なぜかあまり大きな話題になっていないようだが、フランスが誇る美術品の白眉、「貴婦人と一角獣のタピスリー」(La Dame à la lincorne)が日本に来ている。これまでこの作品がフランス国外に出たのは40年前に一度だけ。ニューヨークのメトロポリタン美術館の似たような図柄のタピスリーと並べて飾るためだけだった。日本に来るなどとは思ってもいなかったので、この蒸暑い季節にやって来ると知った時はとても驚いた。
この作品のある美術館は「国立中世美術館」(Musée national du Moyen Age)通称「クリュニー美術館」。ソルボンヌ大学の直ぐ北側、ノートルダム寺院の前のパレ通りを南に、橋を渡ると通りの名がサンミッシェル通りになるが、それを少し進んだサンジェルマン通りとの交差点の南東側にある。ローマ時代の浴場の遺跡を利用していて、入口はぐるっと廻った南側の狭い通り沿いにある。何と言ってもこのタピスリーがこの美術館の目玉、専用の薄暗い一室にこの6点だけに光が当てられて飾られている。添付の写真は昨年9月初めに訪れた時のもので、日本での展示ではもっと明るいようだ。
ニューヨークのものも見たい人は見に行くしかないが、メトロポリタン美術館の別館「クロイスターズ」に飾られているので要注意。本館から地下鉄かバスで1時間ほどのマンハッタン島最北部にある。東京六本木の「新国立美術館」の展示は4月15日~7月25日、大阪中之島の「国立国際美術館」の展示は7月27日~10月20日。新国立美術館は火曜日が休館日なので注意。パリに簡単に行ける人は別として、この展覧会を見逃してはいけない。少なくともあと100年は日本に来ることはないだろうから。詳しくは<http://www.lady-unicorn.jp/>のこの展覧会のホームページを見られたい。
佐久間 洋一
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