名古屋ボストン美術館「ハピネス展」ミニツアー

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名古屋市美術館協力会主催のミニツアーで、名古屋ボストン美術館で開催中の「ハピネス展」(以下「本展」)に行ってきました。参加者は33名、多かったですね。午前9時45分に1階壁画前に集合。午前10時の開館を待って5階・レクチャールームに移動し、吉田俊英特別顧問の解説を聴講した後は自由観覧となりました。
以下は、解説等の要約筆記です。(「注」は、私の補記)

◆吉田俊英特別顧問の解説要旨
◎自己紹介
名古屋市美術館開館の数年前から開設準備に従事しました。最初、職員は私一人でした。名古屋市美術館開館後も引き続き美術館に勤め、2000年に奈良県立美術館へ異動、2011年には豊田市美術館へ異動し(注:2015年3月まで館長)、現在は名古屋ボストン美術館特別顧問として閉館に向けた様々な仕事をしています。

◎本展のテーマ
本展のテーマは「ハピネス~明日の幸せを求めて」です。「ハピネス=”Happiness”」だけだと「幸せのかたち」がテーマですが、「幸せのかたち」は人さまざまです。
「幸せのかたち」ではなく「幸せを求める姿勢」なら皆に共通のテーマになるので「ハピネス~明日の幸せを求めて=”In Pursuit of Happiness”」というテーマにしました。

◎本展の概要
本展は名古屋ボストン美術館の最終展ということから、米国のボストン美術館からの出品75点に加え、名古屋市博物館から5点、名古屋美術館から1点(馬場駿吉氏寄託)、馬場俊吉氏個人蔵4点の特別出品があります。(注:馬場俊吉氏は名古屋ボストン美術館・館長)
4階展示室入口に記念の絵ハガキ(注:絵はジム・ダイン《ダイナマイト》)を置いていますので、ご希望のかたは一人1枚お持ち帰り下さい。
以下、各章ごとに主な作品などを解説します。

◎第1章 愛から生まれる幸せ~日常の情景から~
 第1では家族や恋人、友人の親しい関係を描いた作品を展示しています。
最初の展示はピラミッドから発掘されたエジプトの役人(執事)とその妻の仲睦まじい石像。王族の肖像ではありません。ボストン美術館はハーバード大学のエジプト発掘に協力したので、このような収蔵品があります。
次に、若い男女の口づけを描いた酒杯の裏にはキューピッドが描かれています。
ミレー《縫物のお稽古》は、彼の最晩年・1874年の作品で未完成と思われます。カサット《授乳》は歌麿《母と子》と並べて展示。浮世絵の影響が見られます。
スコット・ブライア《ナニーとローズ》は画家の夫人とペットを描いたスーパーリアリズムの作品で、本展入場者の関心を惹いています。(注:女性の姿が浮き出て見えます。「なぜ立体的に見えるのだろう」と不思議に思い、目が釘付けになりました)

◎第2章 日本美術に見る幸せ
第2章では自然との共生を表現した日本美術の作品を展示しています。
《江戸四季風俗絵巻》は江戸の四季を描いた絵巻です。通常は絵巻の一部を広げての展示ですが、本展では全部を広げて展示しているので見終わるまでに時間がかかり、絵巻を見る人の行列が出来ています。(注:吉田さんが解説されたとおり行列の人数があまりに多いので、最後尾について順番を待つことは断念しました)
鳥文斎栄之《美人舟遊び》は三枚続きの錦絵。隅田川の向こうに三囲神社(みめぐりじんじゃ)の鳥居が見えます。(注:展示室の解説には「鎌倉の鶴岡八幡宮で、源頼朝を前にして舞う静御前を見立てたもの」と書いてありました)
曾我蕭白《琴棋書画図》(きんきしょがず)は中国の知識人が嗜むべき四つの芸事(琴=音楽、棋=囲碁、書=書道、画=絵画)を描いたもの。ボストン美術館が収集した時は六曲一双の屏風でした。修復にあたり調査したところ、取手の痕跡があるなど、襖絵を屏風に仕立てことがはっきりしたため襖絵に戻しました。修復後、世界初の展示が本展です。なお、この作品には「棋」を描いた部分が収集時から欠けていました。
曾我蕭白の保有点数が世界一多い美術館は、ボストン美術館です。

◎第3章 ことほぎの美術
第3章では幸せを祈る「ラッキー・グッズ」を展示しています。
葛飾北斎《寿字と唐子》は98歳の花井白叟が「壽」の字を書いた上に86歳の北斎が唐子を描いたもので、二人の合作です。
《浅黄繻子地宝船模様掛袱紗》は江戸時代の掛袱紗。掛袱紗は持って行く品物の上に掛けて使ったもので、おめでたい図柄を刺繍しています。《紅綸子地松鶴波亀模様打掛》は結婚式の衣装で、展示室には赤、黒、白の打掛を展示しています。ただし、白の打掛は産着に仕立て直したものです。(注:掛袱紗も打掛も金糸をたっぷり使って刺繍した豪華なものです。幕末・明治の動乱期だったから、このような「お宝」でも売りに出されたのでしょうか)
ヴァージニア・ローデン《水壺》はアメリカ・インディアンの伝統的図柄の土器です。

◎第4章 アメリカ美術に見る幸せ
Ⅰ 幸せを彩った芸術~アメリカン・フォークアートの世界~
第4章は2部構成です。第1部ではアカデミックな芸術が入る前の民衆に密着した芸術を展示しています。
サルヴァトーレ・チェルニリアーロ《メリーゴーラウンドの豚》はメリーゴーラウンドの座席として使われていたもので、豚は幸せの象徴です。
ジョン・F・フランシス《3人の子ども》に描かれた子どもは、ごつい感じがします。

Ⅱ 東西の出会い~心の平安を求めて~
第2部ではボストニアンが収集した東洋美術と収集家が描いた東洋風の作品を展示しています。
西山芳園《白衣観音図》はフェノロサが収集したものです。《山間望月》は収集家のフランシス・ガードナー・カーティスが描いた水墨画で、ジョン・ラファージ《ヒルサイド・スタディ(二本の木)》は歌川広重の影響を受けた油絵です。
《踊るシヴァ像》はアーナンダ・クマロスワミが収集したものです。3階ロビーにシヴァ神の変身セットが置いてあるので、帰りにシヴァ神のポーズで写真撮影することができます。皆さん、いかがですか。
ボストン美術館には、かつて「テンプル・ルーム」という寺院風の展示空間がありました。仏像も、お寺ではローソクの明かりで見ていたということを踏まえ、暗い照明で展示しています。

◎第5章 アートの世界に包まれて~現代における幸せの表現~
第5章では現代美術を展示しています。
ピーター・コフィン《無題》は、作家が子どもの頃に見た広告版をイメージした作品です。彼が見た広告版はカラフルな板を並べた上に、活字で案内を描いたもの。出品作品は、その広告版から文字を取り去ったものです。
第5章にはハートをかたどった、ジム・ダインのポップアートを多数展示しています。ジム・ダインの「ハート」にちなんで、ハート形の紙に名古屋ボストン美術館に対するコメントを書いて通路の壁などに貼るというキャンペーンをしています。9月15日現在で2400枚の「ハート」が集まりました。よろしければ、皆さんもハート形の紙に名古屋ボストン美術館に対するコメントを書いて通路の壁などに貼ってください。

◆自由観覧
吉田さんの解説は午前11時に終了し、各自、自由観覧となりました。
 展示室の入口を覗くと、部屋いっぱいの人が見えます。三連休の中日ですから人が多くて当然ですが、少し心配になりました。と言っても、なんとか作品の鑑賞ができたので安心しました。正午近くになると、昼食のためか人数が少し減り、ゆったりと鑑賞することができるようになりました。
 本展は名古屋ボストン美術館の最終展。「10月8日には閉館を迎えるのか」と、淋しい思いを抱いて美術館を後にしました。
                            Ron.

石切り場(丸山富之)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 「モネ それからの100年」展の会期中、松本陽子氏を囲んでお話を聞く会(以下、囲む会)が催された。囲む会は名古屋市美術館協力会の会員向けの催しで、会食しながら、出展作家の方からあれこれとお話を聞くことができ、とても好評だ。
 松本陽子氏の囲む会には、hino galleryのスタッフも参加していて、ギャラリーの夏以降の展示予定や最寄駅からの行き方を聞く機会があった。そんな経緯があって、今回、ギャラリーを訪問してみた。

石切り場 前室にて

石切り場 前室にて


 石切り場(丸山富之、hino gallery)を見た。彫刻だった。前室には石材の重量感と表面のザラザラ感が強く意識される作品が置かれていた。後室には上部に突起の付いた、大きな文鎮のような作品が並んでいた。突起の中は深くえぐられ、のぞきこむと石材の裏側(内側)までつながっているようだ。
石切り場 後室にて

石切り場 後室にて


 スタッフと話をしているうちに、えぐられた突起が石に開けられた口に見えてきた。見てのとおり、作品の形態には生物を連想させる要素はないが、スポーツ中継で見る水泳の息継ぎを連想した。
 隣にいるスタッフは、石の産地や制作のこだわり、重量のある作品ならではの展示の苦労話を優しく教えてくれるのだが、水面に浮きあがり、勢いよく突起から空気を吸い込むイメージが作品に重なる。

 お昼近くになり、冷房のおかげで汗も引き、ギャラリーを退去した。駅に向かいながら、ぼんやりと息継ぎする彫刻のイメージが暗示するものについて考えた。答えは意外と身近にありそうだ。

展覧会は9月29日まで。

http://www.hinogallery.com/2018/1901/

杉山 博之

東京アラカルト

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 展覧会名に興味を惹かれて「東京アラカルト」展を見てきた。出品作家すべてが初見ということで、予備情報なし、わくわくしながら会場へ。お昼過ぎだったので、途中のスーパーマーケットの総菜コーナーをのぞいてみると、おいしそうなお弁当が20%引。時間をずらすとお買い得なんだなー。

 会場のリーフレットによれば、この展覧会はバッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティブトウキョウによリ開催されたレジデンスプログラムの集大成。ちょうど、ギャラリートークが始まるようなので、聞いてみることにした。

 10名くらいで始まったトークは内容盛りだくさん。なんといっても20名の作家による100点近い作品のほぼすべてに解説をしてくれる。テーマごとの展示を優先したようで、同一の作家でも異なるフロアーに展示されている場合があり、作家ごとの作風の広がりがつかみにくい。
 印象的だったのは、カラフルなくぎを大量に打ちつけた作品、灰色のコイルで編んだ大きな靴下のような作品、真っ赤な背景に様々な生物を描いた作品など。

 トークの最後で、今後の活動について、レジデンスプログラムは終了し、別の形で活動を継続すると締めくくられた。本当に熱心で、盛りだくさんのトークだった。

おまけ
 協力会のT氏に教えてもらったお得なランチに行って見た。トレシャスビルの11階。見た目もきれいで美味だった。

杉山 博之

おまけ1

おまけ1


おまけ2

おまけ2

音のアーキテクチャ展

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor
音のアーキテクチャ トンネルでピクニック

音のアーキテクチャ トンネルでピクニック


 「音のアーキテクチャ展」を体験してきた。
あいちトリエンナーレのボランティアで知り合った人たちと最近の展覧会について話していたら、ミケランジェロ展(国立西洋美術館)、ルーブル展(国立新美術館)、ゴードン・マッタ=クラーク展(東京国立近代美術館)に混じって話題に出たので気になっていた。

 開館直後に入館したが、海外からの観客で混み合っている。(チケット売り場で聞いた話では、時々、不思議なファッションのお客様もいらっしゃるとか。不思議なって、どんな?)

 建物に入ると地下の会場の方から軽快な音楽が聞こえてくる。音と映像の展示なので、館内はほぼ真っ暗。スタッフの誘導とライトの案内でメインギャラリーに入る。目が慣れると、階段状のベンチと床にも大勢の人影が。
 直後、メインスクリーン(正面の壁面と床面)に映像が映し出されたのだが、まるで、キラキラのダンスパレードの真ん中にパラシュート降下したみたい。高速で展開する音と光のトンネルを走り続けるような映像が続き、すぐに頭がグラグラしてくる。 
 
 のんびり鑑賞するには不向きだが、確かに印象的な展示だった。ジェットコースターが苦手でない方はぜひどうぞ。

杉山 博之

音のアーキテクチャ 音と光の土砂降り

音のアーキテクチャ 音と光の土砂降り

2018年10月14日まで
ミッドタウン・ガーデン
21_21デザインサイト

2018ArtLabTokyoここにもアートラボ 石切り場 前室にて 音のアーキテクチャ トンネルでピクニック 佐川美術館 ギャラリートークの様子 展示会場で話をきく会員たち 泉屋博古館にて まずは講堂でレクチャを聴く会員たち 会長の乾杯の音頭に合わせて、いただきます! 「回生の苗床」 光内惟奈 燃やせないもの 夢見たものは 展示室で解説を受ける会員たち