古代カルタゴとローマ展

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:members

 遅ればせながら松坂屋美術館で1121日まで開かれていた「古代カルタゴとローマ展」を1119日夕刻に観て来た。あまり期待せずに「第十四代酒井田柿右衛門展」を観たついでに寄っただけだったが、素晴らしい品々に本当にびっくりした。ハンニバルで有名なカルタゴは、第三次ポエニ戦争(AC149-146)に敗れて、都市は完全に破壊され、遺物はほとんど残っていないものと思い込んでいた。ウイキペディアにも「ローマの小スキピオがカルタゴを滅亡させた。ローマ軍は住民のほとんどを殺すか奴隷にした。さらにローマ人のカルタゴへの敵意は凄まじく土地を塩で埋め尽くし、不毛の土地にしようと試みた」とある。ところが案に相違してかなりの遺物が展示されていた。それは2つの部分からなっていて、比較的最近発掘された古代カルタゴの遺物と、ローマの支配下に入ってから独自の文明を発展させたローマ時代のカルタゴの美術品からなっていた。古代カルタゴの遺物は、かつてはほとんど無かったが、その時代に既に打ち棄てられていたネクロポリスと云う都市や、埋蔵の遺構から最近になって発掘されたものがいくつも展示されていた。カルタゴ時代のものでは有翼女性神官の石棺が、ローマ時代のものでは、メドゥーサなどのモザイクが素晴らしかった。イタリア本土に残されているモザイクとはかなり違う印象で、フェニキア人の文化を感じることができた。残念ながら、2009年6月から日本中を廻っていたこの展覧会も、名古屋松坂屋美術館が最後の会場、当分はチェニジアまで観に行かねばならない。

佐久間 洋一(会員)

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