若冲の次は是真だ

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 「柴田是真(しばたぜしん:1807-1891)」知らなかった。若冲展を観に行った相国寺承天閣美術館のキャッチコピー「若冲の次は是真だ」に捕まって、「柴田是真の漆×絵」展に行って来た。時代も国も違うが、ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールのように、生きている頃は有名だったのに、亡くなってから次第に忘れ去られ、最近再び脚光を浴びるようになってきたひとだ。江戸時代末に生まれ、明治になって亡くなっている。その激動の時代、伝統文化が見捨てられて行く時に、JAPANとも云われる漆の職人に徹して生きていた。
 しかし、海外特にアメリカではかなり知られていて、今回の展示作品もほとんど「エドソン・コレクション」と云うテキサス人収集家が集めたものの里帰りだ。漆工芸家は松田権六くらいしか知らなかったが、是真の作品は衝撃的なものばかり。「漆でこんなことまでやるのか」と云う驚きの連続。たとえば、紙や竹に漆を塗って、金属や黒檀や焼き物を作ったり、巻ける掛け軸に漆絵を描き螺鈿蒔絵まで施したりしている。しかもそれをさりげなく、苦労の跡も見せずに、やってのけているところがまたすごい。
 ここの会期は6月6日まで、これがブログに載る頃には展覧会は終わっているが、その後富山県水墨美術館で6月25日から8月22日まで巡回開催される。
佐久間洋一(会員)

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