先週、関西に行く用事があり、短い空き時間を利用して次の二つの
美術館に行ってきました。(いずれも初訪問)
1)芦屋市美術博物館 (具体の収集で有名)
企画展は、小出楢重を歩く;展示作品数は少ないのですが、小出が過ごしたころの、大阪、神戸の地図や、小出の生活ぶりがわかる映像も展示してあり、面白く味わいました。関連資料もいろいろ工夫されていました。
常設展示は、具体第4期; 山崎つる子、吉原道雄、鷲見康夫、の作品と、具体関連の映像(具体美術展や、グタイピナコテカ開催披露パーティなど、これがなかなかの見物でした)
また、反対のウィングでは、芦屋の鉄道;JRの巻、日本で二番目に開設された鉄道の工事の様子や切符などの資料がいろいろ展示されていて、実際に動かせる鉄道模型もあり、ペーパークラフトのおまけもあり、子供たちにも楽しめそうな工夫がありました。
この美術館は、なかなかに個性的な建物で、展示は難しいようにも感じますが、敷地内に小出楢重のアトリエ(復元)もあり、いろいろ楽しめました。
2)伊丹市立美術館
こちらは、みやのまえ文化の郷の中にある1)とは全く違う雰囲気の建物。企画展は、日本近代洋画への道; と題したヤンマージーゼルの山岡氏のコレクションによるもの。司馬江漢、応挙、由一、黒田、青木繁などなど、江戸後期から明治にさまざまな取り組みをした作家の作品がずらりと展示されていました。ただ、ここは増築を繰り返したためか、2階から地下に移動して見なければならないので、名古屋市美術館と似た制限を感じました。
1階には、柿衛文庫という俳句や書に関する資料を集めたものがあり、ここでは、月渓ー呉春のもうひとつの貌、という俳画や書、軸の展示がありました。
この美術館は、特徴的なコレクションを持ち(ドーミエやホーガスなど)これまでに、G,ユッカーやゴヤ;戦争の惨禍、宮武外骨などの個性的な企画展や、となりの酒蔵(岡田家住宅)を利用した今村源展;連菌術などの、魅力的な企画展をしており、これからの企画にも期待できそうです。
以上、二つのこじんまりした市立美術館を見て、制約の多い状況でもいろいろがんばっている公立美術館の存在を知り、名古屋市美術館も地方の作家の紹介など、名古屋ならではの企画をもっとしてほしく思いました。
林 葉子(協力会会員)
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