「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(豊田市美術館)を見て

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 豊田市美術館で「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(以下、あいトリ2019)が開催されています。あいトリ2019の会場は、豊田市美術館の 他、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市駅周辺となっています。

 週末に各会場を見て回りましたが、個人的には豊田会場の仕上がりが1番良いように感じました。もちろん、作品点数では愛知芸術文化セン ターが1番ですが、展示されている各作品のまとまり感で、豊田会場が良いと思いました。(もちろん、多々異論があるのは承知)

 豊田会場で気になった作品を、数点紹介します。

小田原のどか 《↓(1946-1948)》  

赤くて大きな矢羽根の形のネオンサインが、地面に突き刺さっているかのようです。毒々しい赤が部屋の中を照らし出し、何やら異様な雰囲気です。隣の部屋に、矢羽根の正体についての説明があり、読んでとても驚きました。(ネタバレ回避のため、説明は省略)  

8月9日に、作家の講演会があるそうです。講演を聞くと、作品の印象が大きく変わりそうな予感がします。

高嶺格 《反歌:見上げたる 空を悲しもその色に 染まり果てにき 我ならぬまで》  

プールの底を切り出し、そのまま立てたような作品です。あまりの大きさと、その力技に驚かされます。手前側から持ち上げたのか、向こう側か ら引き上げたのか、見ていると、不思議と笑いがこみあげてきます。

プールの底の水色の塗装と空の水色が重なり、雨雲を呼び込むような雰囲気で す。これまでのトリエンナーレで見た作品の中で、ここまで愉快な作品はちょっと記憶にありません。

スタジオ・ ドリフト 《Shylight》

 上下する白い布が柔らかく開いたり閉じたりする動きと、点滅するライトの同調したリズムがとても心地良い展示空間です。作品の動きは、植物 の就眠運動を詳しく分析することで設計されているそうです。

展示室の端から見上げる人や、上の階の通路から見下ろす人もいましたが、お奨めは、ひんやりとした床に寝ころび、天井を見上げるように鑑賞す ることです。普段の展覧会なら、係の人に注意されそうですが、今回は大丈夫でした。(実験済み)  

 豊田市駅周辺の作品は入場無料です。 また、豊田市美術館ではクリムト展も併催しています。 夏休み中は混雑しそうなので、車の場合は要注意です。

杉山 博之

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