藤田嗣治《二人の祈り》《夢》のことなど

カテゴリ:アート・ホット情報 投稿者:editor

あいちトリエンナーレ2019に並行して、名古屋市美術館常設展・名品コレクション展Ⅱの展示が始まりました。今回の展示の目玉は何といっても、本年6月21日に寄贈を受けた藤田嗣治の《二人の祈り》(1952)と《夢》(1954)。これで、藤田嗣治コレクションの厚みが増しましたね。評価額に触れると興ざめですが、6月22日(土)付け中日新聞には「鑑定評価では少なくとも計3億5千万円相当という」と書いてありました。

◆「藤田嗣治作品解説会」が開催されます  《二人の祈り》と《夢》が寄贈されて、名古屋市美術館が所蔵する藤田嗣治の絵画が全9点になったことを記念して、9点の作品の解説会が開催されるそうです。期日は10月5日(土)午後2時~3時半(受付は午後1時半~)。場所は名古屋市美術館2階講堂、講師は深谷克典・名古屋市美術館副館長。受講料は無料で、申込不要・先着順とのことです。楽しみですね。

◆「小さな藤田嗣治展」(2015年・岐阜県美術館)の思い出  私が最初に《二人の祈り》と《夢》を見たのは、2015年に岐阜県美術館で開催された「小さな藤田嗣治展 レオナール・フジタからの贈り物」の会場です。9月27日開催の協力会ミニツアーで、岐阜県美術館の廣江康孝学芸員による1時間にわたる熱いギャラリートークを聴きながら鑑賞しました。参加者は11人。小ぶりな作品が多くて文字通り「ミニツアー」でしたが、収穫はビッグでした。展示のテーマは「こども」「女性/猫」「Pour Kimiyo」「フジタの夢」の四つ。《二人の祈り Adoration》と《夢 Le Rêve》は「フジタの夢」に展示されており「印象深い作品だった」と記憶しています。当時の図録には「個人蔵」と記載されていましたね。

◆コシノ・ジュンコのおかっぱ頭、お手本は「モンパルナスのキキ」  

藤田嗣治に関連して、8月9日(金)付け日本経済新聞「私の履歴書」に面白い文章がありました。

(略)デビューに当たり、私は2つのことを心がけた。1つはおかっぱのヘアスタイル。もう一つは名前の表記だ。  おかっぱ頭にしたのは初対面でも相手の記憶に残るインパクトを残したかったから。外見は自分の存在を相手に伝える有力な武器になる。  もともと私は幼少からおかっぱ頭だった。途中で違う髪型を試しても結局は元に戻ってしまう。それが一番自分らしいと感じるから。実は心の中に一人のアイドルがいた。  「モンパルナスのキキ」  20世紀前半、パリで活躍した謎の女性で、キスリングや藤田嗣治らが競ってモデルにしたことで知られる。私は美術の本を読むうちにキキに憧れるようになり、そのユニークな髪型をまねていたのだ。  名前の表記をカタカナにしたのは、小篠という姓が珍しく、「コシノ」となかなか読んでもらえなかったため。カタカナならば間違える心配はないし、印象も強い。国際的なイメージも演出できる。(略)  

現在、岡崎市美術博物館で開催中の「キスリング展」には「キキのコーナー」があり、キスリングと藤田嗣治の交流について書いたパネルもあります。偶然ですが、コシノ・ジュンコ「私の履歴書」の中で、キキ、キスリング、藤田嗣治という3つの名前が繋がったので、引用させていただきました。  

Ron.

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