名古屋市美術館「春のアートツアー」に参加して

カテゴリ:アートツアー 投稿者:editor

5月29日(日)に実施されたアートツアーは大阪の国立国際美術館、東洋陶磁美術館そして京都の大山崎山荘美術館を1日でまわるもの。時間に追われるものであったが様々な美と出会う貴重な体験をすることができた。
国立国際はセルフポートレイトという手法で作品制作を続けている森村泰昌の自画像の美術史「私」と「わたし」が出会うときというタイトルの展覧会。彼の作品は2010年に豊田市美術館でなにものかへのレクイエムという展覧会で三島由紀夫の市ヶ谷駐屯地での演説シーンのヴィデオインスタレーションが印象に残っている。記憶は定かではないがマスコミのあり方を三島の演説を使って代弁し自分の思想を表現していたと思う。以前から深い思想に支えられたひねった作品やただ単純に笑える作品とかを製作するので私の好きな作家のひとりである。今回も単純に笑えたのが松本竣介の自画像「わたしはどこに立っている」、もとの作品のその時代背景とその製作過程を考えればあのような作品は作れないと思うがそのことをおいといて楽しめばいいと思う。彼の作品はオリジナルの絵を知っていれば文句なく楽しめると思う。ヴィデオインスタレーションの動く《電気服》、ファッションモデルの小夜子の写真なども個人的に楽しめた。ただ私はフリーダカーロの作品についてはちょっと安っぽい芸術みたいであまり好きではない。最後のコーナーに70分の長編ビデオが上映されていたが時間の関係で半分ぐらいしか見られなかったのがとても残念である。
 東洋陶磁美術館であるが前々から陶器を収集するなら古いものは高価なので明治時代のものがよいのではと聞いたことがあるがその明治の陶器収集にあたりその最右翼が宮川香山の作品だと思う。その宮川香山の蟹があしらわれている花瓶どこかで見たことがあるのだが、そのリアリズムさにすごいと思うのだがほしくはないなあ。重要文化財の黄釉銹絵梅樹図花瓶ならとてもほしいのだが。東洋陶磁にある国宝のひとつ龍泉窯で作られた飛青磁花生け、このような青磁は他ではまず見られない。お茶をたしなむ人にとっては垂涎の花瓶だ。

大山崎美術館、テラスからの眺め

大山崎美術館、テラスからの眺め


 次はアサヒビール大山崎山荘美術館。インターネットでみてもらえればどんなに素敵な美術館か理解できると思う、ロケーション、美術館のたたずまい、雰囲気どれをとってもデートするのに申し分のない美術館、日本人の好きな印象派のビックネームの作品もある。安藤忠雄の設計した建築もある。また河井寛治郎、濱田庄司のなどの名品もある。
見応え充分。非公開の茶室を見られたらなお最高なのだが。
 帰り道のバスのなかでは恒例の山田さんの特別レクチャーがありました。この話をきくためだけにツアーに参加するのもありと思えるほど山田さんのお話は興味深い。44名の全ての参加者(美術ファン)を満足させてくれる内容だ。今年4月、東京で開催されていた展覧会などの感想など私見を交えての興味つきないお話でした。いつも協力会のために参加していただき山田さんには感謝、感謝です。
 最後に国立国際の田中一光のポスター展です。この中にISEEY MIYAKEのポスターが3枚ありました。私は大学卒業後に南青山にあったISSEY MIYAKE インターナショナルというアパレル会社に勤めていたのでそのポスター3枚をなつかしく観賞しました。現在パリコレクションで活躍している津森千里と当時はこんなのがいい、それはだめとか展示会前夜遅くまで準備をしたのを思い出したりもしました。私が会社にいたときに横尾忠則が製作した「モンキーパラダイス」というISSEY MIYAKEのポスターを今も大切に自宅に飾っています。でもうちにあるのよりも田中一光のポスターのほうが自分は好きですが。
 協力会の皆さんと一緒に楽しい一日を過ごすことができました。みなさん、本当にありがとうございました。次回も都合がつけばぜひ参加したいと考えています。
               
                  谷口 信一(たにぐち しんいち)
 

 

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.