企画展 <静けさのなかから>の初日(4月24日)桑山忠明氏のアーティストトークがありました。名古屋出身で世界的に有名な作家ということで、若い世代から中高年まで、幅広い観客が集まりました。予想を超える大勢の参加者があり、混乱しないかと心配しましたが山田学芸員の巧みな誘導で、各会場の作品構成について、興味深いお話を聞くことができました。
名古屋市美術館の個性的な建物に対して、桑山氏が空間デザインを考えて、今回の展示空間が構成されたことがわかります。通常の展示とは異なり、2階から展示が始まるのもユニークでしたし、大きな円柱を巧みに生かした展示にも驚かされました。
お話の後、観客が少なくなった時点で、再度 この展示をひとりで静かに味わいました。特に印象的だったのは、2階から1階におり、黒いカーテンをあけたときに目に飛び込んでくる、ゴールドとシルバーの円錐台16個を並べた作品。名古屋市美術館のいつもの空間が全く違ったものに感じられ、不思議な感覚を味わいました。
また、ピンク、イエローの56点のメタリックのパネルを並べた作品では、見る位置によって、さまざまな味わい方ができるので、何度もゆっくり歩いてみて、空間の醸し出す雰囲気を体験しました。
今回の展示で、いままでには見たことのない、二つの作品が気になりました。2階の入り口に展示されていた、作品6と 2階出口の 作品16です。作品の作り方についてはよくわかりませんが、紙テープ(マスキングテープ?)の斜めのラインと顔料?が醸し出す微妙な表面に見入ってしまいました。
また、地階の常設展示室も、以前 県美との共同のワンルームプロジェクトのメタリックのときとは、全く違った雰囲気で、この部屋の空気も 充分に堪能しました。
ともあれ、一度ではなかなか味わいきれない企画展なので、また、改めて鑑賞したいと思っています。
林 葉子(会員)
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