「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(名古屋市美術館)を見て

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 名古屋市美術館で「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(以下、あいトリ2019)が開催されています。あいトリ2019の会場は、名古屋市美術 館の他、愛知芸術文化センター、豊田市美術館、四間道・円頓寺、豊田市駅周辺となっています。

 「あいとり2019」は、国内の国際芸術展として初めて参加作家の男女平等を実現したことで、春先から話題になっていました。名古屋市美術館会場で は、碓井ゆい、今津景、藤井光、モニカ・メイヤー、桝本佳子、パスカレハンドロ、青木美紅、タニア・ペレス・コルドヴァ、Sholim、カタリー ナ・ズィディエーラー、ドラ・ガルシア、バルテレミ・トグォの作品を見ることができます。 作家の名前からも、女性が多いことがうかがえると思います。作品点数は多くありませんが、全体的に落ち着いた雰囲気の展示になっています。

会場で気になった作品を2点、紹介します。

モニカ・メイヤー 《The Clothesline》  

これは、観客参加型の作品です。人の背丈よりやや小ぶりなピンクの枠に張られた白いロープに、葉書よりやや小さく、色合いの異なるピンクの カードが多数ぶら下がっています。傍らの机の上には、ハラスメントに関する質問が印刷されたカードが置かれています。このカードに回答を記入 した観客は、自分でロープにクリップでぶら下げるか、机の上のポストに投函します。投函されたカードは、後日、スタッフがロープにぶら下げる そうです。  

ちなみに、質問の種類は4つ。ロープは、まだ半分くらいしか埋まっていませんが、日増しにカードが増え、ついにはロープからあふれることで しょう。ぜひ、あなたも参加してください。

カタリーナ・ズィディエーラー 《Shoum》

 モニター画面には、ペンを持った大きな手がアルファベットを書いている様子が映し出されています。BGMは、かなり昔に流行ったイギリスの曲 のようです。どうやら、曲の歌詞を書き起しているようですが、単語のつづりが怪しそうです。  

もし、日本人の自分が同じ状況になれば、カタカナで書き留めるでしょうが、そのメモを見て、原曲がわかる人がどれだけいるか、はなはだ怪し いものです。 歌う方は言葉を伝えようとするけれど、聞き取る方はそれを理解できないというディスコミュニケーションを表現する作品ですが、身の回りの出来 事を思い返すと、とても印象的な作品でした。

おまけ(その1)

愛知県内で予定されている「あいトリ2019」参加作家の個展、グループ展についてお知らせします。トリエンナーレとは、違った雰囲気の作品を見ることができると思います。(タイトル、日程等は取材時のものです。展示の中止を含め、予定が変更される場合があります。お出かけの際は、各ギャラリーのHPなどもご参照ください。)

青木美紅「アサイラムの燈台」山下ビル 8/2-8/18

澤田華「車窓のそとはすでに過去」波止場 8/4-9/15

碓井ゆい「パノラマ庭園」MAT,Nagoya 9/7-11/10

藤原葵 「ちからこそパワー!」ギャラリーN 10/8-10/22

おまけ(その2)

あいちトリエンナーレのオリジナルグッズがミュージアムショップを賑やかにしています。 手ごろな文房具など、お土産にいかがですか。

杉山 博之

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