再オープンの豊田市美術館 ― 協力会ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

豊田市美術館がほぼ1年間にわたる改修工事を終え本年10月10日に再オープンしたので、ミニツアーに行って来ました。参加者は24人。都筑(つづく)学芸員(以下「都筑さん」と書きます)のレクチャーを聴いた後は自由鑑賞です。

講堂でのレクチャの様子

講堂でのレクチャの様子

◆どこが変わったの?
 パッと見には、改修工事でどこが変わったのかよくわからない豊田市美術館ですが、都筑さんが言うには、①外壁のガラスをすべて取り換え、②2階と3階をつなぐ大きなエレベーターを設置して、バリアフリー化、③高橋節郎記念館のワークショップルームをほぼ2倍に拡張、④空調取り替え、の4点が主な改修内容とのことでした。確かに、ガラスが新調されたことで展示室が明るくなった気がします。
 このほかで私が気付いたのは、屋外作品に青木野枝《原形質/豊田2015》が加わったことと、3階通路のフローリングの汚れを除去したことの2つですね。

◆ソフィ・カル ― 最後のとき/最初のとき
 都筑さんによれば、再オープンの企画にソフィ・カルを取り上げたのは、豊田市美術館開館10周年の人気投票でソフィ・カル《盲目の人々》が第1位を獲得したことによるそうです。(ちなみに、第2位はクリムト《オイゲニ・プリマフェージの肖像》、第3位が藤田嗣治《美しいスペインの女》。現代美術が第1位とは、豊田市美術館らしいですね。)
 展示されているのは、①生まれつき目の見えない人の写真に、「美しいものは何か」と尋ねた答えと、その答えに関連する写真を組み合わせた《盲目の人々》23組の作品全て、②途中失明の人の写真に、「最後に見たものは何か」と尋ねた答えと、その答えに関する写真を組み合わせた《最後に見たもの》、③一度も海を見たことがない人が最初に海と出会ったときを撮影した《海を見る》の3つです。いかにも現代美術らしい「言葉=概念」と「写真=イメージ」の対比で、どう見ればいいのか戸惑いを覚えますが、それが作者の狙いでしょうね。

◆ソフィ・カルのドキュメンタリー映画
 当日14:00から約1時間、ソフィ・カルの活動を追ったドキュメンタリー映画が上映されたので、それも鑑賞。エネルギッシュな女性だと感心しました。

◆開館20周年 コレクション展Ⅰ
 コレクション展も同時開催。豊田市美術館のコレクションの厚みを感じます。藤田嗣治の作品《自画像》《キャンボシャ平原》《美しいスペインの女》と関連資料(「新美術」2月号など)のほか、荒木経惟《センチメンタルな旅》《冬の旅》などで、足を止めました。

◆常設展示と特集展示
 上記のほか、1階展示室6で宮脇晴(みやわき はる)、宮脇綾子、同展示室7で小堀四郎の常設展示を、2階展示室5では20世紀初頭のロンドンで活躍した牧野義雄の特集展示がありました。牧野義雄の絵は初めて見たのですが、チラシに載っている《秋のハイドパーク》など、日本的な趣のある洋画は新鮮でした。

◆人出
 11月14日(土)と15日(日)は全館無料鑑賞日のため、たくさんの人でにぎわっていました。初めて豊田市美術館に来た人もいるようで、「迷路みたいだ。どう行ったら良いか、わからない。」と言いながら歩いている人が何人もいましたね。
                                    Ron.

レクチャしてくださった、都築正敏学芸員

レクチャしてくださった、都築正敏学芸員

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