卒展、修了展(東京藝大)(その1)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 例年、この時期の楽しみの一つが各芸大の卒業・修了作品展を見ることだ。普段、美術館の展覧会ではお目にかかれない実験的な作品に出会うことができる。今回は、東京藝術大学の卒業・修了作品展を見て、気になったものを数点紹介させていただく。

 今回は、例年にない大寒波に遭遇し、上野公園はいたるところ雪と泥。公園を横切り藝大に着くまでにジーンズは泥だらけ。たどり着いた正門前にも雪の山。とにかく寒かった。

夢見たものは

 「夢見たものは」 今西茉莉子 卒展、修了展(東京藝大)


 「夢見たものは」 今西茉莉子

 金色に光る直径1mくらいのリングの内側に、ビーズや金属のパーツをつなげたものをすだれのようにつりさげた作品。数種類の金属加工技術が使われているとのこと。黒門前に設置され、屋根から落ちてくるしずくと、すだれのような部分が親和し、キレイだった。後光のようなパーツがついていることから、何かしら高貴な存在を示しているのだろうか。

 屋根はあるけど、展示場所は吹きさらしなので立ち会っていた作家の方も寒さで大変そう。なぜ、室内ではなく、黒門前を展示場所に選んだのか。夢見たものは、かなったのか、ちょっと気になるところ。

(その2に続く)

杉山博之

グリーンランド 中谷芙二子+宇吉郎展

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor


 霧の彫刻で有名な中谷芙二子氏の「GreenLand」を見た。以前にもヨコハマトリエンナーレと豊田市美で体験したが、作品に大量の水を使うためどちらも屋外での展示だった。今回はなんと室内、しかもほぼ密閉空間での展示。例えるなら、白川公園の科学館の南側にある噴水を名古屋市美の地下ロビーに引っ越しさせるようなもの。(ちょっとおおげさ)さて、どうなることやら。

 展示室に入ると、モニタの入った白い小屋、黄色のドラム缶、ふたの開いた木箱、大量の石、ハンマー、手袋などが見えた。床には所々に水たまり。それから登山で使うようなヤッケ。(鑑賞者貸出し用)
ベンチ代わりのドラム缶に腰掛け、しばらく待っていると、ザーッという音と同時に霧が出始め、あっという間に室内は五里霧中。一緒にいた観客のあいだにもざわめきが広がった。

霧が大発生

霧が大発生


 上演時間は約8分間。終了後、数分で霧は晴れ、霧の濃さを思えば、意外に小さな水たまりが床に残っていた。都会のきらびやかなビルの中で、雪山遭難のような、とても興味深い体験をした。

 今回の展示のチラシを読み、雪の研究で有名な中谷宇吉郎氏が中谷芙二子氏の父であること、石川県加賀市に「中谷宇吉郎 雪の科学館」があること、その科学館には常設で「Greenland Glacial Moraine Garden」があることを知った。ぜひ出かけてみたいと思う。

杉山博之

展覧会情報
「グリーンランド 中谷芙二子+宇吉郎展」
会期:2018年3月4日まで
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム

DOMANI・明日展 PULS x 日比谷図書館文化館

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor


 「DOMANI・明日展 PULS」を見た。
あるギャラリーで、藤本由紀夫氏が図書館で作品展示をしていると聞き、見に行くことにした。藤本氏といえば、オルゴールやレコードを使った「音」の作品で、有名な作家。2006年には、名古屋市美でも展覧会が開催されているので、ご覧になった方も多いだろう。(「特別展「藤本由紀夫展 -ここ、そして、そこ-」」、2006年9月)

 「音」の作家が、「静けさ」を大切にする図書館でどんな展示をするのだろう?展示の様子が想像できないだけに、普通の展覧会より興味をひかれる。会場の日比谷図書館文化館に着き、もらったガイドシートに従い、閲覧室に入る。南壁面の書架から順に見ていくと、ほとんどの作品は、さりげなく書架に配置されているが、本とはハッキリ区別できる形態をしていて、探すほどのこともないのだが、一点だけ探すのに苦労した。

 ガイドシートにマークのある書架には「展示は最上段です」とヒントの表示があるのだが、本以外のものが見つからない。それでも、書架に並んだ本の背表紙を眺めていると、左から赤→黄→緑→青→紫になってることに気がついた。「・・・。わかった!」最後の作品を見つけたときは、思わず声が出そうになり、他の利用者の迷惑にならないように、そっと閲覧室を抜け出した。(皆さんはわかりますか?)
こういう体験があるから、美術鑑賞は楽しい。

杉山博之

展覧会情報
「DOMANI・明日展 PULS x 日比谷図書館文化館」
会期:2018年2月18日まで
会場:日比谷図書館文化館

「不在の彫刻史」黒田大祐(OPEN SITE 2017-2018)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor


 前回の「あいちトリエンナーレ2016」に関連して、長者町のアートラボで行われた「まちとsynergism」展に出品していた黒田大祐氏の展覧会がトーキョーアーツアンドスペース本郷(以下、TOKAS hongo)で行われていた。会期は終了したが、「まちとsynergism 2018」(長者町)で、新作の発表予定もあることから紹介させていただくことにした。

 会場のTOKAS hongoは、水道橋から東に、ゆるやかな坂を上り10分ほど。本通りから一本奥まったところに控えめな案内が出ていた。

 展示されていた作品は、多数のシーリングファンをつなげた屋台のような構造物と、山道を登る様子を写した映像と、数点の石などで構成されたインスタレーション。部屋の所々に直径20cmくらいのレンズがぶら下がっていて、レンズ越しに作品を覗き込むと、作品がぐっと遠くに見える。シーリングファンや映像の組み合わせなどに、長者町の展示との類似性が感じられる。

 長者町での展示でも感じたことだが、作品を見たときの印象と作品のタイトルが、直感的に結びつかず、今回も作品の周囲をウロウロしたり、作家の話を聞いてみるが、・・・。ごく個人的な思いつきだが、せっかくファンを回すのだからもっと広い空間に作品を置き、風を感じられる状態で鑑賞すると作品の印象も変わってくるのではなかろうか。「不在の彫刻史」は、別の展開も考えているそうなので、次回も楽しみにしたい。

杉山博之

「まちとsynergism 2018」
会期:2018年2月2日(金)、3日(土)、
   9日(金)、10日(土)13:00〜19:00
会場:名古屋市中区錦二丁目7-20 旧玉屋ビル5階

「回生の苗床」 光内惟奈 燃やせないもの 夢見たものは 展示室で解説を受ける会員たち プティパレ まずはエントランスホールでの解説 2017_ジャコメッティ_1 富山県立美術館にて BankART_大霊廟Ⅱ プライウッド新地 ヨコトリ_パオラ・ピヴィ_まだ誰も来ない