名古屋ボストン美術館へのミニツアーで浮世絵を鑑賞するのは昨年1月26(日)の「北斎展」以来です。前回は33名の参加、今回の申込みは39名でしたが風邪などで5名が欠席。前回並み34名の参加となりました。
開館と同時に5階に移動。学芸員さんからレクチャーを受けました。
学芸員さんによれば、今回の目玉「ラ・ジャポネーズ」は名古屋ボストン美術館の開館当時から展示を熱望していたのですが「作品の状態が悪いので、動かしたくない。」ため、実現しなかったそうです。
今回は、名古屋ボストン美術館15周年という節目で、東京、京都にも巡回するよう受入態勢を整えるなどの熱意が認められ、この展覧会のために修復プロジェクトが立ち上がり、ようやく永年の夢が実現したと、熱く語ってくれました。
55分にわたるレクチャーのあとは自由観覧です。
展示は5章に分けられています。「Ⅰ 日本趣味」ではジャポニスム初期の「日本趣味(ジャポネズリー)=日本のコピー」を展示。ゴッホが模写した歌川広重の名所江戸百景「大はしあたけの夕立」と同「亀戸梅屋舗」が、いずれもゴッホの模写の図版と並んでいます。
名古屋ボストン美術館では日本の影響が目に見えるよう、日本のものと西洋のものを並べて展示することに力を入れたそうです。外にも、日本刀の鍔とフランスで作った日本趣味のインクスタンドとの対比や、名所江戸百景「水道橋駿河台」とルイ・デュムーラン「京都の鯉のぼり、端午の節句」との対比などがあります。
これが「Ⅱ 女性」以降の展示になると、喜多川歌麿「母子図 たらい遊」とカサット「湯浴み」との対比のように、指摘されてはじめて影響関係が見えるものが増えてきます。「Ⅳ 自然」の名所江戸百景「深川洲崎十万坪」とベンソン「早朝」、「Ⅴ 風景」の東海道五十三次之内「鞠子 名物茶屋」とモネ「積みわら」との関係など、いずれも「解説を聞いて納得」というものです。
名所江戸百景「愛宕下藪小路」とピサロ「雪に映える朝日」では、学芸員さんから「浮世絵が渡ってくるまで、ヨーロッパの風景画に雪景色はあまりなかった。」と解説を受けて、「へー、そうなんだ」と感心した次第です。
とはいえ、日本の影響をあまり詮索せずに見るのも「あり」だと思います。展示されている錦絵は、どれも色彩が綺麗で、それだけで足を運ぶ価値があります。
この外、印象に残ったのはハーマン・ダドリー・マーフィーの「アドリア海」です。マーク・ロスコーの作品や杉本博司の「海景」シリーズを思い出しました。
残念ながら、「ラ・ジャポネーズ」でモデルのカミーユが着ている打掛のレプリカは、当日、名鉄百貨店に出張中でした。会期は5月10日まで。
Ron.
2015年
3月18日
コメントはまだありません
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.
Sorry, the comment form is closed at this time.