時間とお金を使って美術館に出向かなくとも、絵画や彫刻などを楽しむ方法はいくつかある。街中や公園の屋外彫刻を観るのもそのひとつだ。名古屋の街中にも結構良いものがある。名古屋ボストン美術館に行ったことがない協力会会員はほとんどないだろう。しかし、電車で行けば必ず通る金山駅前広場、そこにエミリオ・グレコの作品があることにお気づきだろうか?エミリオ・グレコ(Emilio Greco:エミーリオ・グレーコの方がイタリア語の発音に近い)は20世紀イタリアを代表する彫刻家のひとり。金山駅前の作品「うずくまる女(Figura Accoccolata)」(1971)もグレコ独特の優美な曲線を持つ素晴らしい作品だが、横を通り過ぎて行く人々は、ほとんど気にする様子もない。
エミリオ・グレコ、1913年イタリア・シチリア島エトナ山麓にあるカターニア(Catania)生まれ、1995年ローマで没。1948年ニューヨーク近代美術館(MOMA)イタリア美術展に出品。1956年ヴェネッツィア・ビエンナーレ彫刻大賞を受賞して、イタリア彫刻界を代表する作家の地位を不動のものにした。まだ行ったことはないが、ローマ北方100 kmほどのオルヴィエートに「エミリオ・グレコ美術館(Museo Emilio Greco)」があり、故郷カターニアにも同名の美術館がある。カターニアはオペラ「ノルマ」などで有名な、作曲家ベッリーニ(1801-1835)の故郷でもある。グレコの作品は、日本にもかなり入って来ていて、「松岡美術館」、「埼玉県立近代美術館」などに彫刻が、「池田20世紀美術館」などに版画が収蔵されている。収蔵作品がたぶん我が国でいちばん多い「松岡美術館」は目黒の「東京都庭園美術館」の近くに移転し、とても観やすくなった。
これまで金山駅前広場のグレコの彫刻に気付かなかった方、こんど通りかかることがあったら、必ずこの「うずくまる女」に目をやってあげて欲しい!
佐久間 洋一
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