読書ノート 『図解 はじめての絵画』小学館の図鑑 NEOアート

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

 近所の書店で分厚い図鑑が平積みになっていました。「見本」を開くと、何と名古屋市美術館・常設展の写真が載っています!「いつでも楽しい常設展」というページで、「地下にある常設展示室。モディリアーニ《おさげ髪の少女》や、カーロ《死の仮面を被った少女》など、貴重な作品に出会える」と、説明がありました。最後のページの「協力」欄には「名古屋市美術館」という名前があります。すべての漢字が「ふりがな付き」で、あきらかに「子ども向けの図鑑」でしたが、思わず買ってしまいました。

図鑑の名前は「小学館の図鑑 NEOアート 図解 はじめての絵画」(以下「本書」)。2023年2月11日初版第1刷発行の新刊書ですが、私が買ったのは「4月1日発行」の第2刷。2カ月で増刷というのは、ベストセラーなのでしょうね。Amazonを検索すると、値下げした中古本を「送料無料」で販売中。監修は映画「テルマエ・ロマエ」を監修しただけでなく、国立西洋美術館館長、文化庁長官も歴任した青柳正規氏です。本書は、ナスカの地上絵から、浮世絵、現代アートまで、世界の名画を約360点も掲載。じっくり読んでみたところ、「オトナの図鑑」としても使える「優れもの」でした。

○ どこが「優れもの」なのか?

美術書というと、美術史などについて書いているものが多いのですが、本書の目的は「絵画の見方を、楽しく解説する」ことです。表紙カバーには、こう書かれていました。

<この本では、絵画を始めて見る子どもたちに向けて、絵画の見方を5章に分けてわかりやすく、楽しく解説します。

第1章 何が描かれているのか

1枚の絵に何が描かれているかじっくり鑑賞したり、同じものが描かれている絵を見比べたりします。

第2章 どう表現しているのか

 絵には、人や物が実際とは異なる姿で描かれていることがあります。どんなふうに描かれているのか探っていきましょう。

第3章 絵画をもっとよく知ろう

 長い歴史のなかで生まれた、絵を描くときや見るときの約束事をわかりやすく伝えます。

第4章 素材と技法

 絵を描くための道具、用いられる素材や技法を写真やイラストで紹介します。

第5章 美術館に行こう

 絵のあらゆることがわかる場所、美術館を探検してみましょう。> 引用終わり

○ 本書の第5章で、美術館を探検する

 特に第5章には、「美術館の図解」がたっぷり詰まっています。その、主なものをご紹介します。

① 美術館へようこそ!

美術館に行っても、荷下ろし場や学芸員室を見る機会は滅多にないので、本書のイラストは貴重です。

② 展覧会ができるまで

以前に雑誌で「展覧会ができるまで」を紹介した記事がありましたが、本書で見ると分かりやすいですね。

③ 絵を見せるための工夫がいっぱい!

昨年の「布の庭にあそぶ 庄司達」や「クマのプーさん」展は、作品を見せるための工夫がいっぱいありましたが、本書のイラストを見るとどんな作業をしているのか、よくわかります。

④ いつでも楽しい常設展

 本書では、名古屋市美術館のほかに、4館の常設展を紹介しています。

⑤ どれだけ知ってる?絵に関わる仕事

 本書を読むと、画家、版画家、写真家だけでなく、学芸員、キュレーター、美術輸送業、展示施工業など様々な仕事をする人たちが関わっていることが分かります。

○ 最後に

 「美術教育」というと「作品を制作する」ことが中心で、「作品を鑑賞する」ことはなおざりにされて来たような気がします。協力会の解説会やミニツアーは「作品鑑賞」の又とない機会です。ご参加をお待ちしています。

Ron.

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