名古屋市美術館協力会 「ミレー展」ミニツアー

カテゴリ:Ron.,ミニツアー 投稿者:editor

ミレー展、名古屋ボストンにて

ミレー展、名古屋ボストンにて

 今年はミレーの生誕200年に当たることから、名古屋ボストン美術館で「ミレー展:バルビゾン村とフォンテーヌブローの森から」を開催しています。協力会でも6月29日(日)のミニツアーでミレーとバルビゾン派の絵を見てきました。参加者は21名。10時の開館と同時に5階のレクチャールームで学芸員さんの解説を40分ほど聞いてから、各自のペースで作品を見て回りました。
学芸課長の井口智子さん

学芸課長の井口智子さん

 学芸員さんの話では、ボストン美術館所蔵のミレーの作品は、フランスを除けば世界随一。ミレーが活躍していた時代に熱心に収集した米国人のコレクションがボストン美術館に寄贈・寄託されているとのことです。岩波書店が「種をまく人」をマークにしていることを始め、ミレーは日本人好みの画家ですが、米国人好みの画家でもあったのですね。
今回の展覧会では、20作家64作品が展示されており、そのうちミレーの作品は「種をまく人」「羊飼いの娘」「刈り入れ人たちの休息」の三大作品をはじめ25点とのことでした。
解説を聞いたあと4階の展示室に入ると、大勢の来館者がいました。作品の前でメモを取っている人を何人も見かけます。展示は、Ⅰ巨匠ミレー序章、Ⅱフォンテーヌブローの森、Ⅲバルビゾン村、Ⅳ家庭の情景、Ⅴミレーの遺産の5章で構成され、最初に目にするのは30代半ばのミレーの自画像です。5階の展示室入口に展示してある、仏の写真家ナダルが撮影した有名になった後のミレーにくらべ、痩せて少し不安そうで、「厳しい生活だったろうな」と感じられます。
第1章の展示で目を惹くのが「ソバの収穫」です。晩年の作品なのに、ここに展示してあるのは故郷ノルマンディーの情景だからでしょうね。脱穀やソバの藁?を燃やすところなど、お米の収穫の様子と重なり、日本人にも懐かしさを感じさせる絵です。しばらく見入ってしまいました。
第2章は、コローの「フォンテーヌブローの森」が最初に飾られています。「森」というより「森の入口」の絵ですね。夏の昼でしょうか、空・入道雲と地上の樹・水たまり・牛の対比が心地よく、いかにも「ここからフォンテーヌブローの森が始まりますよ」と告げている感じです。
第2章は、どの絵も暗い森の中に1か所光が指しているという構成で、森の中にいる感じがよく出ています。なかでもペーニャの「森の中の池」は、光の当たっている池がハッキリ・クッキリ描かれています。また、バルビゾン派だけでなく、クールベ「森の小川」とモネ「森のはずれの薪拾い」も展示されています。特に、マネの作品はルソー「フォンテーヌブローの森の薪拾い」と並べてあり、描写の違いがよくわかります。
第3章は今回の展示の中心で、三大作品は全て第3章で展示されていますが、「種をまく人」は4階、あとの2作品は5階の展示です。「種をまく人」はチラシの図版にくらべ、とても暗いのにびっくりしました。日没寸前?(カラスが飛んでいるので)の真っ暗になりかけている斜面で、種をまく人の姿です。暗くて表情はわかりません。夕焼けの淡いピンクがキレイです。
ほかには、5階の入口に展示されているシャントルイユ「日没前の光に照らされるイガマメ畑」の夕焼けに引き付けられました。逆光の描写が美しいですね。あと、ランビネの「農家の森」は庭の木の間から見える陽のあたった農家を描いた小さな絵ですが、ニワトリやネコもいて「日本の農家もこんな感じだ」と感じる、何か懐かしい絵です。
第4章は人物画で、糸紡ぎや編物、縫物、バター作りといった女性が働く姿が印象的です。
第5章のデユプレの作品は「ガチョウに餌をやる子供たち」など3作品ありますが、どれも明るい色でハッキリ・クッキリと描いており、カラー写真を見ているような気がします。「時代が変わった」と感じます。展示室の出口には、ミレー最晩年の「縫物のお稽古」が展示されています。ミレーの死によって未完成に終わった作品ですが、窓の外の風景が印象派を思わせる明るい色彩で描かれており「いつまでもチャレンジしていた人だな」と、思いました。
最後に、夏のツアーは山梨県立美術館の「ミレー展」を予定しています。皆さん、参加してね。
                        Ron.
受付してくださった役員方々。感謝

受付してくださった役員方々。感謝

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