桑山忠明展とゴームリー作品を見る

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

クリスマスイブ(2012年12月24日),神奈川県立近代美術館葉山へ遠出をした.桑山忠明さんの新作展とゴームリーの作品を見るためである.名古屋市美術館が両者の作品を収集していることは言うまでもない.JR横須賀線逗子駅から京浜急行バスで約20分の海岸沿いに,白い建物の神奈川県立近代美術館葉山があった.

今回も,桑山さんの作品は展示室全体が一つの作品である.従来同様に,作品名はUntitled(無題)なので,Room X という仮番号が付いている.Room1は金沢21世紀美術館のためのプロジェクト(2011年)で発表された作品で,土台のような金属塊16個が床に一直線に並べられている.Room2には2壁面に格子模様のような20×20×5の小作品(一見,小箱のように見えるが実はチャンネル鋼(コの字の溝形鋼)の組合せ)が床から天井まで48個ずつ96個が端正に規則正しく掛っている.

個々の作品の様相を説明するのは止めよう.桑山さんがコメントしているように,空間(展示室)に足を踏み入れて何を感じるのか? それが大事、思ったことがアートだよ,と.それにしても20世紀の工業製品のアルミ,チタン材表面の仕上げは美しい.Room5には新作らしいチタン板8枚が直立している.光を鈍く反射すること自体が,さらに小空間を創り出している.材質自身の発言力が大きい.

天井の高い白い展示空間(ホワイトキューブ)にぴったりと合う作品群は2年前(2010年)の名古屋市美術館の個展を彷彿させる.Room4では,川村記念美術館や名古屋市美術館の個展で発表された縦長(240×18×5)の作品群がぐるりと壁面を取り囲む.122点の静かな迫力が圧巻である.

余韻を残して、美術館の外に出る.耳に潮騒が心地よい.海岸近くのあずまや横に立つ彫像と美術館屋上角に立つ彫像の二体が,遥か水平線と山の稜線を眺めている.アントニー・ゴームリー彫刻プロジェクトin葉山の作品である.彫像の原型は作家ゴームリー自身の人型という.Two Times – ふたつの時間と名付けられた作品からは悠久の時間と静寂を想う.夕陽を後に,館を離れる.

入倉 則夫(会員)

遥か水平線を眺める彫像(ゴームリー作)

遥か水平線を眺める彫像(ゴームリー作)

美術館屋上から山の稜線を見上げる彫像(ゴームリー作)

美術館屋上から山の稜線を見上げる彫像(ゴームリー作)

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