展覧会見てある記 「名古屋ボストン美術館 最終展 ハピネス」

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

名古屋ボストン美術館の最終展「ハピネス ~明日の幸せを求めて」が開催されています。最終日は10月8日(祝)。展示は「明日の幸せを求めて」(英語表記は In Pursuit of Happiness)をテーマに5章で構成。馬場駿吉館長のコレクションと名古屋市博物館のコレクションの特別出品の外、3階ロビーにはシヴァ神のコスプレができるコーナーがあります。展示は4階から、概要は以下のとおりです。
◆第1章 愛から生まれる幸せ ~日常の情景から~
切り口は男女の愛、親子の愛、ペットとの愛から生まれる幸せ。ヒンドゥー教で最も人気のあるクリシュナが、いたずらをして恋人ラーダから懲らしめられる場面を描いた絵が面白かったですね。クリシュナの銅像もあります。外には、アダムとエヴァの銅版画、ミレーやルノワール、歌麿等が描いた母と子の姿の外、若い女性とペットの犬を描いた写真みたいな大画面の油絵など、古今東西の「愛から生まれる幸せ」が並びます。
◆第2章 日本美術にみる幸せ
目玉は、理想の高士像を描いた曾我蕭白の襖絵《琴棋書画図きんきしょがず》。解説によれば、展示作品は六曲一双の屏風として収蔵されてしたものを襖に復元したもの。襖を屏風にしたときに「棋」つまり囲碁を描いた襖の一面が失われたようです。外には、四季の遊び、舟遊び、お座敷遊びなど、江戸時代の日本美術が並びます。
◆第3章 ことほぎの美術
 切り口は「おめでたいもの」。見どころは糸で刺繍した豪華な打掛、振袖、袱紗。6点並ぶと壮観です。「壽」の文字や七福神の外、焼成していない鑑賞用の土器や貝殻、トルコ石、銀などを組み合わせたネックレスもあります。
特別展示は名古屋市博物館所蔵の宝船置物、花瓶、鐔、渡辺清《鯉図》(8/26まで、8/28からは白隠慧鶴《布袋図》)。見逃せないですよ。
◆第4章 アメリカ美術に見る幸せ
5階展示室では鞍を着けた豚が出迎えてくれます。第4章前半の「Ⅰ 幸せを彩った芸術 ~アメリカン・フォークアートの世界~」は素朴なアメリカ美術がテーマ。あまり可愛くないジョン・F・フランシス《3人のこども》などに加え、伝統的な手工業に携わる人々を撮影した記録写真も展示されています。
後半の「Ⅱ 東西の出会い ~心の平安を求めて~」は東洋美術と米国人の出会いがテーマ。米国人芸術家が描いた日本画や浮世絵風の油絵の外、踊るシヴァ神の銅像、仏壇のようなチベットの小祠、インドネシアの仏頭など東洋美術の展示があります。
◆第5章 アートの世界に包まれて ~現代における幸せの表現~
 ハートをかたどったジム・ダインの作品が11点も展示され、「小さなジム・ダイン展」になっています。特別展示は、河原温《百万年(過去・未来)》を始めとする馬場駿吉館長のコレクション。
◆最後に
 20年間続いた名古屋ボストン美術館の展覧会もこれが見納め。淋しくなりますね。
                            Ron.

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.