展覧会見てある記 「美術のみかた自由自在」

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

今回の展覧会は、碧南市藤井達吉現代美術館の北川智昭・特別主任学芸員(以下「北川さん」)から教えていただいたものです。先日参加した、協力会の「佐藤玄々展」ミニツアーで、北川さんが玄々のデビュー作《永遠の道(問答)》の解説をするときに豊橋市美術博物館で開催中の国立国際美術館コレクション展「美術のみかた自由自在」(以下「本展」)のチラシを使ったのです。チラシの表面に刷られたロレッタ・ラックス《アイルランドの少女》の実物が見たくなり、本展に行ってきました。
◆目的の作品は
目的の作品は第2章「表層と深層」(特別展示室)に展示されていました。実物は38cm×42㎝で、チラシの約2.5倍の寸法。解説によれば、撮影した写真をコンピューターのモニター上でデジタル合成して制作したものです。北川さんが解説されたとおり、二人の少女は「何を見ているかわからない」という表情です。人工的すぎるのか、二人の少女はどちらも「現実感が無い」という不思議な作品でした。
◆外に気になった作品は
第2展示室(第1章「イメージと物質」)の床に段ボールが無造作に置かれていたので何かなと思ってみていたら、独り言を話し始めました。島袋道浩《箱に生まれて》は箱の中に誰かが入っているように感じる作品です。
これも第2展示室ですが、ゲルハルト・リヒター《フィレンツェ》が4点展示されています。作家がフィレンツェの風景を撮影した写真にカラフルな油絵具を塗り重ねた12㎝×12㎝の小さな作品です。地の写真は4点とも同じですが、油絵具の彩色は1点1点異なります。見ていると、地の写真のイメージと油絵具のイメージが交互に入れ替わるような感覚を受けます。
第3展示室(第2章「表層と深層」)には、有名なアンディー・ウォーホル《版画集『マリリン』》から4点が展示されています。名古屋市美術館で開催中の「辰野登恵子 オン・ペーパーズ」にも男性のボクサーの写真をもとにしたシルクスクリーンの作品が展示されていました。ウォーホルの影響はとても大きかったのですね。
展示室出口のテレビモニターで上映している15分のヴィデオ作品=アラヤー・ラートチャムルーンスック《ミレーの《落ち穂拾い》とタイの農民たち》は《落ち穂拾い》を見ている農民のおしゃべりを撮ったものです。日本語訳した字幕は「どんな虫をさがしているの」「奥のわらが崩れたら大変」「この人たち、背が高くてやせていてうらやましい」などという内容。クスッと笑ってしまいました。「ふたつの惑星」というシリーズの一つですが「農民のおしゃべりと自分のブログは大差ないな」と思いました。
◆最後に
 帰りに見たら、豊橋市美術博物館の入り口に「天皇陛下御在位三十年を記念する慶祝事業の一環として2月24日(日)に『美術のみかた自由自在』を無料開放します」という貼紙がありました。豊橋市は太っ腹ですね。なお、会期は3月24日まで。
         Ron.

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