百舌鳥・古市(もずふるいち)古墳群のこと

カテゴリ:アート・ホット情報 投稿者:editor

 2019年7月6日に、仁徳天皇陵古墳(大山古墳・堺市)を含む49基の古墳で構成される、大阪府の百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産に登録されました。協力会・秋のツアー(2015.10.31~11.1)に参加した時、堺市役所に百舌鳥・古市古墳群の世界遺産指定を目指すキャンペーンが掲示されていたのを思い出し、他人事とは思えない気持ちで新聞記事を読みました。当時のメモと昨日・今日の新聞記事を照らし合わせながら、百舌鳥・古市古墳群について少し書いてみます。

 秋のツアーでは11月1日(日)午前に堺市の大仙(だいせん)公園内にある堺市博物館、仁徳天皇陵と堺市役所21階展望フロアを見て回り、仁徳天皇陵の見学からはNPO法人堺観光コンベンション協会のガイドボランティア・川上浩さん(以下「川上さん」)が案内してくれました。後で知ったことですが、川上さんはNPO法人堺観光コンベンション協会の理事長。知識豊富で、熱心にガイドしてくれた理由がよく分かりました。

  川上さんの話では、昭和30年(1955年)、私有地であった堺市の「いたすけ古墳」が住宅開発のために古墳がつぶされそうになったが、堺市は資金難で買い取りが難しかったため、市民のナショナルトラスト運動によって保存された。そして、その時に出土した衝角付冑型埴輪(しょうかくつきかぶとがたはにわ:堺市博物館所蔵)が、現在、堺市の文化財保護のシンボルマークになっている、とのことでした。2019.7.7付け日本経済新聞(朝刊)の社会面、竹内義治編集委員の署名記事も「いたすけ古墳」の話を取り上げています。

(略)世界遺産に登録された古墳の一つ、堺市のいたすけ古墳の周濠(しゅうごう)にコンクリート橋が朽ちた姿をさらしている。1955年、土砂採取のため墳丘を壊そうと架けられた。市民や研究者が反対の声を上げたことで開発計画は中止され、国史跡となって保存された。橋は市民による文化財保存運動の証人とされている。(略)

 川上さんは「仁徳天皇陵の南の履中(りちゅう)天皇陵(仁徳天皇の長男の墓)の方が古い形式の墳墓であるため、どちらが仁徳天皇陵か争いがある」とも話していました。このことについて上記の記事は、次のように書いています。

(略)心配もある。構成資産名として「仁徳天皇陵古墳」など宮内庁による陵墓名だけを表記している点だ。学術的には被葬者が未確定である実情が誤解されかねない。「大山古墳」など学術的な遺跡名を併せて紹介し、丁寧に説明する必要がある。(略)

 また、ツアー当日は観光客をはるかに上回る人数の清掃ボランティア「仁徳陵守り隊」が活動していたのが印象的でした。上記の記事は、この清掃活動について「2018年度、百舌鳥・古市古墳群の陵墓を所管する古市監区では延べ約1400人が清掃など勤労奉仕活動に参加した」と、書いています。

 なお、仁徳天皇陵の遥拝所からみると「巨大な墳墓」であることは実感できますが、全体の姿は分かりません。ツアーでは堺市役所21階展望フロア(高さ約80メートル)まで移動して、仁徳天皇陵を見学しました。しかし、川上さんからは「残念ですが、300メートル以上の上空でないと仁徳天皇陵の全貌を見ることはできません」との言葉。これについて2019.7.8付け日本経済新聞(朝刊)に、こんな記事があります。

(略)堺市博物館(同市堺区)を運営する堺観光コンベンション協会の担当者は「古墳の巨大さをVRで体感してもらいたい」と話す。2017年から、ドローンで天皇陵などを上空から撮影した映像をVRで楽しめるようにしている。(略)7月下旬にもVR映像視聴のためのゴーグル型機器を2倍の約40台に増やす。(略)上空から古墳群を楽しめるツアーを計画する旅行会社も登場した。阪急交通社(大阪市)はヘリコプターを利用し、堺市の古墳群の上空を周遊するツアーを検討中で、7月下旬にも発売する予定という。

VRゴーグルについては2019.7.8付け中日新聞(朝刊)も紹介しています。また、上記2019.7.8付け日本経済新聞は「登録決定から一夜明けた7日、古墳群を代表する仁徳天皇陵古墳は早くも観光客でにぎわった」とも書いています。「ゆったり見学できる時期のツアーに参加することができて良かった」と思いました。

Ron.

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