「静けさのなかから 村上友晴」展ギャラリートークに参加して

カテゴリ:協力会ギャラリートーク 投稿者:editor

「静けさのなかから 村上友晴」展は、前期の桑山忠明展とほぼ同じ展示室構成で、作品のキャプションや順路案内などが一切無いことも同じです。でも、そこはまったく異質の空間。想像はしていたものの、遥かに違う雰囲気に驚かされます。

どう違うのか、上手く表現できないのですが、作品自体が放出するエネルギーの方向が、まったく逆のよう。桑山展では、作品が空間全体を巻き込み、鑑賞者の方向へエネルギーを放出していたのに対し、村上展では、作品ひとつひとつが、内部にじっとエネルギーをため込んでいるように感じました。

現代美術に触れる度、こんな感じ方、楽しみ方でいいのかと迷いながら鑑賞していますが、今回の「静けさのなかから・・」展は、自分の感想に自信が持てないことこの上ない展覧会。しかし、担当の山田学芸係長から、作品の細かな部分の違いや、祈るように長い年月をかけて絵具を置いていく創作過程、テーマの変遷などのお話を伺い、何故自分がそう感じたのか、少しだけですが、わかったように思いました。加えて、これまで同じに見えた黒い四角が全く違う表情に見えたり、同じ細かな線描なのに温かみが違う訳を知ったり・・と新たな発見も沢山。6月13日のギャラリートークは、嬉しい貴重な経験になりました。

村上作品の世界を本当に理解するには、引き出しが足りなすぎる私ですが、静かな空間で、もう一度作品と対峙し、今の自分なりの感じ方を楽しみたいと思います。

鈴木律子(会員)

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