。

過去に「弾丸がトランプを射抜く瞬間」や「水で一杯になったゴム風船が割れる瞬間」等の高速度撮影写真を見た時には「え! こんな写真が撮れるんだ」と、びっくりしたものの、違和感はありませんでした。ハンバーガーや生卵に対する違和感の原因は、作者の仕掛けだったのでしょうか。

《あわA》(1979)等の「あわ」のシリーズや《シャボン玉B》(1979)等の「シャボン玉」シリーズには撮影する作者が写りこんでおり、ひとひねりした「自画像」のように見えるためか、違和感はありませんでした。第1展示室に出品されている《流れQ》(1996)等の「流れ」シリーズや《SkyA》(2000)等の「気象」シリーズにも違和感はありません。流れや入道雲、夕焼けなどは「モノ」ではなく「現象」として捉えているので、静止画を見ても動画を見ているような感じでした。

生卵は「一瞬と永遠が一枚に表現」しているので違和感が生じ、水の流れや成長する入道雲は、最初から動画として見ているので違和感が生じなかったのかもしれません。《アカンサスB》(2013)や《サラダE》(2014)については、グラフィック・デザインにしか見えなかったので、こちらにも違和感はありませんでした。

「作品を鑑賞するとはどういうことか?」を考えさせる作品が約100点展示されており、壮観でした。

◎世界の有名美術家10代の作品(収蔵品展)

次の展示室に展示されているパブロ・ピカソ19歳の作品《踊り子》(1901)《街の娘》(1901)はいずれも、わずかな輪郭線だけで立体感を出しており「これが19歳の作品か?」と思わせるものでした。ベルナール・ビュッフェ19歳の作品《風景(塔のある風景)》(1947)には、後の作品の萌芽のようなものが見られます。宮脇晴15歳の作品《母58歳の像》(1917)も同様に、大人になったからの作品を思い浮かべながら鑑賞しました。齋藤吾朗12歳の作品《三ヶ根山ロープウェイ》(1959)は「いかにも子供の作品」でした。

さすが「子ども美術館」。「世界の有名美術家10代の作品を見逃す手はない」と思いました。

◎面白かたち=元永定正の作品

カラフルで面白い形の版画30点が展示されています。上田薫の作品とは対照的に、全て抽象画。しかし、現実世界の欠片のようなものが随所に散らばっています。歪んだ方眼紙や階段、蓋、らせん、机の脚、パイプ、人の口とそこから吐き出される言霊(ことだま)のようなもの等、見れば見るほど想像力を掻き立てられます。

◎最後に

 「西美合」のバス停から「市民病院方面ゆき」のバスに乗れば、岡崎市美術博物館の収蔵品展(7/12まで、入場無料)を鑑賞することも出来たのですが、時間的な余裕が無くて断念しました。二週間ごとに担当学芸員が入れ替わり、三部構成でそれぞれがテーマを設けて展示品を入れ替える、というので「気になる展覧会」です。

Ron.

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