名古屋ボストン美術館 ヴェネツィア展 ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

レクチャを聞く会員たち

レクチャを聞く会員たち


名古屋ボストン美術館で開催されている「ヴェネツィア展」(以下「本展」といいます。)のミニツアーに参加しました。参加者は16名。1階の壁画前で待ち合わせ、美術館5階のレクチャールームで解説を聴いた後は自由行動です。
◆ヴェネツィアの歴史
 本展について書く前に、ヴェネツィアの歴史を簡単におさらいすると、5世紀にゲルマン人の侵略を逃れて北イタリアの住民が湿地帯に避難してきたことから、ヴェネツィアの歴史が始まります。東ローマ帝国に属しながらイスラム帝国との交易で国力を拡大し、13世紀に第4回十字軍とともに東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを攻略して、東地中海最強の海軍国家となります。
15世紀後半から16世紀にかけてヴェネツィア・ルネサンスが花咲く一方で、オスマン帝国の進出により海外領土が奪われ、ヴェネツィアの衰退が始まります。更に、貿易の舞台が東地中海から大西洋、太平洋に移っていくことで、ヴェネツィアの貿易における影響力も低下。ヴェネツィアはガラス、レースなどの工芸品で対応しますが、やがて1797年ナポレオンの侵攻でヴェネツィア共和国は崩壊。1866年にイタリア共和国に併合され、現在に至ります。
◆本展の見どころ
 「魅惑の都市の500年」という副題のとおり、本展の対象は15世紀から現代までの500年です。レクチャールームでの解説によれば、見どころは①ヴェネツィア・ルネサンスの三大巨匠(ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ)の作品、②印象派の画家たちを虜にしたヴェネツィアの風景画、③ヴェネツィア様式の織物やレース、ヴェネツィアン・ガラスなどの工芸品とのことですが、個人的には、ルネサンス期だけでなく近代や現代の作品も展示していること、絵画や工芸品だけでなく写真も展示していることも見どころだと思いました。
◆ヴェネツィアの魅力、キーワードは「衰退」か
 本展ではモネやホイッスラーの作品も展示されています。彼らを虜にしたヴェネツィアの魅力とは何かと、いろいろ考えてみたのですが、最盛期には地中海の交易を支配しながらも、現在は「衰退」し「かつての栄華を偲ぶ場所」になっていることが、ヴェネツィアの魅力ではないかと思いました。
◆わずか2点だが、気になる吉田博
 本展ではモネやホイッスラーの作品に交じって吉田博の版画が2点ありました。調べると、吉田博は明治、大正、昭和にかけて風景画家の第一人者として活躍したそうで、欧米で知名度が高かったようです。2017年1月14日から2月26日まで名古屋ボストン美術館でMOA美術館所蔵の木版画会が開催されるので、ぜひとも見てみたいですね。                      Ron.
解説してくださった宮永郁恵学芸員

解説してくださった宮永郁恵学芸員

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