展覧会見てある記 「辰野登恵子 オン・ペーパーズ」

カテゴリ:Ron.,アート見てある記 投稿者:editor

現在、名古屋市美術館(以下「市美」)で「辰野登恵子 ON RARERS:A Retrospective 1969-2012」(以下「本展」)を3月31日までの会期で開催しています。英語の副題のとおり、画家・辰野登恵子(1950~2014)の40年余の道筋をたどる回顧展です。
辰野登恵子は本展のチラシや新聞・雑誌の記事で初めて知った作家ですが、「豊麗な色彩と力強い形態の抽象表現で、現代絵画のトップランナーとして活躍した作家である」と、日本経済新聞(以下「日経新聞」)の展覧会評(2018.11.28)が誉めていたので、本展が市美に巡回するのを心待ちにしていました。
先日、本展を見てきましたので展覧会の構成、感じたことなどを書いてみます。

◆日経新聞の誉め言葉はウソじゃなかった
本展の内容は期待以上のものでした。展覧会は年代順に「Ⅰ」から「Ⅷ」までの8章で構成され、入口のある2階にⅠからⅣを、1階にⅤ・Ⅵ・Ⅷを、地下1階にⅦを展示しています。章が変わるたびに作風が変化し、日経新聞の「豊麗な色彩と力強い形態の抽象表現」という言葉どおりのⅥ以降も、さらに作風の変化が続いていることに驚きました。今後も作風の変化を見せてくれると思われるだけに、作家が64歳で急逝したことは返す返す惜しまれます。
作風の変化を文章で表現しようと思ったのですが、残念ながら力不足で書けません。本展にお越しいただき、展示室でご覧くださるようお願いいたします。

◆展示室の壁に作家の文章・言葉(解説は出品リストに)
 本展では展示室に解説がなく、そのかわりに作家の文章・言葉が書かれており、作家と対話しながら鑑賞しているような気持ちになります。
なかでも、Ⅰの“筆で描く時の「もたもた感」がすごくいやだった。とにかく版画という手段、特に写真製版というのは、全面的というわけじゃないけど、ある程度はその手垢のようなものを消すことができるから”という文章が印象的でした。「“「もたもた感」がすごくいやだった”ってどういうこと?写真製版に求めたのはサクサク感?スマートな表現?」などと、あれこれ考えながら作品を見ていきました。
 なお、本展の解説は出品リストに書いてあります。各章ごとに解説が付いた8ページもある立派なもので、鑑賞の手助けをしてくれます。

◆最後に
 「辰野登恵子 オン・ペーパーズ」の協力会会員向けギャラリートークが、3月3日(日)午後5時から開催されます。講師は名古屋市美術館の清家学芸員で、市美2階講堂に集合という案内が届きました。
ご覧のブログサイトから申し込みできます。参加しませんか。
         Ron.

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