展覧会見てある記 豊橋市美術博物館「絵画コレクション名品展」など

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現在、豊橋市美術博物館(以下「美術館」)では「プレイバック! 絵画コレクション展」(以下「本展」)を開催しています。本展のチラシには〈当館は2022年6月から翌年9月まで改修整備工事のため休館します。開館後最も長期にわたる休館を前に、当館コレクションの核となる名品の数々をぜひご覧ください〉と書いてあったので「当館コレクションの核となる名品」に興味が沸き、美術館まで出かけてきました。1階でも「第3期特別展示室コレクション展 Face to Face ― 面(つら)つき合わせて」を開催しており、本展は2階常設展示室(全5室)での開催。いずれも会期は3月27日(日)までです。

◆2階 プレイバック! 絵画コレクション展

 2階の受付で観覧料400円を支払い展示室に進むと、通路左側の「テーマ展示コーナー」で、チラシにも使われた、京都市北区・地蔵院の椿を描いた平川敏夫《椿樹》(1970)が出迎えてくれました。紅白の椿を描いた作品ですが、椿の樹が赤と黒で塗り分けられているので「華やかさ」とは違う「力強さ」を感じます。

第1展示室は、幕末から明治期の画人たちの作品を展示。目を引いたのは渡辺小華(1835-1887)の《蔬果図》(1874)と《画帖》(1879)です。解説によれば、渡辺小華は渡辺崋山の次男で、幕末・明治期に田原藩の家老を務め、廃藩置県後は画家として生計を立てたとのことです。

第2展示室は、近代の日本画を展示。和服の若い女性が、おかっぱの女の子が乗った乳母車を押す、高柳淳彦《半蔵御門の朝》(1934)や和服の着付けをしている女性を描いた、遠山唯一《支度》(昭和前期)など、これまでのコレクション展で「これは!」と思った作品がいくつも展示されています。

第3展示室は近代の洋画。岸田劉生《卓上林檎葡萄之図》(1918)、椿貞雄《鶏頭持てる村の婦》(1920)、高須光治《下北沢風景》(1928—35)等を展示しています。解説によれば、椿貞雄・高須光治は岸田劉生の草土社に参加した画家です。

第4展示室は戦後の日本画。中村正義の《花図》(1968)《うしろの人》(1977)を始め、人拓によって描いた星野眞吾《終曲》(1975)、平松礼二《路・波の国から》(1992)など、地元ゆかりの作家の作品が並びます。

第5展示室は「表現の多様化」と題し、写実画、抽象画を展示。スーパーリアリズムの野田弘志《やませみ》(1971),上田薫《玉子にスプーンA》(1986)などと、ミニマル・コンセプショナルの荒川修作《S.A.方程式》(1962)や飯田善國《LOVE-KOI》(1994)などが並んでいるのは壮観です。

◆1階 第3期特別展示室コレクション展  Face to Face ― 面(つら)つき合わせて

 1階のコレクション展は入場無料。展示されているのは「顔」を描いた作品です。

 展示の最初は、筧忠治の《自画像》6点と《母の像》(1927)。仁王様のような自画像が並ぶ中、1947年制作の《自画像》は、レンブラントのようです。中村正義の作品も多く、《顔》5点とユーモラスな《頭でっかちの自画像》(1961)、テラコッタの《顔》30点を展示しています。

 石黒鏘二《もう語るのをやめた》(1972)は、頭にかぶったスカーフだけを表現したブロンズ像。「顔」の部分が空白なので、最初は何を表現しているのかわかりませんでした。

Ron.

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