名古屋市美術館春のバスツアーに参加して

カテゴリ:アートツアー 投稿者:editor


今年も日帰り名古屋市美のツアーに参加。バスは満席。市美協力会は現代美術にも人気があり、私のようにバーネット・ニューマンを楽しみにして…という方々も多い。
MIHOミュージアムはしだれ桜が満開で、まさに見ごろ。トンネルの中から桜の写真を撮る。
説明を受けたあと真っ先に≪十字架の道行き≫の展示室へ。
入口に書かれている彼の言葉は難解であるが、大きな手がかりになる。
副題は「神よ。なぜわたしをお見捨てになったのですか」というキリストのことば。
芸術に対する彼の答えがここの中にある、と期待がふくらむ。
入ってみると展示室の狭さに驚く。全体を見ることは後にして、順に見ていく。
描き始めた1958年ころは53歳。2年ごとに2作品を制作。64年には3点、65~66年に5点。
独自の表現を追求する粘り強い意志を感じる。
同じ区切りの構成、縦線による上昇感、線の太さによる緊張感の変化、テープを使って「描かないことによる表現」などが見られる。生地のままの広い空間は生きていることの明暗か。
長い時間、作品に向き合って、命の終焉に向かう生き方、神に問う矛盾などを考えていた。
残り時間が少なくなったので日本美術の展示室に急ぐ。集中して上質の美術作品を見ることができた。
信楽へ移動して楽しく会食。道端には山ツツジも咲いていて美しい。
陶芸の森陶芸館では北欧デザイン的なリサ・ラーソンの陶芸作品展を見たあと、甲賀町の櫟野寺へ。大きく重厚な櫟野(いちいの)観音をはじめ多数の重要文化財の平安期の仏像を鑑賞。中は撮影禁止なのでスケッチする。
帰路ではニューヨーク帰りの山田学芸員からのお話。ニューマンの展評、亡き河原温のことなど詳しく伺うことができた。実はこの語りがいい勉強になるのでうれしい。
今回も充実したツアーで楽しい時間を過ごすことができました。企画してくれたみなさまに感謝します。

愛知県美術館友の会会長 小林克敏

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