読書ノート 世界で愛されるムーミン 誕生に秘められたソ連侵攻

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

◆「世界で愛されるムーミン 誕生に秘められたソ連侵攻」 2022.04.09「産経ニュース」

愛媛県美術館で開催中の「ムーミンコミックス展」(名古屋市博物館など、全国11館を巡回中)を紹介する「産経ニュース」は、下記のとおり「トーベ・ヤンソンは戦争に嫌気がさし、小説『小さなトロールと大きな洪水』を描き始めた」と書くだけでなく、ソ連がフィンランドに侵攻した「冬戦争」についても書いています。

〈(略)作者のトーベ・ヤンソン(1914~2001年)はフィンランドに生まれ、第二次世界大戦を経験。戦争に嫌気がさし、描き始めたのがムーミンの物語だった。(略)第二次世界大戦が勃発したのは1939年。(略)ソ連は同11月末にはフィンランドにも侵攻を開始した。これは「冬戦争」と呼ばれ、ソ連は国際連盟を除名された。翌年3月に講和条約により停戦。フィンランドは工業地帯を中心に国土の10%をソ連に奪われたものの、独立を守り抜いた。トーベは戦争の嫌な雰囲気の気晴らしとして、ムーミンの物語を作り始めたという(略)〉(引用終り)

*記事のURL:世界で愛されるムーミン 誕生に秘められたソ連侵攻 – 産経ニュース (sankei.com)

◆昨年秋の名古屋市博物館「ムーミンコミックス展」では(今の状況との違い)

「ムーミンコミックス展」は、1954年からイヴニング・ニュース紙で連載が始まった「ムーミンコミックス」を紹介する展覧会です。戦後の話ですから、私の知る限り、名古屋市博物館の展覧会チラシ、博物館のホームページ、新聞記事、協力会ミニツアーの解説で第二次世界大戦にまで踏み込んだものはありませんでした。

「産経ニュース」が、上記の記事で「冬戦争」についても書いたのは、「ウクライナ侵攻」の影響によるのでしょうね。

◆池上彰も「冬戦争」について書く  2022.04.14「週刊文春」「池上彰のそこからですか!?」連載520

 「週刊文春」連載の「池上彰のそこからですか!?」も下記のとおり、ウクライナ侵攻について解説するなかで「冬戦争」に触れています。

〈1939年11月、当時のソ連軍はフィンランドに侵攻しましたが、この時もソ連はフィンランドを「小国」と見下し、簡単に勝利すると思っていたところ、地元の地理に詳しいフィンランド軍の創意工夫を凝らした抵抗に翻弄され、苦戦を強いられました(略)〉(引用終り)

◆「フィンランド独立100周年 フィンランド・デザイン展」でフィンランド史を知る

私は、2017年に愛知県美術館で開催された「フィンランド独立100周年 フィンランド・デザイン展」で、初めてフィンランド史を知りました。展覧会では、世界的建築家アルヴァ・アアルトがデザインした椅子(41 アームチェア パイミオ、スツール60)、マリメッコ社のデザイナー=マイヤ・イソラの《ウニッコ(ケシの花)》をプリントした巨大な垂れ幕と並んで、フィンランド史年表の大きなパネルに目を引かれました。

フィンランドは「冬戦争」停戦後、失地回復をめざして1941年6月に「継続戦争」を開始。一時はソ連領を占領しましたが固着状態に陥り、ソ連軍の大攻勢を受けて1944年9月に休戦。休戦後、ソ連の占領は免れたものの国土の10分の1を失い、3億ドルの賠償をソ連に支払い、「継続戦争」に関係した政府要人の被告全員が有罪禁固刑の判決を受けたことは、展示された年表を読むまで知りませんでした。

Ron.

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