「キスリング エコール・ド・パリの煌き」

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岡崎市美術博物館で開催中の「キスリング エコール・ド・パリの煌き=フランス語の展覧会名は ”Grande figure de l’Ecole de Paris” 」(以下「本展」) に行ってきました。名鉄・東岡崎からバスで約25分。終点の一つ前のバス停で降車、美術館の玄関を入り、エスカレーターで可成り下ったところに展示室がありました。

◆キスリングの位置づけは 本展は「キスリング、エコール・ド・パリの主役」「アメリカ亡命時代」「フランスへの帰還と南仏時代」の三部構成。といっても、出品作の大半は「キスリング、エコール・ド・パリの主役」です。なお「主役」は “figure majeure” 、展覧会名は ”Grande figure” ですから、キスリングはエコール・ド・パリの「主役」「大人物」という位置づけなのです。

◆キスリングはオーストリア=ハンガリー二重帝国生まれ 展示室のパネルによると、キスリングは1891年、ポーランドのクラクフ生まれ。当時のクラクフはオーストリア=ハンガリー二重帝国の領土でしたから「キスリングはグスタフ・クリムトと同じ国の生まれ」ということになります。

◆キスリング夫人の写真・絵画 出品作の大半は女性の肖像画ですが、花などの静物画や風景画もあります。面白かったのは《女の肖像》です。名古屋市美術館所蔵の《ルネ・キスリング夫人の肖像》と、ほぼ同じポーズでした。ただ、残念ながら《ルネ・キスリング夫人の肖像》は本展に出品されていません……。ルネといえば入り口近くに《サン=トロぺでの昼寝(キスリングとルネ)》が展示され、隣にはキスリングとルネが一緒に写っている写真もありました。

◆アンリ・ルソーの影響も NHK日曜美術館のアートシーン(2019.6.23放送)で紹介された《ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル》は大型の作品で、隣にはキスリングがモデルを抱きしめている写真もありました。「背景の植物はアンリ・ルソーを思わせる」という趣旨の解説があり、キスリングはルソーの影響を受けていることを知りました。

◆「キキのコーナー」も モンパルナスのキキといえば、藤田嗣治《寝室の裸婦キキ(ジュイ布のある裸婦)》のモデルですが、キスリングもキキを好んだようです。本展には「キキのコーナー」が設けられ、《モンパルナスのキキ》《長椅子の女》に加え「特別出品」としてマン・レイが撮影した写真《ヴェールをかぶったキキ》(岡崎市美術博物館所蔵)が展示されていました。3点の中では《長椅子の女》が、目力が強くて印象的でした。

◆藤田嗣治との交流 「モンパルナスのプリンス」と呼ばれ、エコール・ド・パリの画家たちの中心にいたキスリングは「パリの寵児」と呼ばれた藤田嗣治とも交流があり、本展では二人が写った写真や二人のエピソードが紹介されています。

◆最後に  バスの本数が少ないのが難点ですが、エコール・ド・パリの愛好家にはお勧めの展覧会です。(駐車場は広いです)フォーヴィスム風の作品やキュビスム風の作品もあるほか、ティツィアーノ《ウルビーノのヴィーナス》を思わせる作品もあります。  Ron.

「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(名古屋市美術館)を見て

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 名古屋市美術館で「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(以下、あいトリ2019)が開催されています。あいトリ2019の会場は、名古屋市美術 館の他、愛知芸術文化センター、豊田市美術館、四間道・円頓寺、豊田市駅周辺となっています。

 「あいとり2019」は、国内の国際芸術展として初めて参加作家の男女平等を実現したことで、春先から話題になっていました。名古屋市美術館会場で は、碓井ゆい、今津景、藤井光、モニカ・メイヤー、桝本佳子、パスカレハンドロ、青木美紅、タニア・ペレス・コルドヴァ、Sholim、カタリー ナ・ズィディエーラー、ドラ・ガルシア、バルテレミ・トグォの作品を見ることができます。 作家の名前からも、女性が多いことがうかがえると思います。作品点数は多くありませんが、全体的に落ち着いた雰囲気の展示になっています。

会場で気になった作品を2点、紹介します。

モニカ・メイヤー 《The Clothesline》  

これは、観客参加型の作品です。人の背丈よりやや小ぶりなピンクの枠に張られた白いロープに、葉書よりやや小さく、色合いの異なるピンクの カードが多数ぶら下がっています。傍らの机の上には、ハラスメントに関する質問が印刷されたカードが置かれています。このカードに回答を記入 した観客は、自分でロープにクリップでぶら下げるか、机の上のポストに投函します。投函されたカードは、後日、スタッフがロープにぶら下げる そうです。  

ちなみに、質問の種類は4つ。ロープは、まだ半分くらいしか埋まっていませんが、日増しにカードが増え、ついにはロープからあふれることで しょう。ぜひ、あなたも参加してください。

カタリーナ・ズィディエーラー 《Shoum》

 モニター画面には、ペンを持った大きな手がアルファベットを書いている様子が映し出されています。BGMは、かなり昔に流行ったイギリスの曲 のようです。どうやら、曲の歌詞を書き起しているようですが、単語のつづりが怪しそうです。  

もし、日本人の自分が同じ状況になれば、カタカナで書き留めるでしょうが、そのメモを見て、原曲がわかる人がどれだけいるか、はなはだ怪し いものです。 歌う方は言葉を伝えようとするけれど、聞き取る方はそれを理解できないというディスコミュニケーションを表現する作品ですが、身の回りの出来 事を思い返すと、とても印象的な作品でした。

おまけ(その1)

愛知県内で予定されている「あいトリ2019」参加作家の個展、グループ展をお知らせします。トリエンナーレとは、違った雰囲気の作品を見ることができるかもしれません。

青木美紅「アサイラムの燈台」山下ビル 8/2-8/18

澤田華「車窓のそとはすでに過去」波止場 8/4-9/15

碓井ゆい「パノラマ庭園」MAT,Nagoya 9/7-11/10

藤原葵 タイトル不明 ギャラリーN 9/14-9/29

おまけ(その2)

あいちトリエンナーレのオリジナルグッズがミュージアムショップを賑やかにしています。 手ごろな文房具など、お土産にいかが。

杉山 博之

「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(豊田市美術館)を見て

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 豊田市美術館で「あいちトリエンナーレ2019 情の時代」(以下、あいトリ2019)が開催されています。あいトリ2019の会場は、豊田市美術館の 他、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市駅周辺となっています。

 週末に各会場を見て回りましたが、個人的には豊田会場の仕上がりが1番良いように感じました。もちろん、作品点数では愛知芸術文化セン ターが1番ですが、展示されている各作品のまとまり感で、豊田会場が良いと思いました。(もちろん、多々異論があるのは承知)

 豊田会場で気になった作品を、数点紹介します。

小田原のどか 《↓(1946-1948)》  

赤くて大きな矢羽根の形のネオンサインが、地面に突き刺さっているかのようです。毒々しい赤が部屋の中を照らし出し、何やら異様な雰囲気です。隣の部屋に、矢羽根の正体についての説明があり、読んでとても驚きました。(ネタバレ回避のため、説明は省略)  

8月9日に、作家の講演会があるそうです。講演を聞くと、作品の印象が大きく変わりそうな予感がします。

高嶺格 《反歌:見上げたる 空を悲しもその色に 染まり果てにき 我ならぬまで》  

プールの底を切り出し、そのまま立てたような作品です。あまりの大きさと、その力技に驚かされます。手前側から持ち上げたのか、向こう側か ら引き上げたのか、見ていると、不思議と笑いがこみあげてきます。

プールの底の水色の塗装と空の水色が重なり、雨雲を呼び込むような雰囲気で す。これまでのトリエンナーレで見た作品の中で、ここまで愉快な作品はちょっと記憶にありません。

スタジオ・ ドリフト 《Shylight》

 上下する白い布が柔らかく開いたり閉じたりする動きと、点滅するライトの同調したリズムがとても心地良い展示空間です。作品の動きは、植物 の就眠運動を詳しく分析することで設計されているそうです。

展示室の端から見上げる人や、上の階の通路から見下ろす人もいましたが、お奨めは、ひんやりとした床に寝ころび、天井を見上げるように鑑賞す ることです。普段の展覧会なら、係の人に注意されそうですが、今回は大丈夫でした。(実験済み)  

 豊田市駅周辺の作品は入場無料です。 また、豊田市美術館ではクリムト展も併催しています。 夏休み中は混雑しそうなので、車の場合は要注意です。

杉山 博之

2019年協力会イベント情報

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以下の催しの申込みを受付中です。

1. アイチトリエンナーレ豊田市美術館会場ギャラリートーク 8月25日 日曜日

2. アイチトリエンナーレ合同鑑賞会(愛知県美、名古屋市美) 8月27日 火曜日

会員の皆様は、ファックスか、お電話でお申込ください。
なお、ホームページからもお申込可能です。
(右側の”Gトーク”申込ボタンから)