コロンビアと聞いて想い浮かぶのは、コカインとゲリラ。明るい面では、コーヒーとエメラルドとノーベル賞作家ガルシア=マルケスとボテロだろう。フェルナンド・ボテロは、1939年コロンビアのメデリンに生まれた、南米を代表する画家・彫刻家だ。「痩せていることが美しい」と云う西欧的な価値観に反発してか、彼の描く人物も動物も静物さえもが全て肥満している。本人はそのような解釈に対し「芸術家は理由など知らずにある形にひきつけられる」と言っているそうだが。
ボテロ美術館はコロンビアの首都ボゴタにある。ボテロ自身の作品と彼が収集した作品が国家に寄贈され、国立銀行が管理運営するこの美術館に飾られている。本人の作品は当然として、彼以外の作品も、モネ、ボナール、ピカソ、バテュルスなど、一画家の収蔵としては驚くべき量と質である。また、このボテロ美術館は、日本の多くの美術館とは異なる特徴がある。(1)入場無料、(2)撮影自由、(3)長開館時間、の3つだ。写真撮影(フラッシュ禁止)が自由なのは、この国やヨーロッパの多くの国やアメリカなどに共通だ。開館時間は、月-土9:00am-7:00pm、日曜10:00am-5:00pm、火曜休館。ボテロのファンは日本にも多く、国内でも1981年以来何回か展覧会が開かれ、作品を収蔵している美術館も数館ある。協力会の2009年秋の旅行で訪れた、広島市現代美術館にも、「小さな鳥」と名付けられた、肥満した鳩らしき鳥の大きなブロンズ彫刻が入口脇屋外に鎮座していた。
ボテロ美術館から少し離れた、元刑務所の国立博物館にも、ボテロの作品が10数点飾られている。ボテロ美術館は棟続きの貨幣博物館と国立銀行美術館と一体になって運営されていていずれも無料。ボテロ美術館から徒歩数分の黄金博物館も必見。ボゴタは、良くなったとは云え治安に不安があり、2,600mの高地にあって空気も薄く悪いが、機会があったら是非行ってみて欲しい美術館だ。
佐久間 洋一
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