夏のおススメお出かけ先

カテゴリ:アート・ホット情報 投稿者:editor

この夏「北アルプス国際芸術祭」というのが信濃大町で6月4日から7月30日まで開かれています。

 長野県の北西部、松本平の北に位置する大町市は、3,000m級の山々が連なる北アルプス山脈の麓に位置し、清冽な雪解け水と澄んだ空気、四季折々の景観に恵まれ、古くは「塩の道」千国街道(ちくにかいどう)の宿場町として栄えました。
 人口は約28,000人、北の五竜岳から南の槍ヶ岳頂上までを収める市の面積は565㎢、市街地の標高は700m余りの典型的な内陸性の気候で、現在でも北アルプスの山々を映す仁科三湖や、豊富な温泉など自然にも恵まれたこの地域は、北アルプス登山の拠点として、また立山黒部アルペンルートの長野県側の玄関口として、多くの観光客で賑わっています。しかし、近年では 日本創成会議が発表した消滅可能性都市に上がるほど、過疎高齢化も深刻化しています。
 「北アルプス国際芸術祭2017 ~信濃大町 食とアートの廻廊~」は、総合ディレクターに北川フラム氏を迎え、土地固有の生活文化を表現する「食」と、地域の魅力を再発見する「アート」の力によって、大町市に内在するさまざまな価値を掘り起こし、北アルプス山麓の地域資源を世界に発信することで地域再生のきっかけとなることを目指しています。

詳細はhttp://shinano-omachi.jp/へ

その他、横浜では横浜トリエンナーレ(ヨコハマトリエンナーレ‐2017‐島と星座とガラパゴス)が開催されています。期間は8月4日~11月5日。

横浜トリエンナーレは、3年に1度開催される現代アートの国際展です。
タイトルの[島][星座][ガラパゴス]は、接続や孤立、想像力や創造力、独自性や多様性などを表すキーワードです。
いま、世界はグローバル化が急速に進む一方で、紛争や難民・移民の問題、英国のEU離脱、ポピュリズムの台頭などで大きく揺れています。
ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」では、「接続」と「孤立」をテーマに、相反する価値観が複雑に絡み合う世界の状況について考えます。
本トリエンナーレでは、アーティストを厳選し、その多くが複数作品を展示することで、小さな個展群が緩やかにつながり、星座あるいは多島海を形作るように展覧会を構成します。また、幅広い分野の専門家が参加する公開対話シリーズ「ヨコハマラウンド」を通して討論を重ねます。視覚と対話の両面から深くテーマを掘り下げ、「議論」や「共有・共生」の機会となることを目指します。
先行きの見えない複雑な時代に、人間の勇気と想像力や創造力がどのような可能性を拓くことができるのか。 多くの人々とともに考え、開国、開港の地・横浜から新たな視点を発信します。

名古屋ボストン美術館 パリジェンヌ展

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

名古屋ボストン美術館で開催中の「パリジェンヌ展」(以下「本展」といいます。)ミニツアーに参加しました。参加者は27名。1階の壁画前で待ち合わせ、美術館5階のレクチャールームで名古屋ボストン美術館の柳沢学芸員から解説を聴いた後は自由行動でした。
◆本展の特色、構成
 柳沢学芸員によれば、本展のキャッチコピーは「憧れるのはなぜ」。英語表記では“La Parisienne : Portraying Women in the Capitalof Culture,1715 – 1965”と、年代が入っている。1715年は太陽王ルイ14世が死去し、文化の中心地がベルサイユからパリに移った年で、ロココの時代から20世紀までを年代別にたどった展覧会。
 本展の構成は、第1章がフランス革命まで、第2章は概ね王政復古の時代、第3章と第4章は時代が重なり、ナポレオン3世による第二帝政の時代、第5章は19世紀後半から狂騒の1920年代を経て、第2次世界大戦後の時代まで、とのことでした。
◆第1章 パリという舞台―邸宅と劇場にみる18世紀のエレガンス
 この章の見どころは、《ドレス(3つのパーツからなる》(1770年頃)ですね。左右に広がった「かご型パニエ」をスカートの下に着用するフランス宮廷の正装、ローブ・ア・ラ・フランセーズ。刺繍や花びら状のレースが豪華です。背にはプリーツが畳まれ、ゆったりと広がっています。「ファッション誌のルーツ」と柳沢学芸員から説明のあった《ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ》に描かれた流行の衣服も同じスタイルです。また、《ギャルリー・デ・モード……》の他の号に描かれた巨大なヘアスタイルには、びっくり。フリゲート艦をあしらったものや羽飾りのついたものなど、今から見ると滑稽ですね。
次に目を惹くのは、《ティーセット(箱付)》(1728-29年)です。内容は、日本製磁器の砂糖壺とカップ・ソーサーに銀のティーポットとキャニスター(防湿用の蓋付き容器)などですが、なんと金襴手のカップは取って手のない「湯呑」でした。説明書きによれば「フランスではコーヒーよりもお茶の方が早く普及」とのこと。
◆第2章 日々の生活―家庭と仕事、女性の役割
 この章は、「女性の生き方」が主題。柳沢学芸員の解説によれば、ルソーが提唱した「母親が子どもの世話をするのは良いこと」という思想が広まり、良妻賢母を主題にした絵画が描かれたとのことでした。その一方で、子育てや家事をないがしろにする女性を揶揄した、ドーミエ《青踏派》(1844年)やブルジョア相手の娼婦を描いた、ポール・ガヴァルニ《ロレットたち》(1841年、1842年)なども展示されています。
ファッションとしてはボワイー《アイロンをかける若い女性》(1800年頃)が着ている、ギリシア・ローマ風のハイウエストで自然な感じのドレスが印象的です。柳沢学芸員も「この絵が好き。」とのこと。また、この絵により当時のアイロンは鉄製の鏝(こて)のようなもので、アイロン台の横に置いた炭火の炉でアイロンを加熱しながら使っていたと知りました。
◆第3章 「パリジェンヌ」の確立―憧れのスタイル
 この章の見どころは、《ドレス(5つのパーツからなる)》(1870年頃)。正面のシルエットが細身で、スカートの後ろを膨らませたバッスル・スタイルのドレスです。柳沢学芸員によれば、制作者のシャルル・フレデリック・ウォルトはイギリスから来た「オートクチュール」(あらかじめデザインを示す高級注文服)の創始者で、紫色は化学染料で可能となった色とのこと。プリーツを寄せたパーツをスカートの後ろに垂らしているのが印象的。ちょうど、女雛の裳(も:袴の上につけ、後方のみに垂れた襞飾りのある衣服)のようなものです。絨毯のように大きなジャガード織のショールや、靴、手袋などの展示もありました。
 絵画ではヴィンターハルター《ヴィンチェスラヴァ・バーチェスカ、ユニヤヴィッチ夫人》(1860年)の衣装が豪華で、目を惹きました。なお、この衣装はスカートが半球状に広がったクリノリン・スタイル(19世紀中頃)と思われます。女性のファッションを皮肉ったドーミエの風刺新聞『シャリヴァリ』に描かれているのもクリノリン・スタイルのドレスです。
 小品ですが、着物のような衣装の女性などを描いた、フェリシアン・ロップス《優雅な生活》(1892年)には、春のツアーで行った兵庫県立美術館「ベルギー 奇想の系譜」で見た彼の作品と同じような、妖しげな雰囲気が漂っていました。
◆第4章 芸術をとりまく環境―制作者、モデル、ミューズ
 この章の見どころはマネ《街の歌い手》(1862年頃)でしょう。柳沢学芸員によれば、この絵は、古いニスを除去する修復によりグレーの衣装が美しくなった。モデルはヴィクトリーヌ・ムーラン。彼女は、マネの《草上の昼食》や《オランピア》でもモデルを務め、後年はサロンにも出品する画家として活躍。制作者、モデル、ミューズを一人で体現した人、とのことでした。
 「製作者」としては、モリゾやカサットの作品のほか、女優のサラ・ベルナールが恋人をモデルに制作したブロンズのレリーフ《ルイズ・アベマの肖像》(1875年)が展示されています。「ミューズ」としては、ピカソが自分だけのモデルにした《フェルナンド・オリヴィエ》(1905-1906年)や《女性の頭部》(1909年)の展示があります。
◆第5章 モダン・シーン―舞台、街角、スタジオ
 この章の見どころは、ドレスの実物。女性をコルセットから解放したという、ローウエストで直線的なスタイルのアール・デコのジャン・パトゥ《ドレス》(1925-28年)、ウエストを細く絞ったクリストバル・バレンシアガ《ツーピースのカクテルドレス》(1949年)とミニスカートのワンピース、ピエール・カルダンの《ドレス》(1965年頃)の3種で、デザイン画も多数あります。
この章では、ポストカードが多数紹介されています。柳沢学芸員によれば、1900年前後はポストカードのブームだったとか。外には、ジュール・シェレ《モンターニュ・リュス》(1889-90年頃:スペインの踊り子を描いたミュージックホールのポスター)、ブラッサイの《モンパルナスのキャバレーで歌うキキ》(1933年)、アフリカ系アメリカ人ダンサー、ジョセフィン・ベーカーの動画や写真、「ギャルソンヌ」と呼ばれるボブカットでボーイッシュなスタイルの女性を描いた、パヴェル・チャリチェフ《ボンジャン夫人》(1930年)、エッフェル塔を背景にしたジュール・アーロンの写真《モデルと写真家、パリ》(1950年)など。
◆最後に
 3階ロビーには、大人用と子ども用のクリノリンスタイルのドレスとバッスルスタイルの大人用ドレス2種にアール・デコのドレスが展示されています。着用手順を説明する写真があるので、コスプレも楽しめます。ミラボールが回っており、撮影にもピッタリです。
なお、展示室の冷房は強めですから冷房が苦手な方は上着を用意するか、展示室入口でストールを借りることをお勧めします。また、Youtubeで視聴できる「パリ:狂騒の1920年代」というNHK・海外メディア合作のドキュメントは、本展鑑賞の参考になります。
会期は10月15日(日)まで。
                      Ron.

平成29年度名古屋市美術館協力会総会

カテゴリ:協力会事務局 投稿者:editor

総会風景

総会風景


 気持ちよい晴天のもと、平成29年度名古屋市美術館協力会の総会が行われました。今年は会長以下の役員および会員が20名集まり、平成28年度の活動を振り返り、また29年度の活動について話し合いました。
今年度の秋の旅行について説明する松本理事

今年度の秋の旅行について説明する松本理事


真剣な様子の会員たち

真剣な様子の会員たち


 途中会員から名古屋市美術館が行っているゆめプレミアムアートコレクションについて質問などが出て、現在の活動状況などが事務局から回答されました。最後は和やかな雰囲気のなかお開きとなり、続いて美術館カフェでの懇親会へ。会員みなさんもビールと美味しいお料理で盛り上がりました。
総会から一転、懇親会へ

総会から一転、懇親会へ


退職して京都市美術館へ移られた山田学芸員も駆けつけてくれました

退職して京都市美術館へ移られた山田学芸員も駆けつけてくれました


お酒も入り、ゴキゲンな会員のみなさん

お酒も入り、ゴキゲンな会員のみなさん


なにやら真剣に議論する会員も

なにやら真剣に議論する会員も